©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
囚われたティーゼとロニエを救うために、ウンベールを傷つけ、ライオスを殺してしまったユージオとキリト。
禁忌を犯し、大罪人となってしまった二人は、公理教会に引き渡されることになりました。
ユージオは、二人を連行するために現れた公理教会整合騎士の姿を見て驚きました。その騎士は “アリス・シンセシス・サーティ” と名乗ったのです。
実は、その整合騎士こそ8年前にユージオの目の前で連れ去られた “アリス・ツーベルク” 本人でした。
第十話はいろいろな意味で凄い回でしたが、第十一話は繋ぎの回であり、特に見せ場もありません。そのため、気になったところだけを気ままに書いていきたいと思います。
第十一話「セントラル・カセドラル」のあらすじと感想
アリスに連行されるキリトとユージオ
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ユージオは、幼馴染のアリスと同じ姿・声・香りをした整合騎士アリス・シンセシス・サーティに触れようとして、強烈な一撃を食らいました。
「……言動には気をつけなさい。私にはお前たちの天命を、七割まで奪う権利があります」
アニメではカットされていますが、原作では、このアリスの一撃でユージオの天命が1割5分減少したという描写があります。これは大ダメージですね…。
二人の剣を運ぶティーゼとロニエ
おとなしくアリスに連行され、拘束具で縛られたユージオたち。
そこに、二人の愛剣である “青薔薇の剣” と “黒いの” を持ったティーゼとロニエが現れます。
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二つの剣はクラス40以上。アニメでは、ティーゼとロニエは苦しそうではあるものの小走りでユージオたちに向かってきますが、原作では、二人は掌に血を滲ませながら懸命に歩みを進めて剣を持ってくるという描写になっています。
ティーゼたちのOC権限では持ち上げることすら難しい化物のような剣を、軽々と持ち上げるアリス。このシーンは、アリスの底知れぬ力を端的に表現しています。
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別れの際、ティーゼはいつか整合騎士になってユージオを助けに行くと誓い、ロニエは言葉にならない想いをキリトへのお弁当に込めるのでした…。
現実世界のオーシャン・タートルの様子
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キリトとユージオが飛竜の足に縛りつけられ、空高く舞い上がった後、物語の舞台は現実世界のオーシャン・タートルへと移ります。
アスナは、STLによる脳神経ネットワーク再生治療を受けているキリトを見つめていました。
EMOMと人工フラクトライトの器
その後、アスナはオーシャン・タートル内の鋼鉄製螺旋階段を登っている時に、「エレクトロアクティブ・マッスルド・オペレーティブ・マシーン」、略して「EMOM」と呼ばれるロボットの “イチエモン” に遭遇します。
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比嘉は、菊岡の指示により、仮想世界アンダーワールドの人工フラクトライトが現実世界で行動するために必要な “器” を作ろうとしていました。
人工フラクトライトは、仮想世界では肉体を持っていますが、現実世界では魂だけの存在です。そのため、現実世界で行動するには、その魂が宿るための器(デバイス)が必要なのです。
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「だいたいポリマー筋肉が前時代的なのよ。CNT使いなさいよ、そうすればもっと軽くなるでしょ」
ロボットに使う人工筋肉について、熱い議論を交わす比嘉と凛子。
予算を気にする比嘉に対し、凛子はポリマーではなく、より軽量で高性能なCNT(カーボンナノチューブ)を使うべきだと主張しています。
その後の話で、イチエモンはデータ収集用の試作機であり、より高度なAIを搭載した試験用の二号機 “ニエモン” も存在することが明らかになりました。
ニエモンがイチエモンよりも高度な理由が「オートバランサー」にあることを一瞬で理解したアスナ。まるで二人の天才科学者に匹敵する知能の持ち主のように見えました。
ただし、これはアニメでの描写であり、尺の関係でこのようになっています。原作では、凛子がしっかりと説明した後、アスナはなんとかその内容を理解することができたという感じになっています。
「……比嘉くん。そのニエモンは、まだ自律歩行はできないのよね?」
ニエモンについての話の途中で、凛子は不意に何かが引っかかったような様子を見せ、こう言いました。この言葉の意味が明らかになるのは後のことです。
不審な二人のラース研究員
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アスナは、凛子と一緒に朝食を取るために食堂へと向かいました。
