人形破壊者しろがねとオートマータに見守られて誕生した赤ん坊、エレオノール。
ギイはぶつくさと文句を言いながらも甲斐甲斐しく世話を焼いていました。
エレオノールを中心に回る穏やかな生活の中で、各々にはいろいろな変化が生まれます。
第18幕 微笑
ギイとフランシーヌ人形
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「これは尋問だ。企みがあるなら吐け。」
エレオノールの人生の門出を過去の怨念で飾りたくないと、アンジェリーナは破壊されることを望むフランシーヌ人形の要求を保留していましたが、それに納得できないギイはフランシーヌ人形に尋問します。
しかし、二人の話題は次第にエレオノールのことに…。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「エレオノールの前ではようやく別の何かになれそうな気がするのです。」
赤ちゃんと触れ合うオートマータというのがまたいい感じ。
原作を読んでいたときにも思ったんですが、フランシーヌ人形ってこれまでのオートマータの首魁としてのイメージとはずいぶん違って、思っていたよりもずっと素直で不憫なんですよね…。
そんなフランシーヌ人形が、エレオノールと触れ合うことで人間らしい感情に気づき始めている…ということを、ギイも感じたのかもしれません。
「汽車のおもちゃを作ってやった」
「おむつを取り替えた」
「パウダーをつけてやっている』
…などなど、二人の『エレオノールとのふれあい』自慢は続き…
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「あーちくしょう‼エレオノールかわいいよなぁ~!」
エレオノールに夢中な二人、かわいすぎる。
ツンデレと天然(とはちょっと違うけど)、この二人のツーショット大好きです。
襲撃
しかしそんな穏やかな日々も長くは続かず…
屋敷には、フランシーヌ人形の命令を聞かない300体以上のオートマータが柔らかい石を狙って襲来します。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「この子だけは守ってみせる‼」
エレオノールと、エレオノールの体内に移ってしまった柔らかい石を託され、懸命にオートマータたちから逃げるフランシーヌ人形。
エレオノールを抱いて走りながら、フランシーヌ人形はこれまで自分がしてきたことも造物主がしてきたことも間違いであったという思いに至ります。
しかしそのあたりの心情描写は残念ながらカット。
原作ではもうちょっと感情的にいろいろなことに考えを巡らせるフランシーヌ人形を見ることができます。
ま、ここはテンポも大事な場面なのでしょうがないですね。
そしてこの時フランシーヌ人形は、自分は人間にはなれないんだということを確信していたようですが、”自分よりも赤ちゃんが大事”という、アンジェリーナと同じ思いに駆られる彼女はもう十分人間らしさを手に入れていたように思います。
一生懸命なフランシーヌ人形は本当にけなげ…。
べろべろばあ
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「笑ってくれたの?こんな恐ろしい人形に…?」
オートマータたちに執拗に追い回されるうち、足を破壊され、勢い余って井戸に転落してしまった二人。
水がアクア・ウイタエに変わってしまった井戸の中で泣き叫んでいたエレオノールは、フランシーヌ人形の子守歌と「べろべろばあ」で無邪気に笑い出します。
その笑顔を見て自然に口元が緩むフランシーヌ人形…。
うんうん、嬉しかったんでしょうねぇ。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「べろべろばあ…」
フランシーヌ人形はエレオノールの前で、ようやく笑うことができました。
はぁ…(泣)
何回見ても泣ける…。あと音楽が卑怯。
寄り目の変顔バージョンも愛嬌があってすごくいい顔してましたけどね~。
“見返りを求めない”無償の愛の素敵な笑顔です。
「星が見えるわ…」
「なんて、いい気持ち」
フランシーヌ人形は足元からアクア・ウイタエに溶けていきました。
ママン・アンジェリーナ
一方、エレオノールを安全に逃がすために囮になったアンジェリーナは追い詰められ、回復不能なダメージを負っていました。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「僕をひとりにしないでよママン!」
「もっとママンと呼んで…エレオノールの分まで…」
もう、この結晶化ほんとヤダ。
絶対にどうにもならない、助かる方法はないってことをジワジワ突きつけられてる感じで、あぁぁ~ってなる!
この回辛すぎますね。
正二の「おう。また、すぐに会おうな。」も、あの笑顔が辛い…!
そしてギイにエレオノールをお願いねと言い残し、アンジェリーナは砕け散りました。
せっかくママンと呼べたのに…。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「エレオノールは僕が護るから だから帰ってきて‼」
悲しむ暇もなく、ギイはエレオノールを守るためにオートマータたちを追いかけます。
悲痛な心の叫びとともに次々とオートマータを破壊していくギイ。
現在のギイは「200体破壊者」という異名で知られていますが、その異名はこの時に鬼のような強さで200体(208体)ものオートマータを一人で破壊したことに由来しています。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「最期までエレオノールを守り通したんだな。」
フランシーヌ人形が井戸の壁を壊し、アクア・ウイタエを排出していたおかげでエレオノールは溶けることなく、ギイに助けられました。
「おまえは何かになれたのかい」というギイの問いかけが優しくて切ない…。
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