©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「あの……あたし、じゃない私は、公理教会修道女見習いのフィゼルです。そんでこっちが、同じく修道女見習いの……り……リネルです」
神器”熾焔弓”を操る整合騎士デュソルバート・シンセシス・セブンを辛くも打ち破ったキリトとユージオ。
カセドラル五十階、”霊光の大回廊”にて待ちうけているであろう複数の整合騎士への対策を話し合っていた二人の前に現れたのは小さな女の子たちでした…。

前回《紅蓮の騎士》に引き続き、今回《烈日の騎士》も激しいバトルが続きます。
烈日の騎士
フィゼルとリネル
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
髪の短い元気そうな女の子がフィゼル、髪の長いおとなしそうな女の子がリネルです。
ダークテリトリーからの侵入者を見物に来たと言い、ペラペラ喋る二人の言葉に何かが引っ掛かった様子のキリト。
一方、ユージオは次から次に話しかけてくる少女にたじたじです。
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「私の名前は、リネル・シンセシス・トゥエニエイトです」
「――で、あたしがフィゼル・シンセシス・トゥエニナイン」
二十八番目と二十九番目の整合騎士を名乗った少女たちに不意を突かれ、緑色の小剣で腹部を突き刺されたユージオとキリト。
ユージオは対抗策を取ろうとしますが、剣の麻痺毒によって体を動かすことはおろか声すら出せません。
少女たちはその場でユージオたちを殺すことはせず、生きたまま五十階まで連れて行くと言い放ちます。
このフィゼルとリネルという二人の女の子は、アドミニストレータが《蘇生》神聖術の実験に使うために塔内の修道士と修道女に命じて作られました。
彼女たちは五歳の時に”互いに殺し合う”という天職を授かり、八歳になり実験が終わるまで”死と蘇生”を何度も何度も繰り返します…。
結局三十人の子供たちのなかで生き残ったのはフィゼルとリネルのたった二人だけ。
天職を達成した暁に次の天職を選ぶ権利を得た二人は”整合騎士になりたい”という希望を元老に伝えます。
そして、当時新米整合騎士だったトゥエニエイトとトゥエニナインをあっさりと殺した二人は、アドミニストレータによって特例で整合騎士に任命されました。
あどけない二人の少女にはこんな凄惨な過去があったのです。
紅玉樫とルベリルの毒鋼
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自分たちよりはるかに重いキリトとユージオを引き摺りながらも、驚くべき速さで階段を上っていく少女たち。
あっという間にカセドラル五十階”霊光の回廊”に到着しました。
大扉が開くと同時に勢いよく投げ捨てられるユージオたち。
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20メル(メートル)はあろうかという高い天井と、創世の三女神と従者たちが描かれた大理石の天蓋。
荘厳な大回廊の奥には整合騎士が五人屹立していました。
「――そこにいらっしゃるのは、四旋剣の皆様と、副騎士長のファナティオ・シンセシス・ツー殿ですね」
挑発的な物言いのリネルとフィゼルを全く相手にしないファナティオ。
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その時、麻痺毒で動けないはずのキリトが素早く少女たちの毒剣を奪い反撃します。
キリトは毒剣で素早く少女たちを麻痺させると解毒薬を取り上げユージオに飲ませました。
麻痺状態のキリトがなぜ動けたのかと不思議に思っている少女たち…
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キリトは少女たちが帯びていた剣の鞘が”紅玉樫”製だと最初の時点で見抜き、予め”毒素分解術”を唱えていたのでした。
“紅玉樫”は”ルベリルの毒鋼”に触れても腐らない唯一の素材です。
そして、疑惑が確信に変わったのは”全修道士と修道女は部屋から出ないように命令されている”とフィゼルが言った時。
命令を破る者などいないカセドラル内で、命令に従っていない少女たちが本物の修道女見習いであるはずがないと思ったからでした。
ちなみに、なぜキリトがユージオさえ知り得ない知識を持っていたかですが、どうやらキリトは学院の図書館から武器名鑑の類を好んで借り出していたからのようです。
次回に続く…


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