©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「エンハンス・アーマメント!!」
人界とそこに暮らす民を守るために我が身を犠牲にし、懸命に戦うファナティオに圧倒されるユージオ。
憎しみではファナティオを倒すことはできないとユージオを諭したキリトは武装完全支配術の最後の一句を唱えました。

金木犀の騎士
キリトの武装完全支配術
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
キリトが術式を唱え終わった瞬間、黒い剣の刀身が脈打ち、刃のいたるところから、幾筋もの闇が溢れだしました。
闇はうねり、よじれ、そして絡み合い、圧倒的な質量を持った大槍へと姿を変えます。
ユージオは、キリトが発動させた完全支配術の正体を悟った。
彼は、術式によって黒い剣に眠る記憶を呼び覚まし、それがかつて誇示していた姿、数百年にもわたって切り倒されることを拒み続けた巨大樹を、この場に出現させたのだ。もちろん形や大きさは当時のままではないが、本質はまったく同じだろう。アリシゼーション・ライジング
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
ファナティオの天穿剣の放つ光とキリトの黒いのが放つ闇…
二つの対照的な力はしばしの拮抗を続けましたが、“ソルスの光を貪欲なまでに吸収し、己の力に変える”という特性を持つキリトの完全支配術に軍配が上がります。
ファナティオの最後の言葉、何度も聞き返してみたんですが聞き取れませんでした。原作でも明かされていなかった一言だったのでとても気になります。
瞼がゆっくりと閉じられ、口許がわずかに動いた。そこには何らかの感情が込められていたはずだが、ユージオにはそれが何なのか察することはできなかった。
アリシゼーション・ライジング
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
漆黒の巨樹の先端が光を喰い尽くした瞬間、恐ろしい勢いでファナティオは空中に跳ね上げられ天蓋に激突します。
打ち砕かれた壁画の残骸と共にゆっくりと落下した第二位の整合騎士はもう立ち上がることはありませんでした…。
天命移動術
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
漆黒の大槍が影のような流れになって黒い剣に吸い込まれ、もとの剣に戻ったとほぼ同時にキリトは崩れ落ちました。
「システム・コール!ジェネレート・ルミナス・エレメント!」
ユージオが唱えた治癒術(光素生成)には大量の空間神聖力を消費するので本来なら触媒(聖花珠など)が必要です。
けれども、現在この空間にはユージオの完全支配術によって整合騎士から吸収した天命が神聖力となって漂っていたので今回は問題ありませんでした。
ユージオの完全支配術にはこのような副次的効果もあります。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「システム・コール!トランスファー・ヒューマンユニット・デュラビリティ、セルフ・トゥ・レフト!!」
光素系神聖術で傷口を塞ぎ天命の連続減少を止めたユージオは、速やかに天命移動術を唱え、自分の天命をキリトに分け与えます。
この天命移動術は第四話でセルカがユージオを治療するために使ったものと基本は同じ。

この、術式の単純さに比べて効果が大きい天命移動術によって、ユージオが半分ほど自分の天命を流し込んだ時、ようやくキリトは目を覚ましました。
目を覚ましたキリトはユージオにフィゼルとリネルの対応を指示し、ファナティオの方へ歩いていきます。
アニメではユージオの対応の部分がカットされているので少し紹介。
ユージオは少女たちの毒剣を青薔薇の剣で一薙ぎして粉砕した後、入念にボディチェックして他の武器を持っていないか確認します。
そして、解毒剤を飲ませ、キリトとファナティオの強さの理由を二人に語ってからキリトを追っています。
キリトの決断
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
一方ファナティオは完全にダメそうな感じ…
アニメでは演出上、あまりボロボロにはできなかったのだと思われるので、わりときれいに表現されていますが、本来は眼を背けたくなるほど酷い状態でした。
熱線で胴と両足を四箇所貫かれ、右腕は薔薇の棘に引き裂かれたうえに大火傷、そしてキリトの最終攻撃をまともに喰らった上腹部には大人の拳大の貫通痕と、無傷な箇所がないほど…。
このケースの治療方法は、まず傷口を塞いで天命の連続減少を止めた後に、さきほどユージオが使った天命移動術などによって天命を回復する必要がありました。
しかし、キリトとユージオの二人掛かりでもファナティオの傷口を塞ぐにはいたらず、この状態ではたとえ天命移動術で一時的に天命を回復してもすぐに減ってしまい無駄になります。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
キリトの決断はカーディナルに渡された短剣を使うことでした。
カーディナルの短剣には攻撃力はほぼありませんが、刺された者とカーディナルの間に切断不可能の経路が接続され、カーディナルの用いるあらゆる神聖術が必中になります。

キリトはファナティオの治療を強力な神聖術者であるカーディナルに託したのでした。
このキリトの決断に異論がある人はたくさんいるのではないでしょうか。
この短剣はアドミニストレータを倒すため、そしてアリスを助けるために絶対必要なたった二本しかない貴重な道具…。
アニメではカットされていますが、ユージオもたくさんの正論をキリトに投げかけてファナティオの命を諦めるよう説得しています。
具体的には、地下牢でユージオに対して敵を殺す覚悟を問うたこと、完全支配術を使った時点で生き死にを覚悟していたのではなかったのか、ファナティオは死ぬ覚悟を持って戦っていた、などです。
ユージオは木剣ではなく、本物の剣を相手に向けるというのはそういうことなのだとウンベールの腕を切り落とした時に学びました。
そして、その覚悟をキリトは遥か昔から、ルーリッドの森で初めて出会ったあの時から知っているものだとユージオは思っていたのでした。
©川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project
「これを使えば助けられる……助ける手段があるのに、それを使わないなんて……俺にはできない」
キリトが今まで体験したさまざまなことが彼の心を複雑にしているのかもしれませんね…。
それはそうと、原作では”使わないなんて……”と”俺にはできない”の間に”命に優先順位をつけるなんて”という言葉が入っていたのですが、これを消したのは制作陣の良い判断だったと思います。
結局、カーディナルがファナティオの治療を引き受けてくれることになりました。
アドミニストレータがカーディナル探索用に放った蟲(使い魔)が気付いているからと、手短に今後の対策方法を教え、最上級回復薬まで送ってくれたカーディナル。
やっぱりアリシゼーション編で一番好きなキャラクターはカーディナルだと再確認した瞬間でした。

原作ではどうしてもイメージしきれなかった蟲の姿と、キリトとユージオの蟲関連のやりとりを楽しみにしていたのですが、そこはあっさりカットされてました…。
次回に続く…


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