どうもセシ子です
公開初日に宮崎駿監督のアニメ映画「君たちはどう生きるか」を鑑賞してきたのでストーリーや作画、声優、キャラクターなどについて個人的な感想を綴っていきます。
微妙なネタバレがあるかも?
気になる人は注意してね!
ジブリ映画「君たちはどう生きるか」の感想
声優とキャラクターについて
思い返せば1991年公開の「おもひでぽろぽろ」あたりからジブリ作品はプロの声優さんをメインに使わなくなったような気がするけど…
今回も例にもれず主要キャストは俳優歌手タレントなどなど。
「君たちはどう生きるか」で主人公、眞人を演じているのは山時聡真さん。
役と同じくらいのかなり若い方(中学歳くらい?)なのかと思ったら2005年生まれの現在18歳の俳優さんらしい。
なんとなくぎこちない雰囲気が「ジブリ映画の主人公」感あった。いや、別にディスではないですよ!
眞人のキャラクターはわりとイケメンですね。
アシタカとかハウルとか聖司さんとかバロンとか、ジブリの青年キャラはみんな顔がいい。
眞人は多弁ではないけど、口数が少ない中でも思う所はたくさんあって行動力もあるタイプなんだろうな、多分。
眞人の父役は木村拓哉さん。
まあこれはなるほどな~という感じ。
一度ハウルで経験されていることもあってかそれなりに馴染める雰囲気の声だった。
キャラクターはなんというか…全然悪い人じゃないんだけど微かなサイコパス味が見え隠れするのは何故なんだ。でもいるよね、こういうお父さん。わかる。
アオサギ役は菅田将暉さん。
これは菅田さんの声に普段馴染みが無くて全く気付かなかった…。
ああいう声も出されるんですね。意外だ。
エンドロールを見るまで分からなかったという方も多いかも。
アオサギというキャラクターの形態もまた意外でした。
神秘的な美しい鷺からなんでちっさいおじさん出てくるん…?
これがおじさんじゃなくハクみたいな美少年になったらそれはそれでだめなんだろうな、やっぱり。おじさんだからいいのだ。
美少年のほうが嬉しいけど。
ヒミ役はあいみょんさん。
ヒロイン枠?と言っていいのかわからない役どころですが…
これはなぜあいみょん?
キャラクターに合っているかと言われると…う~ん…
そして上手かと言われると…何とも言い難い。
セリフの度にいちいち気になって話が入って来ないのが辛かった。
歌手の方なので普通に歌って頂くとかもう少し端役ではダメだったんだろーか。
まあ、かわいい感じではありました。
その他、たくさん出てくるお手伝いのおばあさん役には大竹しのぶさん、竹下景子さん、風吹ジュンさん、阿川佐和子さん。
老婆にキャスト豪華すぎでしょ!
初見ではわからなかったけどもう一度観るときは誰がどの婆さんなのか気を付けて聞いてみよう。
上手いと思ったのは大伯父役の日野正平さん、老いたペリカン役の小林薫さん、インコ大王役の國村隼さん。
このお三方の役は本職の声優さんが声をあてているのかな?と思うくらい違和感が無かったです。
小林薫さんはもののけ姫のジコ坊の時もはまってた。さすがだ。
ほんとに正直なところ、この三人以外はできればプロの声優さん使ってほしかったです。
番宣とかプロモーションしてない今回なんかは特に芸能人使うメリットあんまりない気がするけど…
そんなに嫌なんですかね、本職の声優。
いろいろ気になりすぎてストーリーになかなか集中できない…。
これは上手い声優が演じる昨今のアニメに私が染まりすぎているせいなのか?
作画について
作画については一切文句無し!
全体的にとても素晴らしかったです。
特に冒頭の雑踏と火事のシーンは圧巻。
もちろんそのほかも、まさにジブリワールド宮崎駿ワールドといった感じで立ち姿ひとつ、歩き方ひとつとっても最近の普通のアニメとは比べ物にならない。
昨日、宮崎さんのチェック棚に積まれたばかりの原画あがり。その枚数……743枚! 『君たちはどう生きるか』での、これまでの最大枚数カットは、c26の、1068枚! 動画スタッフが手分けして、7ヶ月かかったこのカット、制作部はラッシュチェック時に、涙でスクリーンが見えなかったそうです……。 pic.twitter.com/e86bn2czWl
— スタジオジブリ STUDIO GHIBLI (@JP_GHIBLI) May 25, 2021
なんというか、キャラクターの「生きてる感」がすごい。
リアルな動きというとちょっと違うんだけど、生気のある動き。
例えば端の方歩いてるモブとかまで、画面のどこを見ても面白くてぼんやり眺めてるだけでも退屈しないかも。
キャラそれぞれの骨格とか筋肉、年齢や性別を感じる動きがいいなあと思う。
終盤、大伯父のもとに向かうところの飛び石を渡るシーンなんかも眞人、ヒミ、アオサギ、インコ大王それぞれの動きがちゃんと【男の子】【女の子】【鳥】【大人の男性】って感じに分かれつつ、各キャラの性格まで個性的に表現されているようで感動。
なんかその作画を見せるための、むしろ見てくれと言わんばかりのカメラワーク。いいね。
今作で作画監督を務めたのは本田雄さん。
ガイナックスでの最年少22歳でふしぎの海のナディアの作画監督をやったというすんごい人です。
シン・エヴァの総作監をやる事が決まってたのに、作画の核としてどうしても必要っていう宮崎さんの要望で今回のためにスタジオカラーから来てもらったらしい。エピソードつよ…w
『君たちはどう生きるか』作画監督・本田雄さんの背中。宮崎さんのとなりで、朝から晩まで、鉛筆を動かし続け、スタッフを引っぱってくれています。
「描く絵で皆を納得させるしかない、それが唯一の証明だと思っているから」 pic.twitter.com/yWv5gAJJVV— スタジオジブリ STUDIO GHIBLI (@JP_GHIBLI) April 15, 2021
“アニメーターズ・アニメーター”とかいう超絶かっこいい異名を持ってるの最強過ぎない?
