ユージオがアドミニストレータの術中にはまり永遠の停滞の中へといざなわれている頃、キリトは気を失っているアリスを背負いセントラル・カセドラル九十五階に辿り着いていました。

アリスが失神した後、月が出るのを待って壁登りを再開したキリトでしたが、ここまで辿り着くのにかかった時間は約二時間…。
そんな疲労困憊のキリトの後頭部を殴りながらアリスが投げかけた言葉は…
「いやだ、お前、汗びっしょりじゃないですか!私の服に染みが!早く離れなさい!」
ユージオを探して
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「ジェネレート・アンブラ・エレメント。アドヒア・ポゼッション。オブジェクトID、WLSS703。ディスチャージ」
キリトが唱えたのは、オブジェクトをサーチする神聖術。
「WLSS」は「両刃(ダブルエッジド)・長剣(ロングソード)・片手(シングルハンド)」の略で、後半の数字はそのカテゴリに含まれる剣の通し番号ではないか、とキリトは推測しています。
ユージオの”青薔薇の剣”のIDは「703」、キリトの”黒いの”のIDは「102382」。
青薔薇の剣が生成された時代から今までで随分剣の本数が増えたものですね。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「もし戦闘になったら、右側は俺が守るよ」
オブジェクトサーチによって青薔薇の剣のだいたいの位置を突き止めた二人はそこにいるであろうユージオを探して進む事にしました。
自らの運命を切り拓くことを決意し、その代償として右眼を失ったアリスに優しく声をかけるキリト…。個人的にはそのポジションにはユージオにいてほしかった。
石化したベルクーリ
ユージオの記憶開放術によって氷の世界へと変貌を遂げた、カセドラル九十階「大浴場」に到着したキリトとアリス。

