前回のつづき…

ユージオの天職である”一日二千回ギガスシダーを叩く事“を終わらせ、二人はユージオの村”ルーリッド村“に帰る事に。
村への帰り道、ユージオはキリトにいろいろな話をします。
前任の”ギガスシダーの刻み手”であるガリッタ老人がいかに斧打ちの名人であるかや、村の同年代の少年たちがユージオの天職を楽なものだと考えていて、それに少し不満である事など。
キリトはこの世界が何を目的にして作られたのか、そして運用されているのかを疑問に思いながら、ユージオの話を聞いていましたが、その内物置小屋のような建物に到着しました。
「鍵かけなくていいのか?」
「なんで?」
「なんでって?盗まれたり…」
「大丈夫だよ。盗みをしてはいけないって禁忌目録に書いてあるじゃないか」
この世界の少し奇妙なところがここで現れます。
“禁忌目録”に違反するような事は100%起こらない。だから誰一人盗みを働く者などいない。
僕たちの世界でも当然法律で盗みをする事は禁じられていますが、それでも万引きや窃盗は後を絶ちません。
これがこの仮想世界と現実世界の大きな差なのかもしれません。
ルーリッド村
残念なアニオリ
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
ルーリッド村に着くと、村の入口に一人の若者が立っていました。
若者の名前はジンク。ユージオと同い年で、村を守る”衛士”が天職です。
「おい、ユージオ!」
「そいつは誰だ?」
「彼はキリト。どうやらベクタの迷子みたいで…」
ジンクはキリトが”ベクタの迷子”である事をユージオに聞いた後、疑わしそうにキリトの方を見ます。
「おまえ、本当に記憶がないのか?天職も忘れちまったのか?」
「ふん…どうせ大した天職じゃなかったんだろ? そこのユージオと同じで…何の意味もない無駄な仕事をしてたんだろうぜ」
「剣士…俺の天職は剣士かな」
ジンクにユージオの事を馬鹿にされたキリトは不敵な笑みを浮かべながら自分の天職は”剣士”だと言います。
キリトに、天職が剣士なら腕前を見せてみろと自分の剣を渡すジンク。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
剣を渡されたキリトは、プロレスラーの胴体くらいの太さの丸太を一刀で上下真っ二つに薙ぎ払いました。
驚くジンクとユージオ。
「ジンク、もういいだろ…キリトを村に入れるよ」
これは小説にはないアニメオリジナルのシーンです。
はっきりいってとても残念なアニオリを入れたものだと思いました。
おそらくアニメの脚本家はこのシーンを入れる事で、視聴者が盛り上がるだろうと思ったのでしょう。
小説ではキリトが”ベクタの迷子”である事をユージオから聞いたジンクはこんなつまらないやりとりをせず、すんなり村に入れてくれます。(これはジンクだけでなく村人全員)
中にいたのは、ユージオと同い年だというジンクという若者で、当初こそ俺を胡散臭そうな眼で見ていたものの、《ベクタの迷子》だという説明を拍子抜けするほどアッサリと受け入れて俺が村に入るのを許した。
小説「ソードアート・オンライン9 アリシゼーション ビギニング」
この部分はユージオの物置小屋のシーンと同じく、全く人間と同じように考え、そして話すユージオや村人たちなのに根幹の部分に”禁忌目録”という強大な何かがあってそれに強く縛られているといるという奇妙な感じを出すのに必要なシーンだと思うのです。
カットするだけなら問題ありませんが、キリトを面白おかしくする為だけにこんな風にしてしまうなんて…第一話のアスナとの会話もそうでしたが、とても残念だと思いました。
ルーリッド村の教会
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
村に入る事ができたキリトはユージオに連れられて丘の天辺に建つ教会に向かいます。
ノックに応えて現れたのは、厳格という単語を人型に具現化したような風貌の修道女”シスター・アザリヤ”でした。
小説内で、キリトがシスター・アザリヤを一目見て連想してしまったのは”小公女セーラ”に出てくる”ミンチン先生”。
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.
“小公女セーラ”が放送されたのは昭和の時代なのに知っているなんて、キリトは結構な”世界名作劇場”フリークなのかもしれませんね(笑)
キリトの予想に反してシスター・アザリヤは厳格ながらも優しい人物で、あっけなく受け入れてくれたどころか食事まで付けようと申し出てくれました。(食事内容は揚げた魚に茹でたジャガイモ、野菜スープ)
どうやらシスター・アザリヤは”ミンチン先生”ではなく、ハリーポッターの”マクゴナガル先生”タイプだったみたいです。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
教会でキリトの世話をしてくれたのは”セルカ“という小さな女の子。
外見は年端もいかない子供ですが、賢そうな感じで大人びた印象です。
「えーと…他に解らない事ある?」
「大丈夫。いろいろありがとう」
キリトはセルカから渡された毛布と枕をシーツの上に移動させ、ベッドにごろりと転がります。
長かった一日の疲れですぐにも寝入ってしまいそうでしたが、キリトには頭を整理する必要がありました。
キリトの頭に浮かんだことは以下のとおり。
- ここが現実世界ではない
- この村にはいわゆるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)は一人もいない
- 村人全員がテストプレイヤーとしてログインできるほどSTLの台数があるとは思えない
- ユージオの話によれば、この世界は内部時間にして三百年以上が経っていて、ユージオは少なくとも六年はここで過ごしている事になる
これらの事からキリトが導き出したのは”ユージオたちはこの世界で一から育った存在。おそらくは、生まれたばかりの人の魂をコピーして仮想世界内で成長させた、いわば人工フラクトライト“ではないかという事。
これは物語の非常に重要な部分なんですが、あっさり言っちゃった感じですね。
俺の思考の片隅には、すでにひとつの答えが浮かびつつあった。だが、それを言葉にするのはどうにも恐ろしかった。もし仮に、俺の考えていることが可能なのだとしたら――ラースという企業は、神の領域の遥か奥深くにまで手を突っ込んでいる。
小説「ソードアート・オンライン9 アリシゼーション ビギニング」
小説ではかなりぼかした表現になっており、この事実がはっきりと言葉にされるのはもう少し後になります。
小説ではいろいろな仮説を立てて答えを導き出そうとしているんですが、結構ややこしいのでこのくらいスピーディーなほうが話の筋が掴みやすいかもしれませんね。
他にもさまざまな疑問が浮かびますが、頭の中だけでは答えを知る事はできません。
キリトは眠りに落ちながら、央都に行ってこの世界の存在理由を見極めたいと思いました…。
第二話はユージオとの出会いの部分にかなり時間を割いた印象ですね。
とても大事なシーンなのでよかったと思いますが、村の入り口でのジンクとの絡みは全く必要のないエピソードだったと思います。
作画に関しては前回よりもよかったなと思いました。
特に風景は、この世界の美しさを僕たちに感じてもらう為に頑張ってくれたのかなと。
次回のタイトルは”果ての山脈”です。楽しみですね。


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