©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
前回のつづき…
「上級法とは禁忌目録、そして帝国基本法のことだ。つまり……三等爵士の長子たる私は、六等爵家出身のあの娘たちに、修剣士懲罰権ではなく貴族裁決権を行使できるということなのだよ!」
原作者である川原礫氏も驚く《大の字ジャンプ》で少女への凌辱を開始したライオス。
もっとも、原作SAOのハードさ加減は、現代のライトノベルと比べても至って平均的なレベルだと考えていますが。アニメスタッフ諸氏の演出力や作画力、声優さんの演技力が凄すぎて映像になった時のインパクトがブーストされまくっているのです絶対。まさかライオスが大の字で飛ぶとは思わないよ…!
— 川原礫;SAO21巻12月7日発売 (@kunori) 2018年12月8日
ここからユージオの魂の葛藤が始まります…。
第十話「禁忌目録」のあらすじと感想②
法と良心の狭間で葛藤するユージオ
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「動くな。平民!!」
ティーゼとロニエが目の前で汚されようとしているのを止めるために行動を起こそうとしたユージオに、ライオスは叫びました。
さらに、ライオスはこの行為があらゆる法規に則った正当かつ厳粛な貴族の裁決であることを主張しました。そして、裁決権の行使を妨害することは重大な違法行為に当たり、法を破った罪人になると宣言したのです。
そんな詭弁など知ったことかと、ティーゼたちを助けに行こうとするユージオでしたが、両足が床に釘で打ち付けられたかのように一歩も動けなくなってしまいました。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「公理教会は絶対、禁忌目録は絶対、逆らうことは許されない。」
ユージオは、法律を破り罪人になったとしてもティーゼとロニエを助けなければならないという強い意志を持っていました。しかし、それとは別に、自分でない何者かの声が聞こえてくるのです。
ライオスやウンベールの蛮行が目の前で行われているにもかかわらず、ユージオは動くことすらできずにいました。
アニメではカットされていますが、原作ではティーゼとロニエはただ嫌がって抵抗するのではなく、この蛮行を自分たちの罰だと受け入れ、耐えようとしています。
「先輩、動かないで。私なら、大丈夫……これは、私が受けるべき、罰なんです」
「六等爵家の小娘にしては、大した覚悟じゃないか。どこまで頑張れるか、楽しみが増えたな、ウンベール」
ソードアート・オンライン11 アリシゼーション・ターニングより
法と教会への疑問と右眼の痛み
友であるフレニーカのためにあらん限りの勇気を振り絞って行動を起こした二人に、これほどの残酷な罰を与える法とは?
《婚姻の誓いを立てる前の唇を介した直接接触》を禁じながら、力尽くでの凌辱は許すとは、いったいどういう法なのか?何の存在意義があるというのか?
そう考えた時、突然ユージオの右眼の奥に鋭い痛みが走りました。それは、法や教会に疑問を抱いた時に、しばしば生じる奇妙な痛みでした。
いつもならこの痛みを感じた時点で反射的に思考を放棄していましたが、ユージオはなおも考え続けます。
ユージオの決意とキリトの言葉
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
罪なき少女たちを無理やり汚そうとするライオスたちを守り、それを止めようとする自分を縛る禁忌目録。そんな法を守ることが善だというのなら…
鉛のように重い全身を懸命に持ち上げ、青薔薇の剣の柄へと右手を伸ばすユージオ。その時、キリトの言葉がユージオの脳裏をかすめました。
「たとえ法で禁じられていなくても、してはいけないことは存在する。そして逆に、法で禁じられていたとしても、しなければならないことだってあるかもしれない。」
右眼に刻まれた謎の封印
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
ユージオは声にならない声で叫び、青薔薇の剣を抜き放とうとしました。しかし、その瞬間、凄まじいほどの激痛が右眼を貫き、ユージオの視界は真っ赤に染まったのです。
……これはあの時と同じ。
それは8年前、ルーリッド村の教会前広場で、整合騎士に連行されるアリスを助けようとした時と全く同じだったのです。
ユージオは、まるで時間が止まってしまったかのように、動くどころか声も出せなくなりました。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
【SYSTEM ALERT CODE:871】
真っ赤に染まった右眼の中央に刻まれた謎の神聖文字。
ユージオは直感的に理解したのです。これが何らかの《封印》であること、そしてこの封印こそが8年前のあの時も、そして現在も自分の行動を妨げ、法への恭順を強制しているのだということを。
――許せない。絶対に許さない。
ユージオはライオスとウンベールへの憎しみを力に変えて、必死に右手を動かそうとします。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「や、嫌あああ――ッ!先輩―――ッ!」
ティーゼが助けを求めて叫び、ユージオも絶叫したその瞬間…
甲高い機械音が響き渡り、そしてぐしゃっという破裂音とともに、ユージオの右眼そのものが内側から弾け飛んだのです。
怒りに燃えるユージオとアインクラッド流秘奥義
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「う……おおおああああ―――ッ!!」
視界の半分を失ったにもかかわらず、ユージオは猛然と青薔薇の剣を抜き、アインクラッド流秘奥義「ホリゾンタル」を放ちました。
ライオスは視界の端でユージオの一撃を捉えていたため、辛うじて身をかがめて避けることができました。しかし、ウンベールは反応が遅れ、左腕を肘あたりから真っ二つに断ち切られてしまったのです。
ユージオの放った剣閃からは、ライオスたちの行為を止めるというよりも、完全に命を刈り取ろうとする強い怒りが感じられました。
このあたりの演出は本当に素晴らしかったと思います。原作を読みながらイメージしていたシーンよりもはるかに迫力があり、感動を覚えました(いつもこのレベルの演出をしてくれたらいいのに…)。
声優陣の演技も素晴らしかったです。特にユージオ役の島﨑信長さんとティーゼ役の石原夏織さんの演技は迫真に迫るものがあり、深く印象に残りました。
次回につづく…
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