© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
ギイとルシールを狙って、ゾナハ病患者の子供たちが収容されている疫病研究所に襲い来るオートマータたち。
最後の生命の水(アクアウイタエ)を与えられ、子供たちの命によって生かされていることを自覚した鳴海は、無力な自分に苛立ち傷だらけになりながらも圧倒的な強さでオートマータたちを蹴散らします。
第7幕 Demonic
悪魔と道化
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怒りのあまり、まるで悪魔のような形相で戦う鳴海。
こわい。
ちょっとデトロイト・メタル・シティっぽいけど…。
原作でもこれほどの表情は描かれていませんでした。
この姿はオートマータを倒すため鬼にも悪魔にもなるという鳴海の決意の表れでもあります。
ギイさんはそんな鳴海のことを”何かを捨ててオートマータにとっての悪魔に変身している”と表現していました。
そして鳴海を怒らせたオートマータパウルマンは、粉々になる直前に人間の持つ恐怖の感情を初めて理解するのです。
しかし、あまりにも衝撃的な鳴海の戦いぶりを目の当たりにしてすっかり怯えてしまう子供たち。
守るべき子供たちをこれ以上怖がらせないために、鳴海はルシールから受け取った道化の仮面を着けます。
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「かまわねぇ、オレは戦うことしかできない悪魔になっても…子供たちを守るためならオレはしろがねになる」
ただひとり、恐怖を振り払って鳴海にお礼を言いに来てくれたトムを抱きしめながら思いを固める鳴海。
子供たちのために本気で怒った鳴海の気持ちが伝わった…というシーンですが、原作ではこのあとに少し切ないモノローグが描かれていました。
「下手くそな道化」というのが順番が入れ替わったりカットされている場面と繋がるセリフなので、このモノローグが外されるのはまあ、しょうがないですね。
だけど悲哀に満ちた鳴海の感情が胸を打つ最後の一文は、個人的にとても印象に残っています。
ともあれ、飛ばし飛ばしの内容ながらちょっとずつ物語の中枢が語られ始めた鳴海編。
ゾナハ病の謎と生命の水(アクアウイタエ)、そして真夜中のサーカスを率いるオートマータたち…
漫画よりもさらに唐突に過酷な状況に放り込まれた鳴海には少々同情してしまいますが、ひとまずこれでレイ疫病研究所でのお話はおしまいです。
ここでのエピソードは今後の鳴海の行動に深く影響を及ぼす出来事となります。
ヴィルマとの出会い
さて、場面は変わって次は勝サイド。
夏休みを利用して仲町サーカス一行と共に旅をしている…という和やかな導入でしたが…
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勝は、昼間動物園で芸を披露していたしろがねが出合ったナイフ使いの女性、ヴィルマに命を狙われます。
キャストが発表されるまでは、もしかしたらヴィルマは存在自体がカットされるんじゃないかと思ってましたがちゃんと弟のエピソードまでやってくれました。
かっこいい大人の女性ヴィルマは、井上さんの声だと”きれいなお姉さん”感が増しますね。
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「お坊ちゃまをお護りできれば…お坊ちゃまが御無事であれば…私のこの体は…明日さえ欲しがらない」
いいぃぃ…痛い…。
何度見ても胃がキュッとなるこのシーン。
ヴィルマさん、本当に子供以外には容赦ありません。
しかしどんな傷もたちどころに回復してしまう「しろがね」の前に成すすべなく任務は失敗。
隙をついて最後に投げたナイフも、ヴィルマはきっと当てないだろうと信じる勝の表情はとてもかっこよかったです。
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「私の血を飲んではいただけませんか」
意識が戻ればまた襲ってくるかもしれないヴィルマを助けようとする勝に、強い再生能力を持つ自らの血を差し出すしろがね。
突然の展開にちょっと驚きました。
血を飲ませるシーンはもっとあとのデウス・エクス・マキナ編(コミックスでいうと34巻あたり)に出てくるはずだったんですが、ここに入れるのか…。
ということは黒賀村はやっぱり大幅にカット…?
黒賀村のエピソードは長いので仕方がないけど、熱いシーンも多いので制作陣は苦しいところですね。
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その後、行き倒れを見つけたことにしてサーカスのトラックへと戻った勝たち。
リーゼの話が削られてトラックが1台しかないので、仲町さんとノリ、ヒロはすごいところで寝ています(笑)
自分を助けた勝の甘さに呆れながらも、勝と関わることで変わりたいと思い始めたしろがねの言葉を聞いて「人殺しより面白いこと思いついた」らしいヴィルマ。
原作ではこのあとに続く小さなエピソードの大道芸大会で、勝に助け舟を出すためにナイフ使いとして飛び入り参加し「人殺しよりも面白いことを思い出した」ことでサーカス入りを決意します。
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「レディース&ジェントルメン、ナイフ使いでございまーす」
翌朝、ヴィルマは仲町サーカスのみんなにナイフ投げの腕を披露。
強引に入団を認めさせました。
仲町さんの「合・格…!」って演出と勝の締めのモノローグ「鳴海兄ちゃん、やっぱりいいよねサーカスは」ってセリフには、なんだそりゃ…って気分ですが…
とりあえず勝サイドにも主要人物が揃ったので次回からはもう少しストーリーを楽しめる展開になるかもしれませんね。
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