元老長チュデルキンに石化されたベルクーリ・シンセシス・ワンを見つけたアリスは急いで駆け寄ります。
元老長チュデルキンは、あらゆる人間を石に変えてしまう「ディープ・フリーズ」という術式を使う事ができると以前ベルクーリに聞かされていたアリスは、人界の平和のために永劫の日々を戦ってきたベルクーリに対する元老長の酷い仕打ちに怒りと悲しみを露わにします。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「嬢ちゃんなら、できるさ……。公理教会の……過ちを正し、この歪んだ世界を、あるべき形へ……導く……ことが…………」
システム命令によってあらゆる動作を禁止する術式「ディープ・フリーズ」を意思の力だけで一時的に打ち破ったベルクーリは、アリスに労いの言葉を送り、キリトにアリスの事を託した後、再び物言わぬ石像と化しました。
ユージオはチュデルキンによってアドミニストレータの居室へと運ばれた、というベルクーリの話を聞いた二人は、浴槽の床に突き立てられていた青薔薇の剣を回収し上階を目指します。
元老院と箱人間
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
最上階まであと一息、公理教会の中枢部にある元老院への扉を開いた二人の前には異様な光景が広がっていました。
壁に据え付けられたたくさんの四角い箱に、髪や髭、眉毛すら生えていない生白い顔をした人間が収納されていたのです。
原作では、キリトはこの人間たちを「箱人間」と呼んでいます。(正式名称は「自動化元老」)
「システム・コール……ディスプレイ・リベリング・インデックス」
彼らが唱えていた神聖術は”人界に暮らす人々の「違反指数」をチェックする”術。
- 違反指数の異常値を検出
- 箱人間が現場を覗き見て禁忌を犯した者を特定し報告
- 報告を受けた者が整合騎士に罪人連行の指令を出す
上記の1と2の仕事をこなすのがこの箱人間の仕事です。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
この部屋に存在する数十人の箱人間は、”人界に暮らす全ての民が禁忌目録を遵守している事の確認と監視”という元老院の仕事をこなさせるために、人界のあちこちから拉致されてきた神聖術に秀でた人間たちでした。
アドミニストレータによって思考や感情といった「人の証」を全て封じられた人間たちは、最低限の食事のみをチューブから与えられコマンドを詠唱し続けるだけの監視装置にされていたのです。
「命を絶ってやるのが……慈悲だとは思いませんか」
原作のアリスが放ったこの一言。(アニメではカット)
もはや元の姿に戻る事はできない元老たちを哀れに思ったのでしょうね。
「鋼の錬金術師」のニーナ・タッカーとアレキサンダーの話を思い出させられたワンシーンでした…。
元老長チュデルキン
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「最高司祭様、もったいないっ、ああっ、いけませんっ、ああっ、おおお――っ!!」
突如広間の奥から響き渡った奇怪な声。
その声の主こそ公理教会のNo2、元老長チュデルキンでした。
ソードアート・オンラインは敵味方共に味のあるキャラが多いと思うのですが、個人的にこのチュデルキンは面白みのないキャラクターだと思います。(高木渉さんがもったいない…)
見た目は派手でキャラが立ってそうに見えて蓋を開けてみると無個性というか…道化師っぽくもない。出落ち感が半端ないですね。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
悪辣極まる口ざまで、幼いアリスがセントラル・カセドラルに連れてこられてからどのようにしてシンセサイズされたのか等を饒舌に喋り散らすチュデルキン。
チュデルキンの言動には時間稼ぎの意図があるのでは、とキリトは考えます。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「お前は己の境遇を存分に愉しんだようです。ならば、もはや思い残すことはないでしょう。私も、お前の話はもう聞き飽きました」
元老長の胸に黄金の刃を深々と突き立てたアリス。
しかし、その瞬間チュデルキンは風船のように膨らむと同時に破裂音を響かせて弾け飛び、真っ赤に着色された煙が噴き出します。
煙幕のように広がった煙のせいでチュデルキンを見失ってしまった二人。
道化師を追う二人の前に立ちふさがったのは、青みがかった銀色の重装鎧に身を包んだユージオでした。
整合騎士ユージオ
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「お前の相棒は……ユージオは、すでにシンセサイズされています」
アドミニストレータだけが行える「シンセサイズの儀式」が完了するまでには三日三晩かかるはずなのに、たった数時間でシンセサイズされてしまったユージオ。
アリスは無二の親友が整合騎士になってしまった事実に動揺するキリトに活を入れます。
「……ここは、俺に任せてくれ」
キリトがアリスを下がらせた理由は、アリスの圧倒的な技でユージオの体を傷つけるような真似をしたくなかったから、そしてなにより互いの記憶を封じられている幼馴染同士を戦わせる事はできない、と思ったからでした。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
ユージオの封印された記憶を呼び覚ますように語りかけるキリトでしたが、”アドミニストレータの望みを叶える”ためだけに行動しているユージオにその声は届きません。
ベルクーリ他、ほんの数人の整合騎士しか会得していない秘術”心意の腕(しんいのかいな)“を使い、キリトが持つ青薔薇の剣を回収したユージオ。
青薔薇の剣の柄を握り躊躇いなく解き放ったユージオを見て、キリトも黒いのを持って体の前に構えます。
「憶えてないだろうけど、お前に剣技を教えたのは俺だ。師匠として、まだ弟子に負けてやるわけにはいかない」
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
キリトとユージオはソードスキル発動の構えへと移行し、ほぼ同時に床を蹴りました。
鮮やかなライトグリーンの輝き、師弟が放ったのはアインクラッド流片手直剣突進技「ソニックリープ」。
キリトはユージオが自分の事を忘れてもアインクラッド流剣技を忘れていなかった事を少しうれしく思うのでした…。
この回は特に盛り上がるところもなく、淡々と進みましたね。
原作でも元々薄めの内容なのですが、アニメでは会話がさらにカットされて薄まりすぎて全く味がしないジュースのような感じでした…。
次回につづく…


コメント