黒賀の里に連れて来られた勝でしたが、そこで再会した祖父、正二の対応は冷ややかなものでした。
記憶のダウンロードによって勝がすでに貞義になっていると思っている正二は、自らの過去を見せ付けることで貞義に罪を自覚させようと、自身の血から通常の血液成分を除いて50%に薄めたもの(正二の記憶が溶けたアクア・ウイタエ)を勝に飲ませます。
それにより勝は、100年以上も昔の正二の過去を追体験することになりました。
第16幕 出会い
正二と白銀
まだ鎖国状態だった頃の長崎で、剣術を学びながら町医者をしていた正二。
その正二に幼い頃、医術や機功など世界の様々なことをを教えてくれたのが、医者として出島にやって来ていた白銀でした。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
過去編、正二の子供の頃の話は回想でまとめられちゃいましたね…。
原作では、白銀のこれまでの話を聞いた正二が過去を嘆く白銀に「新しい名前で生きなおして欲しい」と涙を浮かべて訴えるという感動的なシーンだったところも、なにやら楽しげな雰囲気でさらっと流されました。
まあ、テンポよくこういうスタイルで見せていくのもスムーズに話が進んでいいんですが…
白銀との出会いと交流は正二にとってとても重大な出来事だったし、個人的にもこの二人のエピソードは結構好きなのでもうちょっとゆっくり見てみたかった…!
© 藤田和日郎・小学館
特に「なんでもしっかりしまいまでやらんといかん」という兄の教えを守る正二の姿と、それに関するエピソードは白銀にクローグ村へ戻る決心をさせ、その後の物語に大きな影響を与えた部分でもあるはずなので、チラッとでも入れてほしかったかな…。
遠野太夫
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「人を助けるのに面子など必要ありんすか、ねぇ?先生。」
回想もそこそこに、36歳になった正二は仕事で出向いた遊郭で、遠野太夫という名で遊女をしているアンジェリーナと出会います。
深い孤独感に苛まれていたアンジェリーナはなんというか、ちょっとスレており、お互いの心象は最悪といった感じ…。
しかしアンジェリーナは「不死の身なら何をするか」という質問に「たった一人の女子に惚れ抜くことができる」と答えた正二の笑顔に心を動かされることになります。
簡潔な答えひとつでは意味不明な発言に聞こえるかもしれませんが、この正二の答えを補足すると、「学びたいことがたくさんありすぎて時間がいくらあっても足りない今は女に構っている暇はないが、人生が長久であるならば一人の女に惚れ抜くこともできるだろう」ということでした。
正二とアンジェリーナ
お互いの距離がちょっと縮まりそうな、そんな絶好のタイミングで、心中を図った迷惑な客の放火により炎に包まれた遊郭。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
アンジェリーナは不死である自分の正体を晒せばまた孤独になるとわかっていながら、正二を死なせたくないという一心であるるかんを操り、炎の中に逃げ道を作ります。
壮絶なのに綺麗なシーン。
相変わらずBGMは最高で、今回作画もいい感じだったので素晴らしい盛り上がりになりました。
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「どうだ、吐き出したいことがあるなら喋ってみぬか。」
その後、あるるかんに抱えられて飛び去ってしまったアンジェリーナを追って海辺の洞にやって来た正二。
ちなみにこの長崎編、原作では物語中のセリフがかなり強めの方言になっていて…
アニメではセリフが減っているとはいえ、シリアスなシーンになればなるほど長崎弁が気になってしょうがない…(笑)
私も長崎弁に詳しいわけじゃないですが、まあ、難しいですからね…方言。
それはさておき…
正二の優しい言葉に感情を抑え切れなかったアンジェリーナは堰を切ったようにこれまでの自分の過去を打ち明けます。
それによってまた拒絶されるのではないかと怯えるアンジェリーナでしたが、すでに正二は『しろがね』であるアンジェリーナを受け入れ、彼女が母ルシールから渡されていたアクア・ウイタエを飲み干していました。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
長崎の男、男前すぎる。
そして、長年抱いてきた母への誤解も解けたアンジェリーナは、生涯の伴侶を得てようやく孤独から開放されることになります。
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
「あちきはそんな主さんの笑顔が、いっち好き!!」
からくりサーカス屈指の名言、名シーン…
原作では遊郭の火事から脱出する時に言ったセリフでしたが、最後に持ってきたんですね。
確かに、カットが多いから火事の場面でこのセリフを言ってしまうと薄っぺらくなりすぎて違和感ありそう。
林原さんの演技も素敵だったし、この名セリフはここに持ってきてくれてよかったです。
でも個人的に一番感動したのは最後、アンジェリーナがルシールに語りかけるところかな。
しかしこの長崎編、もうちょっとしっかり見せてくれるかなと思っていたんですが思いの外カットも多く…
残念なのに!長崎弁も気になるのに!
それなのにやっぱりウルッときてしまうという…からくりサーカスとはなんとも罪な作品です。
原作の脳内補正すごい。
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