前回の続き…

ユージオがあまりの重さに息も絶え絶え持ってきた”青薔薇の剣“を抜刀するキリト。
「この剣の素材、なんだ?」
「普通の鋼じゃないよね。銀とも竜の骨とも違う。だから神器じゃないかなって…」
“神器”というのは神様の力を借りて強力な神聖術師が形にしたか、あるいは神様が手ずから(自分自身で直接)創りだした器物の事。
このルーリッド村に存在する神器は”教会の鐘”とユージオが持つ”青薔薇の剣”だけです。
青薔薇の剣でギガスシダーを打つ
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
キリトはユージオに現在の”ギガスシダー“の天命を調べるように言います。
ステイシアの窓に映ったギガスシダーの天命は232315。
ユージオは不安そうにしていましたが、キリトにはこの重い剣を振るう自信がありました。
旧SAO世界に於いてもキリトが好んでいたのは重量のある剣。
©川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project
一期七話”心の温度”でもリズベットおすすめの剣に軽いと文句を言ったあげく折ってしまうシーンがありましたね(笑)
キリトが重い剣を好んでいた理由は手数で勝負する速度重視の武器よりも、全てをこめた一撃で敵を粉砕する手応えに魅せられていたから。
旧SAOで最後の相棒となった剣たちは入手時点ではこの青薔薇の剣と大差ない手応えがあったようです。
©川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project
エリュシデータは見るからに重そうでしたが、リズが打ったダークリパルサーも同じくらい重かったんですかね。
キリト曰く、重い剣は力で振るのではなく重心の移動がミソとの事です。
キリトの挑戦
キリトは、ワールドシステムの根幹が違うので旧SAOと単純に同一視はできないが少なくとも体捌きのイメージはできるはずと考え、単純な右中段水平斬り”ホリゾンタル”をイメージして剣を振ります。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
ここで少し気になったのが、剣のライトエフェクト。
二話の残念なアニオリシーンでもライトエフェクトが発生していたのですが、それはジンクに借りた剣なので別に問題ありません。