その途中、通路ですれ違ったラース研究員と思わしき二人組。
アニメでは、アスナはその二人組に対して少し何かが気になった程度の反応を見せるだけでしたが、原作ではこのように描写されています。
伸ばした髪を後ろで束ね、無精ひげを浮かせた男の横顔に見覚えはない。だが――頭の奥のほうがちくちくとする。もしここがアインクラッドなら、細剣を抜かないまでも、柄に指先をふれさせていたであろう感覚……。
ソードアート・オンライン11アリシゼーション・ターニングより
この時点で、勘の鋭い人なら、何かに気づいたかもしれませんね。
アスナが感じた奇妙な感覚の謎も、後に明らかになります。
地下牢でのキリトとユージオの会話
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
物語の舞台は再びアンダーワールドへと戻り、地下牢に収監されたキリトとユージオの会話に焦点が当てられます。
アニメではこのシーンがカットされていますが、原作ではライオスの命を奪ってしまったことについてのキリトの考えが描かれています。
キリトは、ライオスの命を奪ったことに罪の意識を抱いているのは確かです。しかし、彼は2年前にルーリッド北の洞窟で斬り殺したゴブリンもライオスと同様に人工フラクトライトであることを認識していました。
もし、ここで罪の意識に苛まれて立ち上がれなくなるようでは、ライオスよりも強かったゴブリン隊長(ウガチ)に対して申し訳が立たないと考えているのです。
原作を読むと、キリトがライオスを殺めてしまったことに何の感情も抱いていないわけではないことがわかります。しかし、アニメしか見ていない人にとっては、キリトが無感情な人物に見えるかもしれませんね。
地下牢からの脱出と獄吏の境遇
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キリトとユージオは、現実世界では考えられない方法で両手を拘束していた鎖を破壊し、牢から脱出しました。
原作では、この場面でキリトが獄吏(看守)の境遇について考え込む様子が描かれています。
10歳になった時に与えられたであろう獄吏という “天職” 。
太陽の光が全く届かない地下牢で寝起きし、無人の牢屋を見回り、鐘に合わせて眠るだけの人生を送る彼の境遇に、キリトとユージオは複雑な感情を抱いたのでした。
薔薇の回廊と空間神聖力
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地下牢を脱出したキリトとユージオは、セントラル・カセドラル内部への侵入を目指し、柵に囲まれた通路を走っていました。
「初めて見るけど、間違いない。これ……《薔薇》だよ、キリト」
通路の至るところに咲いているのに当初は全くのスルーで、しばらく経ってからようやく周囲が薔薇だらけということに気付いたユージオ。
このシーンは、かなり不自然だったと思います。
実はアニメでは薔薇が咲き乱れていましたが、原作では、まだ花は咲いておらず、”蕾” の状態でした。
そのため、原作ではキリトもユージオもその存在に当初は気づかなかったのですが、アニメではその設定だけが残ってしまったために、このような不自然なシーンになってしまったのだと推測します。
また、アニメでは四大聖花についての説明がカットされているため、薔薇についても全く触れられていませんでした。
しかし、原作によると、薔薇は多くの神聖力を放出する四大聖花よりもさらに上位に位置し、「神々の花」とも呼ばれている非常に稀少な植物なのです。
薔薇は蕾の状態でも膨大な量の空間神聖力を放出します。
ここで、なぜ突然薔薇の話になったのかについて説明しましょう。アニメではカットされている原作での展開は、以下のようになっています。
- 薔薇が何千、何万と植えられている
- 薔薇は膨大な空間神聖力を放出する
- 空間神聖力が豊富なので高位神聖術を使うことができる
- 二人の剣が保管されている場所を調べることができる高位神聖術を使う
- その方向に向かう
原作を読むと、キリトとユージオは闇雲に通路を走っているのではなく、“青薔薇の剣” と “黒いの” が保管されている場所を目指していることがわかります。
整合騎士エルドリエ・シンセシス・サーティワンの登場
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「――私は整合騎士、エルドリエ・シンセシス・サーティワン。ほんのひと月前に《召喚》されたばかりで、いまだ統括地もない若輩だが、そこはお許し願おうかな」
剣の在り処を求めて迷路を進み続ける二人の前に現れたのは、アリスを師と仰ぐ整合騎士エルドリエでした。
この回は、できるだけ内容をカットしてテンポよく進めるという方針だったようですね。制作側の意図通り、物語は一気にエルドリエが登場するところまで進みました。
しかし、カットされた部分には、キリトやユージオの心情など、重要な要素がたくさん含まれています。
より深く作品を理解したい方は、ぜひ原作を読んでみることをおすすめします。
次回第十二話は「図書室の賢者」です。
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