©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
第一話ラストで、旧SAOの殺人ギルドラフィンコフィンのメンバー”ジョニー・ブラック”こと金本の襲撃を受けたキリト。
目が覚めた時、彼がいたのは見知らぬ森の中でした。
差し込む陽光、甘い花の匂い、青々とした草、小鳥のさえずり、そして美しい蝶。
あまりにもリアルな風景や生き物を目にしたキリトは、すぐにこの世界が自分がアルバイトで数日間フルダイブしていたSTLが作る仮想世界”アンダーワールド“だと推測します。
それでは、第二話を見て感じた事や補足等を気ままに書いていきたいと思います。
第二話「悪魔の樹」のあらすじと感想①
現実世界と仮想世界の区別
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
アニメでは、キリトが数分で「今いる場所=アンダーワールド」という結論に至っています。しかし、小説では、この結論に至るまでにかなり時間がかかっており、他の可能性もなかなか排除できずにいました。
「ええと……ここが現実世界のどこかである可能性が、3パーセント。従来型VRワールドである可能性、7パーセント。合意によるSTLテストダイブである可能性、20%。ダイブ中の突発的事故である可能性、69.9999%……ってとこか……」
小説「ソードアート・オンライン9 アリシゼーション ビギニング」
その後、キリトは森の中をさまよい、川を見つけました。彼が川の水を飲んだ時、この世界が従来型のVRワールドであるという可能性を完全に排除しました。
余談ですが、液体を完璧に生成するのは、有限個の座標を平面で繋いだオブジェクトであるポリゴンには難しいようです。
これはVRエンジニアの中では常識みたいですね。
もし現実世界と仮想世界の区別がつかなくなった時は、水をすくってみるといいかもしれません(笑)
川原氏が感じているVR環境の難しい表現としては、髪の毛以外にも「液体と食べ物」も挙げる。水をすくい上げてこぼれるような表現について、原田氏は「どれだけ処理ができるか」という問題であり、将来的にはできるではないかと予測する。
奇妙な音と不思議な光景
川の水を飲み、乾いた体を潤したキリトの耳に、巨大な何かを打ち据えたような奇妙な音が聞こえました。
音の聞こえる方に向き直った瞬間、不思議な光景が浮かびました。
亜麻色の髪の男の子と麦わら帽子を被った金髪の女の子…
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「今のは…なんだろう。とても懐かしくて、悔しくて…」
キリトはこれは幼い頃の記憶なのかと強く感じましたが、物心つくころからずっと暮らしている埼玉県川越市にはこんな光景はなく、さらにこの二人と友達だったことも当然ありませんでした。
僕たちはこの二人を知っていますが、キリトは覚えていないようです。
キリトは、もしかしたらこれが前に行った連続ダイブ試験の時の記憶なのかもしれないと考えました。
しかし、“フラクトライト・アクセラレーション(FLA)”の思考加速は最大で3倍程度と聞かされており、仮想世界で過ごした10日程度でこのような郷愁が生まれるはずはないと考え直しました。
ベクタの迷子と少年との出会い
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
様々な疑問をひとまず忘れ、変わらず聞こえている連続音の方へと歩くキリト。
音が聞こえる川の上流を目指してひたすら歩き、風景を楽しむ余裕も取り戻せた頃、途轍もないとしか言えない光景を目にしました。
キリトが目の当たりにしたのは、写真や映像で見たことのある巨大な屋久島の縄文杉やアメリカのセコイアとは比べものにならない、圧倒的な存在感を放つ巨大な針葉樹でした。
樹高世界一の木として有名なセコイア”ハイぺリオン”は、高さ115.61m、直径4.84mという化物のようなサイズを誇ります。キリトが見た木は、このハイぺリオンと同等以上の存在感があったのでしょう。
キリトは、何度か感嘆の溜息を漏らしながら巨樹の幹に近づいていきました。そして、木の根本に座っていた少年と目が合ったのです。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「君は誰? どこから来たの?」