このシーンでキリトが使っていたのは青薔薇の剣なので本来ならライトエフェクトが出るはずがないのですが…。
まあアニメは結構設定がガバガバになっているので細かい事を気にしたら負けですね。
さて、キリトの打ち込みの結果は残念ながら失敗。
幹の切れ目を狙いましたが、剣を使いこなせなかったので目標を遥か離れた樹皮に激突してしまいました。
キリトは強烈なキックバックで後ろに吹き飛びます。
「言わんこっちゃない!」
キリトを心配するユージオ。
しかし、幹の方を見た瞬間ユージオは絶句します。
「嘘だろ…たった一撃で、こんな…」
青薔薇の剣は刀身を半分近くもギガスシダーの樹皮に喰い込ませ、空中に静止していたのです。
すぐにギガスシダーの天命を見るように言うキリト。
すぐにステイシアの窓を出し確認するユージオでしたが、数字は232314。先程からたった1しか減っていませんでした。
ユージオの挑戦
残念な結果に驚いたキリトでしたが、ユージオは切り込んだ場所が悪かったと言います。
皮ではなく切れ目の中心に当たれば天命はもっと減ったはずだと。
「俺は駄目でも、ユージオならどうだ?」
キリトは自分よりも力のありそうなユージオに青薔薇の剣を使うようすすめます。
ユージオはためらいましたが、キリトは剣を振るうコツを教えてやるからと食い下がりました。
「じゃあ一回だけ」
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
いつも使っている斧を例に出してアドバイスするキリト。
ユージオはゆっくりと後ろに剣を引き、わずかな溜めのあと、猛烈なスピードでスイングを開始します。
キリトも驚く程の見事な体重移動技術で打ちこんだユージオでしたが、切れ込みの上側を叩いてしまい真後ろに吹き飛んでしまいました。
それにしてもこの真剣な顔のユージオはなかなか格好よかったですね。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
結局二人とも青薔薇の剣を扱う事ができませんでしたが、キリトは自分のステータス数値が青薔薇の剣を扱う為に必要な数値に届いていない事に気づきました。
キリトの”Object Control Authority”は38で青薔薇の剣の”Class”は45。
キリトはレベルを45まで上げれば青薔薇の剣を使いこなす事ができるはずと推測します。
しかし、その方法は見当もつきませんでした…。
セルカと果ての山脈
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
ルーリッド教会の風呂場は素焼きのタイルを敷き詰めた床に大きな銅製のバスタブを埋め込んだもので、外壁に設えたカマドで薪を燃やし湯を沸かす仕組みになっています。
銅製のバスタブは日本ではあまりお目にかかりませんが、海外の高級ホテルなんかにたまーに置いてありますね。
アニメを見る限りでは和でも洋でもなく独自進化した風呂の形といったところでしょうか。
一日の労働で疲れた体を癒しながら、央都に行く方法や公理教会、アリスの事等に思考を巡らすキリト。
セルカの悩み
「あれ、まだ誰か入ってるの?」
声をかけてきたのはセルカでした。
ゆっくりしてもいいけれど、出る時にはきちんと浴槽の栓を抜くように言い、そそくさと去っていくセルカにキリトはドア越しに呼びかけました。
「あ…セルカ。ちょっと訊きたい事があるんだけど」
二人は現在キリトの部屋になっている客間で話をする事になりました。
キリトが聞きたかったのはセルカの姉であるアリスの事。
セルカはキリトにたくさんの話をしました。
アリスが整合騎士に連れていかれてからユージオが全く笑わなくなってしまい、安息日でも家に閉じこもるか森に出掛けるかでいつも一人ぼっちだという事や、村人が自分とアリスを比べるのがたまらなく辛い事など。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
話をしている内にセルカの中の感情が溢れてしまいます。
しっかりしていて大人びているとはいえセルカは十二歳そこそこの少女。無理もありません。
「…ごめんなさい、取り乱したりして」
「い…いや、その。泣きたいときは、泣いたほうがいいと思うよ」
キリトは我ながらこの台詞はどうなのかと思いつつも、セルカにありふれた優しい言葉をかけました。
「…うん、そうね。なんだか、少しだけ楽になったわ。人の前で泣いたのは、ずいぶん久しぶり」
セルカはキリトの言葉を聞き、小さく微笑むと素直に頷きました。
その時、鐘楼から九時を知らせる和音が聞こえてきました。
そろそろ戻らないと言い立ち上がるセルカ。
セルカは部屋を出ようとする前にどうしてアリスは整合騎士に連れていかれたのかをキリトに聞きました。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「ええと…果ての山脈を抜けて闇の国に入ってしまったからって」
セルカは理由を聞いて何事かを考えているようでしたが、一瞬だけ微笑み部屋から出ていきました…。
セルカを探して果ての山脈へ
翌日、五時半の鐘が鳴ると同時に目を醒ましたキリトは顔を洗う為に井戸に向かいました。
桶に数杯分の水をタライに移して顔を洗っていると、シスター・アザリヤに声をかけられます。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「キリトさん、セルカを見ませんでしたか?」
シスター・アザリヤは、朝から姿が見えず礼拝にも来なかったセルカを探していたようです。
なにやら胸騒ぎがしたキリトはセルカを探しに行く事にします。
途中でユージオに会い、シスター・アザリヤがセルカを探している事、そして昨夜セルカにアリスが整合騎士に連れ去られたのは果ての山脈を越えて闇の国の土に触れたからだと話した事を伝えました。
二人はもしかしたらセルカは果ての山脈に行ったのではと推測し、急いで後を追いかける事に…。
道の途中ユージオは雑草が踏まれた後を見つけ、しばらく前に子供がこの道を通った事を確信します。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
天命が大きく減らない程度の速度で走る事二時間余り、二人は果ての山脈の洞窟に辿り着きました。
アニメでは描写が乏しかったですが、この時キリトは不自然な程のエリアの切り替わりとこんなに近くに世界の果てがある事に驚きました。
そして、何の障害もない一本道をたった二時間半の早足で辿りついてしまう位置に禁断の地を設定しているという事に放心します。
まるで住民が闇の国に近づいてしまう事態、もしくは闇の国の住民による侵入を意図的に引き起こそうとしているのでは…キリトの頭にはそんな考えが浮かびました。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「システムコール。ジェネレート・ルミナス・エレメント。アドヒア」
ユージオが呟くと握っていた草穂の先端が青白く光りました。
「ゆ、ユージオ…いまのは?」
キリトは神聖術を使ったという事よりも発した言葉に驚き、その言葉の意味は分かるのかとユージオに尋ねますが、全く分かっていないようでした。
この場面でユージオが唱えた言葉は第一話のアリスのものと同じなのですが、小説ではこの場面でユージオが唱えたのは”システム・コール!リット・スモール・ロッド”となっています。
この改変は何らかの意図があるのでしょうか。少し気になりますね。
二人は真っ暗な洞窟をすすんでいきます。
もしセルカが闇の国に入ってしまった場合は整合騎士が来る前にキリトがセルカを連れて逃げるというような話をしている時にきゃあああという女の子の悲鳴が聞こえました。
二人は悲鳴が聞こえた方に全力で走り続け、ドーム状の空間に行きつきます。
そこにいたのは胸ほどまでの身長、がっしりと横幅のある猫背ぎみの体躯、異様なまでの長い腕と鋭い爪…慣れ親しんだRPGにはほぼ必ず登場する低級モンスター”ゴブリン“でした。数はおよそ三十匹ほど。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
キリトは談笑しているゴブリンたちの奥に、粗末な台車に乗せられ荒縄で縛られているセルカを見つけます。
「セルカ!」
ユージオはセルカを見つけ大声で叫んでしまい、ゴブリンに気づかれてしまいます。
「おい、見ろや!また白イウムの餓鬼が二匹も転がりこんできたぜぇ!」
人間の気配に気づいたゴブリンたちはざわめき立ちます。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
さらに奥からは他のゴブリンとは明らかに違う巨大な体躯の指揮官とおぼしき一匹が近づいてきました。
「男のイウムなんぞ連れて帰っても売れやしねぇ。面倒だ、ここで殺して肉にしろ」
あっけにとられ固まってしまうユージオにキリトは何度も声をかけますが反応はありません…。
第三話はギガスシダーを切り倒す糸口になるかもしれない青薔薇の剣や、セルカの話等、小説約80ページ分が詰め込まれました。
いろいろ細かい部分はカットされていましたが、きれいにまとめられていたなという印象です。
次回のタイトルは”旅立ち”。
ゲーム内での痛みと戦うキリトやユージオ。二人の激しい戦闘シーンが楽しみですね。


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