©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
地下牢から逃れたユージオとキリトは、セントラル・カセドラル内に保管されているはずの愛剣 “青薔薇の剣” と “黒いの” を求めて、薔薇の迷路を進んでいきます。
そんな二人の前に立ちふさがったのは、三十一番目の整合騎士 “エルドリエ・シンセシス・サーティワン” でした。
第十二話では整合騎士との初めての戦いや、この世界の核心について語ってくれるカーディナルとの出会いが描かれています。
それでは、原作との比較を中心に自由な視点で解説していきたいと思います。
第十二話「図書室の賢者」のあらすじと感想①
キリト&ユージオvs整合騎士エルドリエ
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エルドリエの実力を確かめるために、まずは一人で戦うことにしたキリト。
エルドリエはキリトの武器が鎖であることを見て取ると、剣ではなくリーチの長い鞭 “霜鱗鞭(そうりんべん)” を選びました。
エルドリエの霜鱗鞭と武装完全支配術
「システム・コール!――エンハンス・アーマメント」
アニメでは、エルドリエが “システム・コール” の後、すぐに “エンハンス・アーマメント” と唱えています。しかし、原作ではシステム・コールの後に30ワード以上にもおよぶ長大なコマンドを高速で詠唱しました。
エルドリエの鞭約4メートルに対して、キリトの鎖は約1.2メートル。
キリトは圧倒的なリーチの差があることを十分に意識し、間合いに注意を払っていました。
しかし、エルドリエの光り輝く鞭は一瞬にして4倍近くにまで伸びると、咄嗟にガードしたクラス38の鎖をあっさりと削り取ってしまったのです。
キリトは一人ではとても勝ち目がないことを悟ると、ユージオとの共闘によって打開策を見出そうとしました。
この時、アニメではカットされていますが、原作ではユージオが、エルドリエが唱えた長大な術式が「武装完全支配術」という超高等神聖術であることをキリトに伝えています。
武装完全支配術の詳細については、おそらく次の第十三話か第十四話で説明されるでしょう。
ちなみに、完全支配状態の霜鱗鞭は間合いが50メートルにも及び、最大で7本に分裂するという非常に厄介な武器です。
神聖術による攻防
「システム・コール!ジェネレート・サーマル・エレメント!」
キリトは武器から術へと切り替え、火炎系攻撃術の起点となる「熱素」の神聖術を唱えました。
「ジェネレート・クライオゼニック・エレメント」
それに対抗するように、エルドリエは「凍素」を生成します。
「フォーム・エレメント・アロー・シェイプ」
次に、キリトは生成した熱素を飛翔速度と貫通力を重視した矢の形態へと変化させました。
「フォーム・エレメント・バード・シェイプ。カウンター・サーマル・オブジェクト」
それを見透かしたかのように、エルドリエは凍素をホーミングに適した小さな鳥の形状へと変え、キリトの熱素に対抗します。
「ディスチャージ!」
キリトとエルドリエが同時に「ディスチャージ!」と叫ぶと、放たれた術がぶつかり合い、大きな爆発が起こりました。
キリトはその爆発エフェクトを利用して一気にエルドリエとの距離を詰め、攻撃に転じようとしました。しかし、完全支配状態の霜鱗鞭による反撃を受け、吹き飛ばされてしまいます。
記憶解放の奥義で窮地に立たされるキリトとユージオ
その後、キリトはユージオと絶妙なコンビネーションを発揮し、エルドリエに手傷を負わせることに成功します。
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「リリース・リコレクション」
しかし、完璧なタイミングで放とうとしたユージオの渾身の一撃は、エルドリエの「記憶解放」の奥義で一匹の蛇と化した霜鱗鞭によって防がれてしまいました。
アニメ版のエルドリエ戦は、かなりの部分がカットされているため、彼の強さが分かりにくく感じましたが、原作ではキリトがグラスの破片を飛ばしたり、視線でフェイントを掛けたりと、様々な策を巡らせることで、ようやくエルドリエに手傷を負わせるに至っています。
この攻防の様子は非常に面白く描かれているので、ぜひ原作を読んでみてください。
エルドリエの正体はノーランガルス北帝国代表剣士
「あなたは今年のノーランガルス北帝国第一代表剣士。そして、四帝国統一大会の優勝者、エルドリエ・ウールスブルーグ」
ユージオは戦う前からエルドリエという名前が気になっていたようです。そして、実際にエルドリエと戦ったことで、その気持ちは確信に変わったのでした。
この世界には、ネットやテレビ、ラジオなどのメディアは存在しません。情報を伝えるメディアといえば、週に一度発行される原始的な “壁新聞” のみです。
キリトは当然見ていませんでしたが、マメなユージオは毎週欠かさずチェックしていました。
原作では、エルドリエについてかなり前(ティーゼたちが囚われたあたり)に、もう少し詳しく描かれています。
- ウォロとリーナ先輩を破ったのがエルドリエ
- リーナ先輩は鞭を斬られ剣を飛ばされて敗北
- ウォロは左肩の骨を粉々に砕かれて敗北
- ウールスブルーグ家は一等爵家で帝国貴族の中でも名門中の名門
- 四帝国統一大会にも見事優勝し、公理教会の聖なる庭に招かれる栄誉に浴した
エルドリエの記憶と整合騎士としての自我の葛藤
「私が……北帝国、代表剣士……?エルドリエ……ウールスブルーグ……?」
エルドリエは自分がウールスブルーグなどではなく、最高司祭アドミニストレータに招かれ、一ヶ月前に天界からこの地に召喚された整合騎士シンセシス・サーティワンだと主張しようとしました。
しかし、次の瞬間、彼の額の中央から紫色の三角柱が現れます。
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キリトは、エルドリエの額に現れた三角柱が過去の記憶に反応していることに気づきました。そこで、キリトはユージオに対し、エルドリエについて知っていることを話すよう促します。
ユージオが母親である “アルメラ” の名前を口にした瞬間、額の三角柱が強く光ると同時に、エルドリエの目から涙があふれ出したのです。
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次回に続く…
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