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【無職転生】ルーデウスという人間の生涯を描いた記憶に残るなろうの傑作

僕はもともとインドアな人間ですが、新型コロナウイルスの影響でさらに外出が減り、ほとんどの時間を家で過ごす毎日です。

幸いなことに、2021年の冬アニメは非常に豊作でした。

今後継続して見るかは分からないけれど、今のところは以下のアニメを楽しく鑑賞しています。

  • 進撃の巨人
  • Re:ゼロから始める異世界生活
  • ゆるキャン△
  • 約束のネバーランド
  • はたらく細胞BLACK
  • 転生したらスライムだった件
  • ウマ娘
  • 呪術廻戦
  • ひぐらしのなく頃に

そして、アニメが始まる前から一番楽しみにしていたのが、無職転生むしょくてんせい~異世界行ったら本気だす~】です。

「無職転生」とは? – 小説からアニメへ

無職転生 トラックにはねられた高校中退ニートが異世界に転生©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

「無職転生」は小説投稿サイト「小説家になろう」で2012年9月から連載され、2015年に完結しました。その後、2014年1月に書籍化され、同年6月からは漫画版も連載されている人気作品です。

物語は、34歳の高校中退・無職の引きこもりニートがトラックに轢かれて命を落としてしまうところから始まります。

彼は異世界に転生したことをきっかけに、「人生をやり直し本気で生きていく」と誓い、たくさんの出会いや別れ、過酷な冒険を経験しながら成長していくというストーリーが展開されます。



主人公ルーデウスの成長と人生を描く大河ドラマ的作品

僕は2015年頃に初めてこの作品を知り、「小説家になろう」で最終話まで読ませてもらいました。全てを読み終えるのに1か月以上かかった記憶があります(総文字数280万文字以上の超大作 笑)。

一人の人間が生まれてから死ぬまでを描いたものなので、恋愛や友情、そして親子関係など、たくさんの要素がみっちり詰め込まれているのですが、圧倒的な熱量を持つ著者<理不尽な孫の手>さんだからこそ完結させることができたのでしょう。普通の人ならエタります。

「俺はもう、満足だ」
十分、生きた。
全てが完璧だったとは思わない、やり残した事も、多分、少しは残ってる。
目を閉じれば、思い出せるのはいい思い出ばかりってわけでもない。
失敗の記憶、成功の記憶、両方残っている。
けれども、やり直したいとは思わない。

「無職転生」を全て読み終えた時、僕の心に残ったのは大きな満足感と少しの寂しさでした。

それは、主人公である<ルーデウス・グレイラット>の生涯を長い時間をかけて最期まで見届けたことによるものだと思います。

この感覚は大河ドラマを見終わった時に感じるものに似ているかもしれません。

この世界なら俺にだってできるんじゃないだろうか。人並みに生きて人並みに努力して躓いても立ち上がって、なお前を向いて。できるかもしれないこんな俺でも。無職の引きこもりで屑な俺でも。人生をやり直すことが。本気で生きていくことが。

ルーデウスはどうしようもなく情けない前世の人生をやり直し、今度は本気で生きていくことを人生の指針として最後の最期まで走り続けました。

彼は決して聖人君子ではなく欲望に正直なタイプの人間です。

無職転生 腹立つ顔のルーデウス©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会
自重しよう自重。大切なのは、自分が他人より上だと思わないことだ。

しかし、近年のコンプレックス商法系なろう作品にありがちな、”かつていじめられたり傷つけられた相手を見返したりやり返したりすることが全て”のような負の承認欲求全開の主人公ではありません。

確かにルーデウスは転生というアドバンテージと恵まれた才能によって、人生を有利に進めることができました。

しかし、彼は作中最強のキャラクターではなく多くの敗北も経験します。また、胸が引き裂かれそうになるほどの悲しい出来事にも直面します。

最近は「娯楽であるアニメや漫画でつらい思いや悲しい思いをしたくない」という人が増えているようなので、なろうもそういう人たちに合わせた作品が増えています。しかし、僕は喜怒哀楽の喜と楽だけで構成されているような作品よりも、この「無職転生」のように感情の全てを引き出してくれるような作品の方が好きですね。



