©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
激しい戦いの中、キリトとアリスの武装完全支配術が複合した力により、二人は塔外へと吹き飛ばされました。
地上まで数百メートルもある塔の外壁に、キリトは何とか漆黒の剣を突き刺すことに成功します。しかし、その右手には人間二人分の体重に加え、超高優先度の長剣一振りと鎧一揃いの重みが掛かっていました。
キリトとアリスはまさに絶体絶命の状況に陥っていたのです。
第十七話「休戦協定」のあらすじと感想①
絶体絶命の状況から生まれた一時休戦
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
大罪人に命を救われる状況を良しとしないアリスは、キリトに掴まれている右手を振り解こうとします。
キリトはそんなアリスを何とか説得しようとしますが、壁に食い込む愛剣はいよいよ限界に近づいていました。
キリトは残された力を振り絞ってアリスを引き上げ、外壁の弱い部分に剣を突き刺すよう必死の形相で頼み込みます。
アリスが外壁に剣を刺すと同時に、キリトの黒い剣は継ぎ目から抜けてしまいますが、落下する寸前、アリスの右手がキリトの上着の後ろ襟を掴みました。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
アリスの表情には、ありとあらゆる種類の相反する感情が交錯していました。
この反応は他の人工フラクトライトには見られないものであり、アドミニストレータによる “魂の改竄” を経てもなお、アリスが《人間らしさ》を保持していることを示す重要な演出となっています。
キリトの提案と二人の協力体制の構築
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「合理的な提案である……と認めざるを得ないようですね。仕方ありません……」
アリスはキリトの提案に一定の理解を示し、休戦と協力の申し出を受け入れました。
キリトが考えていた具体的な協力方法は、“どちらかが落ちそうになったら助け合う” という単純なものでした。
「システム・コール!フォーム・オブジェクト。チェーン・シェイプ」
ロープがあれば、と言うキリトに応え、アリスは自らの籠手を形状変化させ、機能性に優れた “鎖” を生み出しました。
キリトは渡された鎖の一端を自分のベルトにしっかりと固定し、反対側の端を差し出します。アリスはそれをひったくるように受け取り、剣帯の金具に固定しました。
話し合いの結果、二人は唯一塔内に戻れるであろう95階「暁星の望楼」を目指して壁を登ることに決めました。
神聖術を駆使した壁登りの戦略
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「システム・コール!ジェネレート・メタリック・エレメント。ウェッジ・シェイプ」
キリトはまず鋼素を生成し、それを追加の術式とイメージ力で “大型ハーケン” に変形させました。
壁の継ぎ目にそれを突き刺し、鉄棒の蹴上がりの要領で一気に体を持ち上げ、ハーケンの上に乗ります。
キリトの計画は、この動作を延々と繰り返して95階を目指すというものでした。
空間神聖力の制限と生成オブジェクトの脆弱性
なぜ多くのハーケンを生成して、安全な足場を作ってからゆっくり登らないのか、という疑問が生じるかもしれません。
しかし、この世界には “あらゆる生産行為にはリソースが必要となる” という原則があり、ハーケンを生成する神聖術もこの原則に縛られています。
地上500メートルというこの高さでは、空間神聖力が豊富とは言えません。そのため、生成できるハーケンの数にも制限があるのです。
神聖力で生成したオブジェクトの天命(耐久値)は非常に低いため、キリトは負荷に耐えられるか心配していました。
しかし、ある程度の時間なら持ちそうだと判断し、自分と同様の手順で登るようアリスに指示します。
想定外への適応困難とアリスの可愛らしい反応
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「……りです。……無理です、と言ったのです!」
個人的に、この場面でのアリスの反応は、彼女の最も可愛い瞬間の一つだと思います。
この世界(アンダーワールド)の人々は、想定外や常識外の状況を苦手とする傾向があり、ライオスのように、本来あり得ない事態に適応できず魂が崩壊してしまうこともあります。
アリスも何とか適応しようとしていましたが、さすがに限界だったのでしょう。
これらを理解したキリトは、アリスを補助しながらほぼ独力で壁を登っていくことを決意するのでした。
次回へつづく…
コメント