©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
激しい戦いの中、お互いの武装完全支配術が複合することによって発生した力で塔外へ吹き飛ばされたキリトとアリス。
地面まで数百メートルの塔の外壁に何とか漆黒の剣を突き刺したキリトでしたが、その右手には人間二人と超高優先度の長剣一振り、鎧一揃いの重みが掛かり、まさに絶体絶命の状況にありました…。

休戦協定
一時休戦、協力して九十五階へ
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大罪人に命を救われている状況を良しとしないアリスはキリトに掴まれている右手を振り解こうとします。
キリトはそんなアリスを何とか言い包めようとしますが、壁に食い込む愛剣はいよいよ限界に近づきつつありました。
キリトはありったけの気合いを迸らせてアリスを引っ張り上げ、外壁の弱い部分に剣を突き刺すよう必死の形相で頼み込みます。
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アリスが外壁に剣を刺すと同時に黒い剣は継ぎ目から抜けましたが、落下するより一瞬早くアリスの右手がキリトの上着の後ろ襟を掴みました。
アリスはありとあらゆる種類の相反する感情に苛まれた表情で逡巡していましたが、これは他の人工フラクトライトには有り得ない反応であり、アドミニストレータによる”魂の改竄”を経ても、なおアリスが《人間らしさ》を持っていることが解る演出になっています。
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「合理的な提案である……と認めざるを得ないようですね。仕方ありません……」
キリトの言い分に一定の理解を示したアリスは、休戦と協力の申し出を受け入れます。
キリトが考えていた具体的な協力方法は、どちらかが落ちそうになったら助けるというもの。
「システム・コール!フォーム・オブジェクト。チェーン・シェイプ」
ロープがあれば…というキリトに応えて、アリスは自らの籠手を形状変化させ機能性に優れた鎖を作りだしました。
キリトは渡された鎖の一端を自分のベルトにしっかりと固定し、反対側の端を差し出すと、アリスはひったくるように受け取り剣帯の金具に固定します。
話し合いを経て、二人は唯一塔内に戻れるであろう九十五階《暁星の望楼》を目指して壁を登ることになりました。
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「システム・コール!ジェネレート・メタリック・エレメント。ウェッジ・シェイプ」
キリトはまず鋼素を生成し、それを追加の術式とイメージ力で”大型ハーケン”に変形させました。
それを壁の継ぎ目に突き刺すと、鉄棒の蹴上がりの要領で一気に体を持ち上げ、ハーケンの上に乗ります。
それを延々と繰り返し、九十五階を目指すというのがキリトの考えでした。
なぜたくさんのハーケンを生成して、足場を盤石にしてからゆっくり登らないのかという声が聞こえてきそうですが、この世界には”あらゆる生産行為にはリソースが必要となる”という原則があり、ハーケンを生成する神聖術もその原則に縛られています。

地上五百メートルというこの場所の空間神聖力は豊かとはいえないため、生成できるハーケンの数にも限りがあるのです。
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神聖力で生成したオブジェクトの天命(耐久値)は非常に少ないため、負荷に耐えられるかを心配していたキリトでしたが、ある程度の時間なら持ちそうだと判断し、自分と同様の手順で登ってくるようアリスに指示します。
「……りです。……無理です、と言ったのです!」
この回でアリスが一番可愛らしいところは間違いなくここでしょうね。
アリス云々ではなく、この世界(アンダーワールド)の人間たちは想定外や常識外の状況を苦手とする傾向があります。(ライオスのように本来有り得ない事態に適応できず魂が崩壊してしまうことも)
アリスはそんな状態でも何とか適応しようとはしていますが、さすがに限界だったのでしょう。
そのあたりを理解したキリトはアリスを補助しながらほぼ独力で壁を登っていくことを決意するのでした。
次回へつづく…


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