スタジオバインドによる高クオリティのアニメ制作

さて、このなろうの傑作である「無職転生」のアニメを手掛けたのは【スタジオバインド】という会社です。

聞いたことのない名前だったので少々不安に感じましたが、調べてみるとシュタゲやヨルムンガルド、リゼロなどを制作した【WHITE FOX】と、ダンまちやSAOといった有名作品をプロデュースした【EGG FIRM】が共同出資して設立したアニメ制作スタジオであることが分かりました。

自社で多くのアニメーション制作をしてきたWHITE FOXにとっては、新たなアニメスタジオとなる。EGG FIRMにとってはアニメーションの実制作に進出するのは初だ。両社によれば新会社の設立は原作の人気が高い『無職転生 ~』のアニメ化にあたり、プロジェクトを継続的、長期的、計画的に進めていく体制が必要と判断したためである。

WHITE FOXとEGG FIRMが共同出資で設立 制作会社スタジオバインド 

近年はアニメの制作本数が急増しているため、十分なクオリティに達していない作品が多く存在しています。

いくら原作が素晴らしくても、今期のEX-ARMのような糞クオリティでは視聴者は納得しません。そういえば7SEEDSも酷かったなぁ…。

一方で、進撃の巨人や鬼滅の刃、呪術廻戦などは、アニメの出来が良かったからこそ多くのファンを獲得できたのだと思います。

スタジオバインドは「無職転生」を低クオリティな作品にしないために、アニメ制作に集中できる環境を築き、ファンのニーズに応えられるような高いクオリティの作品を目指しているのでしょう。これは原作への十分なリスペクトを感じさせます。

実際第1話を見た時には作画の良さに驚きました。ロキシーも可愛かった。

無職転生 ロキシー・ミグルディア©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

少し前に「王立宇宙軍 オネアミスの翼」という常軌を逸した神作画アニメを見たばかりだったので感動は少なめでしたが、近年のアニメの中ではトップクラスに出来が良かったのではないかと。

最近のアニメのようにテカテカでCG全開の派手なエフェクトを採用せず、メリハリのある線画がきれいで作品の雰囲気にあった仕上がりになっているところにも好感を持ちました。

さすがに2話以降は若干クオリティが落ちた気はしますが、それでも現在放送中の他作品に比べると十分な質を維持していると思います。

原作を尊重しつつ、バランスの取れた構成

それでは肝心の物語の内容ですが、個人的には監督とシリーズ構成を担当している岡本学さんが上手に話を進めていると感じました。原作の内容はうろ覚えでまだ3話までしか見ていないけど。

無職転生 ルーデウスとロキシー©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

女性や子供にはあまりおすすめできない部分が多々あるので、どうなるんだろうと思いながら見ていましたが、原作尊重を第一に制作している感があって良かったと思います。

全ての人に気に入られるような作品はどうしても薄っぺらくなりがち。「嫌なら見るな」という姿勢で突き進んでほしいと思います。深夜アニメだし。

【アニメダ・ヴィンチ】に掲載された岡本監督のインタビューを読んでみると、「無職転生」という作品に対するリスペクトや、原作ファンが喜ぶ作品を作らないといけないという使命感・責任感が溢れていました。

いわゆる「大河ドラマ的な作品」なので、最初から最後までアニメ化することに意義がある作品だと思いました。そういう作品を「やりきる」ことができたら、とても面白いだろうなと。ただし、ハイ・ファンタジー作品をアニメにするためには設定をかなり細かく作り込む必要がある。ぶっとんだ世界観に、説得力を帯びさせて、地に足をつけさせるためには、設定をはじめ、さまざまなことを考えないといけない。

新鋭監督が選択した、TVアニメ『無職転生』を研ぎ澄ませる思想と哲学――岡本学(監督)インタビュー 

この監督ならきっと素晴らしいアニメに仕上げてくれることでしょう。くれぐれもSAOアリシゼーションのようにならないことを願います。

アニメの話数に限りがあるので取捨選択が難しいとは思いますが、原作を尊重しつつ端折れる部分は大胆に端折ってバランスの良い作品に仕上げてほしいですね。

アニメを見た後は、ぜひ原作小説にも触れてみよう

以上、アニメ無職転生を見ていない人は是非見てみてください。そして無職転生って面白いなぁと思った人は原作小説を見ることをおすすめします。

超が付く長編作品なので最後まで読むのは大変ですが、きっと心に残る作品になると思いますよ。

無職転生-異世界行ったら本気だす-|小説家になろう

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