©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
大図書室の賢者カーディナルからアドミニストレータや世界の終末、自身の目的を聞かされたキリト。
キリトとユージオは全ての準備を整え、愛剣が補完されているであろうセントラル・カセドラル三階の武具保管庫を目指します。

アリシゼーション編第二クールが始まりました。
ここからは整合騎士との戦いが続きます。
紅蓮の騎士デュソルバート
ユージオの密やかな決意
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カーディナルによって武具保管庫近くの廊下に送られたキリトとユージオ。
アニメでは、すぐに武具保管庫内へと移りますが、原作ではユージオの心情が約六ページに亘って描かれています。
ユージオは自らを歴史上最も罪深い人間であると認めつつも、たったひとつ残された目的を為し遂げるためなら、これからどれほどの血に手を染め、罪に魂を汚そうとも前に進むと自分に言い聞かせます。
アリスの《心の欠片》を取り返し、整合騎士アリスを村娘アリス・ツーベルクに戻して懐かしいルーリッド村に送り届けるというたったひとつの目的…。
それを達成した後、罪人である自分が唯一行ける場所である闇の国で過ごすことをユージオは決意していました。
ユージオは前を行くキリトの背中を見詰めながら、声に出さずにそう訊ねるのでした…。
その後、武具保管庫に入って愛剣である”青薔薇の剣”と”黒いやつ”を取り戻した二人は、ついでに新しい服に着替えて先へ進みます。
キリトの機転
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キリトとユージオが武具保管庫の扉をわずかに開くと同時に何本もの鋼矢が飛来します。
二人を待ちうけていたのは、整合騎士デュソルバート・シンセシス・セブンでした。
四本の矢をつがえ、今にも放とうとしているデュソルバートを見たキリトは即座に叫びます。
「バースト・エレメント!」
キリトが狙ったのは、武具庫内部を照らすために呼び出した光素を開放し膨大な光を生み出し、デュソルバートの目を眩ませることでした。
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「前だ!」
狙いどおり回避に成功したキリトとユージオは、一気にデュソルバートとの距離を詰めます。
光素爆発によってあと数秒は視力を奪われた状態が続くと読んで近接戦闘へと持ち込む算段でした。
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しかし、次の瞬間デュソルバートは驚異の行動に出ます。
なんと、矢筒に残る全ての矢をまとめて長弓の弦につがえたのです。
アニメではカットされていますが、この時のユージオは、”細い弦一本で、三十もの矢をまともに撃てるはずがない”と考えていました。
キリトも同じくデュソルバートの意図を咄嗟には判断しかねましたが、直感で回避を選択し、ユージオにも左後ろに跳ぶように促します。
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赤鎧の騎士は弦を切りながらも、全ての矢を放ち、キリトとユージオに矢の雨を降らせます。
デュソルバートの視力が万全ならば、二人とも穴だらけになっていたところでしたが、キリトの咄嗟の機転もあって、何とか回避に成功。
踊り場に立つ騎士はまさに弓折れ矢尽きるの状態でした。
解放された熾焔弓
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「システム・コール!――エンハンス・アーマメント!」
垂れ下がった二本の弦の先端に橙色の炎が生まれ、長弓の両端に炎が達した瞬間、弓全体から真紅の火焔が巻き上がります。
それは、武装完全支配術によって解放された神器《熾焔弓(しえんきゅう)》の姿でした。
デュソルバートが弓の本来弦があるべき位置に右手を据えると、強烈な炎が迸りたちまち炎の矢へと形を変えます。
「弦切れも矢切れも関係なしか」
息を呑む光景にキリトも思わず唸りました。
不死鳥VS黒い盾
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「連射は不可能、そう信じる。初撃をどうにかして止めるから、お前が斬り込むんだ」
キリトが考えた策に不安を抱きつつも、”キリトが止めると言うなら止めるだろう”とユージオも腹をくくります。
「――解った」
不意に動いたキリトを追うようにユージオも走り出します。
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「システム・コール!ジェネレート・クライオゼニック・エレメント。ディスチャージ!」
キリトが高速詠唱により生成した凍素は一列に並んだ五つの大きな氷の盾へと変化します。
「笑止!」
デュソルバートは炎の矢というよりも、もはや槍と言うべき劫火の塊をキリトに向けて発射しました。
猛烈な炎の槍はキリトの作った氷の盾を一、二、三…と次々突破していきます。
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そして、最後の五枚目の盾と衝突した瞬間、炎の槍は不死鳥の如き姿へと形を変えました。
不死鳥と化した炎は最後の盾を破壊し、猛然とキリトに襲い掛かります。
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「うおおおおお!!」
キリトが裂帛の気合いと共に放ったのはアインクラッド流防御技《スピニングシールド》。
視認が不可能なほどの勢いで旋回する刀身は、まるで漆黒の盾のよう。
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スピニングシールドはソードアート・オンライン一期七話【心の温度】でアインクラッド五十五層のドラゴンが放つブレスを防ぐために使った防御技です。
スピニングシールドによって炎の一部を切り裂くことができましたが、少なくない量が爆発を起こしキリトの体は弾かれたように宙に舞い後方の壁に激突します。
剣に込めるべきもの
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「止まるな、ユージオ!!」
自分を心配して叫ぶユージオにキリトは空中に投げ出されながらも叫び返しました。
“彼は言ったことを果たした。ならば自分もそうしなくては”と、ユージオは逡巡を振り捨て、一気に階段を駆け上ります。
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デュソルバートが帯剣していない以上、この距離まで接近できた時点で自分の勝ちだと確信していたユージオ。
しかし、デュソルバートは凄まじい炎を宿した拳で迎え撃ちます。
――どうする!?
