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【SAOアリシゼーション】第六話⑤プロジェクト・アリシゼーション

saoALO内で話し合う女性陣

©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project

前回のつづき…

【SAOアリシゼーション】第六話④人工知能の権利と仮想世界での慣れ

 

菊岡がキリトを必要としていた理由を話し終えると舞台はALO内に移ります。

そこでアスナは皆にこれまでの経緯を話しました。

経緯を聞いた女性陣が皆それぞれに意見を言った後、キリトがSTLでアンダーグラウンドにダイブしていた時の話になります。



プロジェクト・アリシゼーション

キリトがもたらした成果

キリト、ユージオ、アリスのルーリッド村仲良し三人組

©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project

アスナは皆にアンダーグラウンド内で起こったことを説明しますが、これはアニメ第一話で描かれた内容です。

【SAOアリシゼーション】第一話②禁忌条項抵触の代償

 

ダイブ中の様子をもう少し詳しく説明すると、キリトは幼児期から他の被験者には見られなかった旺盛な好奇心と活動性を示します。

これは前回説明した”仮想世界への慣れ”によるものだと思われます。

好奇心旺盛なキリトは何度も禁忌目録違反寸前まで行ってはお仕置きを受けるような状態でしたが、キリトが禁忌を破ったとしてもそれは人工フラクトライトの構造的欠陥を示すだけなので菊岡らとしては複雑な心境だったようです。

その後も注意深く観察していたところ、比嘉がある興味深い事実に気付きました。

その事実とは、キリトと一緒に行動していた少年と少女の違反指数(予めチェックしていた禁忌違反にどれくらい近づいたかを表す値)が突出して増大しはじめたことでした。

つまり、キリトは記憶と人格を封印された状態でありながら、周囲の人工フラクトライトの行動に強い影響を及ぼしていたということです。

この時点で比嘉らの目線は”なぜ人工フラクトライトが規則に違反しないのか”から”たった一つでも《規則の優先順位》という概念を得た真の高適応性人工知能を手に入れる”に変わりました。

なぜなら前者の理由を突き止めるよりも後者を手に入れ複製加工するほうが成果を得られやすいからです。



A.L.I.C.E

saoALICE

©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project

キリトによって違反指数が増大した人工フラクトライトがどうなったかは第一話で描かれているとおりです。

少女(アリス)は他の人工フラクトライト(闇の国の騎士)を助けようと重大な違反である《移動禁止アドレスへの侵入》を犯しました。

つまりアリスは禁忌目録よりも他者の命を優先した=適応性を獲得した初めての人工知能ということになります。

しかし、第一話で描かれていたようにアリスは公理教会整合騎士デュソルバート・シンセシス・セブンによって央都に連れて行かれました。

比嘉らがアリスを物理イジェクトしようとした時には、公理教会によってある種の修正処理を施された後で使い物にならなくなっていたということです。

なぜアリスが禁忌を犯した後、速やかにイジェクトしなかったかですが、アンダーワールド内は対現実比一千倍という凄まじいスピードで時間が経過しているがゆえのタイムラグが原因のようです。

saoArtificial Labile Intelligence Cybernated Existence

©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project

ラースという組織を含めてすべての計画の礎となったひとつの概念には”人工高適応型知的自立存在”という名称が与えられていました。

  • Artificial…アーティフィシャル
  • Labile…レイビル
  • Intelligence…インテリジェント
  • Cybernated…サイバネテッド
  • Existence…イグジスタンス

これらの頭文字をとって《A.L.I.C.E》、アンダーワールドの住民の名前はそのほとんどがランダムな音の組み合わせとしか思えない奇妙なものばかりでしたが、適応性を獲得した初めての人工フラクトライトの名前が”アリス”だったという恐るべき偶然に菊岡らは驚愕したようです。

saoアリシゼーション・ランニング挿絵

アリシゼーション・ランニング/イラスト:abec

ラースの究極の目的はライトキューブに封じられたフォトンの雲を一なる《アリス》に変化させることであり、ラーススタッフたちはこれを短く縮めて《アリス化》と呼んでいるとのことでした。

菊岡は多くの機密を明らかにしながら、なおも謎めいた笑みを浮かべ言いました。

「ようこそ、我らが《プロジェクト・アリシゼーション》へ」


小説約百二十ページに亘る長い説明が終わりました。

川原先生は十年以上前にアリシゼーション編を書きはじめましたが、作品に登場するボトムアップ型人工知能の話等は今でも新鮮に読むことができます。

現在でも多くのAI権威たちが、自然言語を扱え、それを使って人間と意思疎通ができ、どんな問題も扱うことができる”汎用的人工知能(AGI)“を創り出そうと研究しています。

NHKの「最後の講義」にも出演されていた大阪大学の石黒浩教授やレンセラー工科大学のセルマー・ブリングジョード教授の研究は非常に面白いですね。

特にブリングジョード教授は”ある人を助けるために他人を犠牲にする”、”多数の生命を救うために少数を殺害する”等の複雑な問題に対してAIがどのような解決策を導き出すのかを実験しています。

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長も投資資金をAI分野に集中しているように今後も世界の関心はAIが中心です。

SBGを率いる孫正義会長兼社長は、人工知能(AI)などの分野で成長性の高い企業への投資に強い関心を示しており、SB株式の売却益はこうした企業への投資資金などに回す方針だ。

投資会社化を推進=AI傾斜、売却益振り向け-ソフトバンクG

SAOのような人気アニメを通して、今後の日本を担う子供たちに人工知能というものを知ってもらうためにもアニメで詳しく説明してくれることを期待していたのですが…原作をほとんどカットした内容だったので少し残念でした。

この記事ではアニメでは触れられなかった部分を中心にいろいろと書かせてもらいましたが、当然ながら原作はもっと詳しく分かりやすく書かれているので少しでも興味を持った人は是非読んでみてください。

山田孝太郎 (著), 川原 礫 (原著), abec (イラスト, デザイン)

次回につづく。

【SAOアリシゼーション】第六話⑥狂気のカリスマ茅場晶彦
【アニメSAOアリシゼーション】概要や感想記事まとめ

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