後に“怪物”と呼ばれるその少女は、どこを目指して疾るのか――。
地方から中央の伝説へ。
青春“駆ける”シンデレラストーリー、遂に出走!!
【ウマ娘シンデレラグレイ】はCygamesによるメディアミックスプロジェクト『ウマ娘 プリティーダービー』の一作として週刊ヤングジャンプで2020年28号から連載されている作品です。
実在する競走馬と同じ名前を持つ、人とも馬とも違った存在の女の子たちがレース場を駆けめぐり熱い競争を繰り広げるというのがこの『ウマ娘』シリーズ。
ゲームに先駆けて2018年に放送されていたアニメ第1期を初めて観た時に、あまりにもぶっ飛んだ発想に衝撃を受けそこからとても気になっていたコンテンツです。
【ウマ娘シンデレラグレイ】では言わずと知れた名馬オグリキャップをモデルに、岐阜県カサマツの地から物語が展開していきます。
サブタイトルの【シンデレラグレイ】は競走馬オグリキャップの”灰かぶり”な芦毛の毛色と、地方から中央へと成り上がっていくシンデレラストーリー的な内容から。
ちなみにオグリキャップの祖父でアメリカの競走馬だったネイティヴダンサー(生涯成績22戦21勝!)は『グレイファントム』という二つ名で呼ばれていたので、その点もタイトルに影響を与えたようです。いつの間にか先頭に立っている”灰色の幻影”…おじいちゃんかっこよすぎ。
今のところ萌え要素少なめのスポ根漫画という印象ですが…だがそれがいい。
競走馬好きな女性にも読みやすい内容なのではないかと思います。
そんな漫画【ウマ娘シンデレラグレイ】の印象的なシーンや、かわいくてかっこいいオグリキャップの様子を史実のエピソードなども交えながらまとめました。
以下、ネタバレです!
ウマ娘 シンデレラグレイ 1巻の印象的なシーン
カサマツトレセン学園に入学
岐阜ウマ娘カサマツトレーニングセンター学園(カサマツトレセン学園) の入学初日、汚れたジャージ姿で遅れて教室に入ってきたウマ娘。
もうこの一面だけで、あ…この子天然や…と察しがついてしまう彼女こそが【ウマ娘シンデレラグレイ】の主人公オグリキャップです。
先生に「君、制服は?」と聞かれて「…?セーフクって何ですか?」と真面目に答えるほどの天然ぶりにはもうすでに大物感が垣間見える…。
大食いのオグリキャップ
(C) 久住太陽・杉浦理史・伊藤隼之介/集英社/Cygames, Inc.
物語の随所に見られるオグリキャップの食事シーン。
競走馬と同じく競争ウマ娘は体が資本。とは言えとんでもない量。
オグリキャップの大食いは作中では「専門家も匙を投げる物理法則を無視した究極の栄養補給」とまで言われています。
さらに、5年分はあったはずの学園の食糧庫が8割も食い尽くされてしまったとかいないとか…。
というのも、これはモデルになったオグリキャップ(馬)が『食べる競走馬』と呼ばれるほど食欲旺盛だったことに由来します。
普通の馬が未消化で排出してしまうエン麦の殻までオグリキャップ(馬)はしっかり消化していたらしいのでかなり消化器官が強かったんですね。
しっかり食べられて体重が減りにくい体質だったオグリキャップ(馬)はとてもタフな競走馬でした。
なのでウマ娘のオグリキャップもタフなところをたくさん見せてくれることでしょう。
物置部屋でも喜べる天然ウマ娘
初日から遅刻したり大食いで食堂をざわつかせたりと何かと目立ってしまっているオグリキャップは、ちょっぴりガラの悪い3人組ノルンエース・ルディレモーノ・ミニーザレディに目をつけられ微妙な嫌がらせを受けることに…。
しかし当の本人はそれが嫌がらせだとは気づきません。さすが天然。
寮の同室になったノルンエースに物置で寝てと言われて逆に個室が使えることを喜んだりしちゃってます。かわいいなぁ。
母との貧しい暮らし
物置で寝ることになっても喜べる背景にはどうやら貧しい暮らしがあったようで…
トレセン学園入学する前はお母さんと四畳半のボロアパートに住んでたみたいです。
お母さんは今のところ顔も名前も出てきていませんが耳としっぽがついてるウマ娘なのでモデルはきっと史実そのままオグリキャップ(馬)の母ホワイトナルビーでしょう。
ホワイトナルビーは出産後乳の出があまり良くなく、仔馬のオグリキャップは雑草なんかも食べていたらしいのでそういったところから連想して貧乏設定にされたのかな…?