剣と拳では、普通に考えれば全てにおいて剣が上。けれども、階段三段分の高さという地の利を得たデュソルバートの拳に青薔薇の剣で押し勝てるのかという不安がユージオの中で芽生えます。
――この世界では、剣に何を込めるのかが重要なんだ。お前の剣に込めるべきものは、お前が自分で見つけなきゃいけない。
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誰にも負けないくらい稽古し、さまざまな秘奥義を会得したものの、未だに剣に込めるべき何かを見つけていなかったユージオ。
もしかしたら生まれついての剣士ではない自分には永遠に見つけることができないかもしれないとも考えていました。
しかし、今のユージオには”記憶を奪われ、整合騎士に変えられてしまったアリスを取り戻す”という確固たる目標があります。
無力だった八年前、連れ去られようとしているアリスをただ見ているだけしかできなかった自分…。
ユージオは今度こそアリスを助けてみせるという強い決意を青薔薇の剣に込め渾身の一撃を放ちます。
秘奥義バーチカル・アーク
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「お……おおっ!」
仄かに透き通る青薔薇の剣の刀身を鮮やかな青い光が包みます。
空中の一点で静止する剣と拳。
膠着状態を破ったのは、熾焔弓から放たれる猛烈な炎でした。
炎は青薔薇の剣を舐めはじめ、明滅している刀身を赤熱させ始めます。
ここでもしデュソルバートに競り負けてしまいバーチカルを中断させられてしまえば、即座に灼熱の一撃を喰らうのは必然…。
――お前は、世界創世の頃から、果ての山脈の頂で極寒の吹雪に鍛えられてきたんだ。こんな炎なんかに、負けるな!
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ユージオが叫んだ瞬間、それに応えるように青薔薇の剣から冷気が迸りました。
刺すような冷気は剣を伝ってデュソルバートの拳までも真っ白な霜で包んでいきます。
デュソルバートはたまらず唸り声を漏らし、ほんのわずかに体勢を崩しました。
ユージオはその時を逃さず今まで溜めていた力を解き放ち、デュソルバートの拳を弾き返しました。
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ここで放ったユージオの秘奥義。
後に《バーチカル・アーク》とデュソルバートに話していましたが、この右上から左下に向けての剣閃はバーチカルなのでは…。
バーチカル・アークはVの字になるように、上から下への斬り下ろし→下から上への斬り上げの二連撃のはずだった気がします。
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ソードアート・オンライン一期の二話【ビーター】で第一層ボスである”イルファング・ザ・コボルトロード”へのとどめに使用した時も二撃目は斬り上げでした。
このバーチカル・アーク?によってデュソルバートに一撃を喰らわせたユージオはさらに勝負を決めるべく追撃します。
秘技中の秘技《秘奥義連携》
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通常あらゆる秘奥義は、撃ち終わった後に数瞬の硬直を強いられます。
もちろん斬撃が命中し、相手に大ダメージを与えればその問題は軽微ですが、もし受け流されたり躱されたり、今回のように当たりはしたものの敵の動きを止めるに至らない場合は致命的な反撃を受ける可能性がありました。
この硬直による隙を消す方法は以下の通り。
- 味方と入れ替わる
- 事前に生成しておりた風素を解放して風圧で間合いを作る
- 秘奥義連携
秘奥義連携は、技の出し終わりの姿勢を次の技の発動姿勢に重ねることで硬直時間を消し去ることであり、キリトですら五割の確率でしか成功が望めない超難易度の技術です。
――秘奥義連携。アインクラッド流秘奥義《スラント》。
ここも、バーチカル・アークを斬り下ろしで描いてしまったのでユージオの動きがとても不自然になっています。
本来なら、バーチカル・アーク二撃目の斬り上げを左肩に担ぐスラントの発動姿勢に重ねるように持っていくので自然なはずなのですが…。
ユージオはありったけの腕力と精神力を振り絞り、バーチカル・アーク二撃目の軌道上にある青薔薇の剣の動きを制御した。本来なら左上に高々と斬り上げられるはずの刀身を、左肩に担ぐような形に持っていく。
ソードアート・オンライン12 アリシゼーション・ライジングより
とにかく、この秘奥義連携スラントによって勝敗は決し、デュソルバートは肩から胸まで達する深い傷を負い戦いは終わりました。
次回に続く…


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