キリトは、初めて遭遇した人間に警戒していましたが、少年は全く敵意のない様子で話しかけてきました。
キリトは、この少年について次の3つの可能性を考えました。
- ダイブ中のテストプレイヤーであり、キリトと同じく現実世界の記憶を保持している。
- テストプレイヤーだが記憶の制限を受けていて、この世界の住人になりきっている。
- NPC(ノンプレイヤーキャラクター)である。
もし少年が①なら、事情を話せば問題なくログアウトできるでしょう。
しかし、②や③の場合はVRやSTL、ログアウト等の意味不明な言葉で話しかけても理解できるはずもなく、少年に激しい警戒心を起こさせ、その後の情報収集が困難になる可能性があります。
キリトは、先ほど考えた3つの可能性を踏まえ、できるだけ安全そうな単語のみを使って少年と会話することにしました。そうすることで、この少年が①~③のどれなのかを見極めようと考えたのです。
「ええと…俺の名前は…キリトだ」
「あっちの方からきたんだけど、ちょっと、道に迷ってしまって…」
キリトの言葉を聞いた少年は、より詳細な場所を尋ねてきました。しかし、キリトはこの世界について何も知らないため、当然答えられるはずもありませんでした。
「俺も、自分がどこから来たかよく判らないんだ…」
もしかしたら、この言葉を聞いた少年がログアウトの方法を教えてくれるかもと期待するキリトでしたが、返ってきた言葉は…
「驚いたなあ…話には聞いていたけど…見るのは初めてだよ。ベクタの迷子を」
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
少年の話によると、ある日突然いなくなったり、逆に森や野原に突然現れる人を、村では”ベクタの迷子“と呼んでいるそうです。
その理由は、闇の神ベクタが悪戯で人間をさらい、生まれた時からの記憶を引っこ抜いて、遠い土地に放り出すからだと言います。
少年の正体を探るキリト
少年との会話を通じて、彼がテストプレイヤーである可能性は非常に低いと考えたキリトは、VRやSTLといった用語を使って、何らかのフラグを立てようとしました。しかし、少年からは一切反応がありませんでした。
キリトは、この少年がテストプレイヤーもしくはNPCではあるものの、”自分が仮想世界にいる”という概念を持っていないと感じました。そのため、自然な会話を通じて情報収集を行うことにしたのです。
その後、キリトが少年に泊まれる場所があるかどうかを尋ねると、村には宿はないものの、事情を話せば教会のシスターが助けてくれるかもしれないと教えてくれました。
それを聞いたキリトは、一人で村に向かおうとしましたが、少年から村には衛士がいるため、よそ者が入るには手間がかかると聞かされました。しかし、少年と一緒に行けば、スムーズに村に入れてもらえるというのです。
キリトは、少年の助言に感謝の意を示しました。
この時点で、キリトはこの少年がNPCである可能性が限りなく低いと考えました。
その理由は二つあります。
一つ目は、少年の受け答えがあまりにも自然すぎること。NPCに搭載された擬似人格プログラムにしては、少年の反応は非常に自然で、まるで本物の人間のようでした。
二つ目は、少年がキリトに対して積極的に関わろうとする行動を取っていること。これは、一般的なNPCの行動パターンとは異なっていました。
キリトが少年について考えた結果、残る選択肢は②テストプレイヤーだが記憶の制限を受けていて、この世界の住人になりきっているというものでした。
しかし、この少年のように親切で自然な振る舞いができるということは、彼を動かすフラクトライトの持ち主がかなり親切な性格の人物なのだろうと、キリトは推測しました。
仕事があるのですぐには村に帰れないという少年をしばし(4時間…)待つ事にしました。
アニメではここまでで6分程度ですが、小説約34ページ分にあたります。
ただし、小説で長々と書かれていたのは主にこの世界の風景等の情報。アニメの良い所はそれらの情報を短い時間で僕たちに伝えられる事ですね。
人物や風景の作画も1話よりよくなっていた印象です。
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