「アニメーターこそ見たほうがいい映画」みたいなことを誰かが呟いてたけど、まさにそれ。ほんとにそうだと思いました。
最近のただテカテカつるつるの塗りにビカビカしたエフェクトが入ってるだけの画を神作画とか言っちゃう風潮に辟易してたから心が洗われるようだ…。
印象的だったシーンとストーリーについて
とりあえずビックリしたのはいきなり実母の妹が継母になるって展開。しかもすでに身重。
それについて父が息子を気にしてる風なところは特になく、当然のように話が進んでいく。
うわ、きっつ…
と思いつつ…時代なんだろうなぁ。
子に人権はないとまでは言わんが子の感情に配慮とかないんやなぁ…としみじみ。
しかもさらりと妊婦に超重そうなトランクを運ばせる父。
「重いぞ」じゃないやろキムタクーwって突っ込みたくなったけどこれも時代なのだ。
今こういう表現したら高確率で炎上しそうだけど、宮崎さんは時代感を出すためにわざとやってるんだろうし、それがこうして現代とのギャップとしてまんまと記憶に残る場面になってるんだから興味深い。
色々すごいなーと思った継母との対面シーンだった。
そのほか、物語の随所にこれまでのジブリ作品っぽさが散りばめられていて、ちょいちょい強烈な既視感に襲われる。
セルフオマージュってやつですか?
眞人が夏子を探しに茂み(林?)に入っていく場面はトトロの森みたいだったし老ペリカンが息絶える場面は乙事主っぽくもあった。
ワラワラはコダマ風。
自宅敷地内でナマズ?みたいな魚がいっぱい顔を出すところなんかはポニョに出てきそう。(ちなみにポニョは観たことない)
意識して作ってるのかたまたまそうなったはわからないけど、ほかにもまだありそうな気がするのでストーリーを楽しみつつそんなところも探してみると面白いかも。
「君たちはどう生きるか」を見た感想まとめ
「君たちはどう生きるか」を鑑賞して感じた印象をあれこれと語ってきましたが…
最後まで観て初めに浮かんだ感想は
「え?終わり…??」
やっぱり私のような凡人には何度も繰り返し観てようやく面白いと思える作品なのかもなと思った次第です。
作画は素晴らしかった。
現代とは違う時代のギャップ描写が新鮮だった。
セルフオマージュっぽいのがいろんなところに出てきて楽しかった。
ベテラン俳優勢の声の演技も悪くなかった。
しかし!!
それでも終わった後になんとなく「うん…?」という感じになったのは、タイトルと冒頭の導入部分から勝手にリアル寄りな話なのかなと思っていたからかも。
これが予想以上にファンタジーだったのでちょっと自分の中で色々とすり合わせるのに時間がかかりました。
大々的な広告や宣伝なしで公開されたから余計に「思ってたのと違う」感が強かった気がする。
それを最後まで引きずった。
終わり方もかなりあっさりしていたので(してたよね?)エンドロール後にまだ何かCパート的なものがあるのではと期待したし、ほかの観客もそう思っていた人が多かったみたい。
しかし何もなく終わってしまって館内がざわついた。
そうよね、みんなあとちょっと欲しかったよね。
なんだろうな、難しかったな…
こういう作品だってわかって見てたらもう少し理解を深められるような気はしました。
あと2回くらいは観たほうがいいかな。
ただ、難しかったけど作品内でもっと説明をしろってわけでは決してない。
むしろ昨今のアニメによくある【セリフによる説明】が少なく、キャラの表情や動き、カメラワークや間で状況とか心情を伝えるシーンが多いのはとても良い。好き。
鈴木敏夫P曰く、上手い人が描いたら説明シーンなんていらないんだそうだ。
ワンショットで表現できるんだって。
心から納得。
とにかく作画の説得力が段違いな作品でした。
まあ、次回鑑賞するときはアオサギは何がしたかったんだ?とか、夏子はなんであっちの世界に行ったんだ?とか、これは何のために?っていう意味を探りつつちゃんと頭を使いながら見てみようと思います。
まだ観てない方、一回観たけどよくわからなかった方はぜひ考えながら観ましょうね。
じゃないと「作画すごー!」っていうのと
「鳥」
って印象の感想に頭を支配されます。いや、ほんと思った以上に鳥なんだって…。
結論、2回目視聴からが本番。
多分絶対金ローでやるから楽しみにしておこう。
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