幼少期に膝が悪かったというエピソードも史実どおりです。
競走馬として生まれて膝にハンデがあるってものすごく絶望的だと思うけど…ほんとに治って良かったですね。
幼名ハツラツ!
物置で一晩を過ごした翌日、友達のベルノライトに「昨日は大丈夫だった?」と心配されて快適だったと元気いっぱい答えるオグリキャップ。
オグリキャップ(馬)の幼名『ハツラツ』がこんなところに…(笑)
『ハツラツ』は、膝が悪く母馬の乳も出なくて痩せていたオグリキャップ(馬)が無事成長するよう願いを込めて牧場の場長さんにつけられた幼名です。
それにしてもすごくかわいくないですか『ハツラツ』って。
地を這う馬
トレーナーたちの前でオグリキャップが見せた驚異の走り。
出遅れもお構いなしに超前傾姿勢でぐんぐん進むその姿は、首を下げて低い重心で走り「地を這う馬」と形容された競走馬オグリキャップのフォームそっくり。
体の柔らかさも史実どおりの設定ですね。
オグリキャップだけに限らず【ウマ娘】の作品(アニメ)では走行フォームもモデル元の馬のクセがしっかり反映されています。
例えば、サイレンススズカやエルコンドルパサーはウマ娘も前傾姿勢。
首を立てて走るメジロパーマーはウマ娘も上体を起こして走ります。
ちなみにこのエピソードでオグリキャップが走ったダート800m51秒1のタイムは史実で行われたデビュー前の能力試験のデータと同じ。
さらに面白いことに、母ホワイトナルビー(馬)もデビュー前の能力試験では出遅れていたんだとか。
名前は「頂点」
“自分と重ね合わせて心の底から応援したくなる”
そんなスター性をオグリキャップの走りに見出したトレーナーのキタハラジョーンズ…もとい、北原穣は自分のチームに彼女を誘い、名前を尋ねます。
「オグリキャップ」
カッコ良すぎる…しかも見開き…。
逆光の演出も相まってめちゃくちゃしびれるワンカットになってます。
リアルタイムでレースを見ていた世代じゃなくても、全然競馬に詳しくなくても、オグリキャップが一大ブームを作るほどのスター馬だったことぐらいは知ってますから。
それを思うとなんかこう、胸にグワッとくるものがある(語彙力)
北原トレーナーが『頂点』と表現した”キャップ”の名は父馬のダンシングキャップからもらったものですが、彼女がこれから挙げるであろう勝利と功績を思うとまさにぴったりな名前ですね。
そういえばトレーナーの『北原穣』という名前はオグリキャップ(馬)の鞍上を務めた南井克己さんと武豊さんをモチーフにしているのかな?
