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【からくりサーカス】第2話…アニメでカットされた勝の心情描写

からくりサーカス第2話あるるかんとプルチネルラ

© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン

【からくりサーカス】第1話…劇伴音楽&作画は期待通り!
© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン からくりサーカス、いよいよアニメ放送が始まりました! 以前、"からくりサーカスの漫画を読んでいるときに脳内再生されていた声は誰か"…という記事を書きましたが

第二幕 約束

勝が運び込まれた診療所に突如として襲い来る人形使い。

雨の中、阿紫花の操る人形プルチネルラとあるるかんが対峙します。

2話目はストーリーに不自然さはなかったもののかなりカットされている部分がありましたので、感想とともに少し補足も加えていきたいと思います。



必殺技と鳴海の病気

レ ザア マシオウ

からくりサーカス第2話les arts martiaux

© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン

レ ザア マシオウ! 戦いのアート

戦いのさなか、しろがねが叫んだ”レ ザア マシオウ“という言葉は文字にするとles arts martiaux というフランス語。

lesというのはフランス語の定冠詞で、英語のtheに相当する冠詞です。

arts martiauxは武芸や格闘技といった意味で、英語で言うマーシャルアーツ(martial arts)ですね。

les arts martiaux の意訳、戦いのアートとは”必殺技”といった意味合いでしょうか

このあとにコランという技の名前が続きます。

からくりサーカス1巻les arts martiaux

© 藤田和日郎・小学館 

アレ?

なんだか違和感があると思ったらしろがねの手の平の向きが逆だ

こういうの気になるなぁ…。

小さな一コマなんだけど、ひとつの動きの違いだけでこんなにも美しさや躍動感が違ってくるんですね。

やっぱり藤田先生はすごい。

だけど、回転しているときに糸がどうなっているのか…なんてことは考えちゃいけません。

雰囲気を楽しみましょう。

鳴海の病気 ゾナハ病

1話目で鳴海におかしな行動をさせていた謎の病気の概要が2話目で明かされました。

鳴海が罹患しているのはゾナハ病(他者の副交感神経の優位状態認識における生理機能影響症)

ゾナハ病の症状…他人がリラックス状態であるかどうかを敏感に察知し、相手がリラックスしていないと感じると発作が起こる
ゾナハ病の発作…気管が急激に収縮して呼吸困難に陥り、全身の神経に激痛が走る。
ゾナハ病の治療…他者の副交感神経を自らが優位状態に導く=笑わせることでのみ一時的に発作を鎮めることが可能。世界でも症例の少ない奇病で根本的な治療法は現時点では謎。

アニメでは病院の先生が上手く整理して説明してくれていましたが、コミカルな鳴海の動きとは裏腹にとんでもなく恐ろしい病気です…。

なぜこんな病気が存在するのか、なぜこんな症状なのか…

物語が進むにつれ病気の全容が明らかになっていきますので、原作未読の方はぜひ話の筋道が繋がって伏線が回収される時をお楽しみに。



カットされた重要なシーン

勝としろがねの孤独

阿紫花の操るプルチネルラから勝を自分一人で守ることにこだわるしろがね…。

からくりサーカス第2話しろがねと鳴海

© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン

アニメでは、しろがねは鳴海に下がっていろと言い放ち、それを聞いた鳴海も戦いが始まるといつの間にかその場から消えてしまいます。

あまりにも空気のようにいなくなるのでちょっと違和感がありましたね。

 

しかし原作では、一人になることを異様に恐れて鳴海に縋る勝と、自分ではなく鳴海を頼る勝を見て余計に意地になるしろがね…という場面が描かれていました。

ずっと一人ぼっちだった勝は、しろがねが一人でやろうとする姿に自分の孤独を重ね、寂しさを募らせていたようです。

からくりサーカス1巻勝としろがね

© 藤田和日郎・小学館 

「一人はいやだよね…」

勝がしろがねに呼びかけるセリフが「一人はいやだよ」ではなく、「いやだよね」と、同意を求める形であるところが自分も、そしてしろがねにも一人になって欲しくないという勝の心情を表しているいいシーンだったんですが…

カットされてしまいました。

ここは勝がどんな子なのかを理解しやすくするためにもやって欲しかったなぁ…。

逃げ出す勝

辛くも阿紫花とプルチネルラを退けたしろがねたちですが、鳴海の家で落ち着く間もなく次の襲撃を受けます。

からくりサーカス第2話グリモルディに捕まる勝

© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン

阿紫花とは違う組織の人形使い、尾崎が操る”グリモルディ”に捕まってしまった勝…。

そのまま、わりとあっさりトラックで連れ去られてしまいました。

2話でカットされていた部分で、特に気になったのがここです

 

原作ではしろがねと鳴海が必死の抵抗を見せ、勝は一時グリモルディから逃れます。

しろがねはあるるかんで応戦し、鳴海も一撃殴られただけで無抵抗…なんてことはなく、得意の拳法で相手を驚かせていました。

そんな二人に逃げろと言われ、勝は自ら逃げることを選択して自らの足でその場から立ち去るのですが…

からくりサーカス1巻逃げる勝

© 藤田和日郎・小学館 

このときの勝の頭の中にはこれまでの怖かったこと、辛かったことがたくさん浮かんでいます。

そのことから、逃げるか逃げないかの選択がただその場から立ち去るだけのものではなく、勝の心理とも深く結びついているというのがよくわかりますね。

 

結局路地に出たところで追いつかれてトラックに乗せられてしまうのですが、目の前の人形からだけじゃなく、怖いもの、嫌な事から逃げ出したいという気持ちを表したこのシーンは今後の勝の成長を描くためには無くてはならないシーンだったと思います…。

これが無いと今後の勝の魅力が半減してしまわないかなぁ…。

カットされてしまって実に残念です。


早くも2話目からいろいろなところが気になり始めてしまいました…。

作画も1話目に比べると…しろがねの髪のつやが所々おかしく見えたり。

鳴海に下がっていろと言っているシーンのしろがねの頭なんてパチンコ玉みたいだな~なんて。

1話目はそんなに気にならなかったんですけどね。

 

ただ、要所でのキャラクターの表情はかなり忠実に再現しようとされてるのかなと思いました。

からくりサーカス第2話泣いている勝

© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン

アニメでは詳しく言及されなかったけど、結構なヒドイ目に遭っている勝。

からくりサーカス1巻泣いている勝

© 藤田和日郎・小学館 

藤田先生の絵は感情があふれ出る表情の描写が本当に絶妙です。

作画は今後も大事な場面だけでも気合いを入れて頑張ってほしいですね。

長い作品なのでカットが多くなるのもしょうがないんですが、さて3話目以降はどうなるでしょうか…。

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