安藤勝己さんがモデルだという説もあるみたいですが…
「南井」と「北原」で対になってるし、「穣」は「ゆたか」とも読める漢字ですからね。
北原トレーナーが着ている服や帽子のデザインもオグリキャップ(馬)の騎手が着た勝負服とそっくりです。
いろいろと細かいですね。
5月19日デビュー戦
史実と同じ5月19日のデビュー戦。
オグリキャップはお母さんから贈られた髪飾りをパドックで得意げに装着します。
レース前のウマ娘達が周回しながら準備運動をする場所。
出走するウマ娘のお披露目の場でもある。
お母さんがレースの様子をラジオで聞くと言っていたから事前に装着せずにわざわざみんなの目に触れるパドックに入ってから目立つように装着してたんですね。実況が拾ってくれるように。
なかなか賢い。あとかわいい。
お母さんから髪飾りと手紙が届いたときの本当に嬉しそうな様子もすごく愛らしかったです。
お母さん大好きなんだなぁ…。
それにしても髪飾り装着時の効果音には笑いました。なぜここでブッピガン…(笑)
ミホノブルボンあたりはそんな音させてそうな気がしなくもないけど。
かわいいもの好き
出遅れやゴール前の失速が響き、惜しくもクビ差の2着でフジマサマーチに敗れてしまったデビュー戦。
実はそのレース中、オグリキャップの靴は上下にぱっくり開いてしまうほどボロボロに壊れていました。
この靴が壊れるエピソードは、デビューから4~5戦をこなすまでにオグリキャップ(馬)が蹄叉腐乱(ひづめの内部が腐る病気)を起こしていたことに由来していると思われます。
そんな状態で走っていたとは…馬のほうもウマ娘のほうもすごい。
後日、オグリキャップはベルノライトとともにスポーツ店を訪れ靴を新調。
実家がスポーツ店だというベルノちゃんにすべてお任せ状態で機能性重視の武骨な靴をチョイスされてましたがオグリキャップはどうやらキュートな…犬?だか猫?なんだこれは?な靴が気に入っていたようです。
意外にもかわいいものが好きなのかな?
普段あまり感情が表に出てくるキャラクターじゃないオグリキャップが耳をピコピコさせてキラキラしてるのがたまらんですね。
勝てるワケない
靴や蹄鉄を新調して脚まわりを完璧に整えたオグリキャップは2週間後のレースに出走。
このレースでは、入学早々から絡んできていた3人組のうちの一人、ノルンエースがオグリキャップの後ろについて靴のかかとを踏んでやろうという、よくまあそんなこと思いついたなというような嫌がらせをしようとしていたんですが…
ぶっちぎられて何もできず!
まあ、そうなるよね…。
かかとを踏むってことは対象と同じくらいの速さで走らないといけませんからね。
しかしここで「すげぇ」と言えちゃうのがノルンエースのかわいいところ。
素直じゃないか。
嫌がらせばっかりしてくるいじめっ子だったけどこのシーンで何だかノルンエースのことが好きになってしまいました。
ちゃんと相手の実力を認められるいい子です。
ノルンエース・ルディレモーノ・ミニーザレディのいじめっ子3人は初めのうちは悪役っぽい立ち位置だからかモデルになった競争馬がいないオリジナルキャラ。
だからこそのクセの強さと自由な魅力がありますね。
ウイニングライブはカサマツ音頭
ぶっちぎりの1着だったオグリキャップはレース後ウイニングライブに臨みます。
応援してくれたファンへ感謝の気持ちを表すライブ。
レースの上位入賞者または1位のウマ娘のみがステージに立てる。
華々しく歌い踊るはずのステージでオグリキャップが披露したのはなんとカサマツ音頭の盆踊り。
ものすごいインパクト。こいつはほんとにただ者じゃない。
地方と中央で規模の違いはありますが、中央で行われている本来のウイニングライブのイメージはこちら↓
普通のライブを想像していたお客さんはさぞびっくりしたことでしょう。
しかし翌日の新聞記事によると、オグリキャップの盆踊りの仕上がりは完成度が非常に高かったんだとか。
その新聞のページ、よく読んでみるとちゃんとしっかり書き込まれていて色々と面白いネタが並んでいます。要チェック!
ツンデレでかわいいノルンエース
前回のレースでオグリキャップの強さを目の当たりにし、次元の違いを感じてしまったノルンエースはぎこちない態度ながらもこれまでのことを素直に謝罪に来ます。
ツンデレか…悪くない。
さらに、オグリキャップのウイニングライブの様子を見てダンスを教えてあげる気にもなってるという優しい子。
結構面倒見がいい性格のようです。
しかし当のオグリキャップはこれまでの嫌がらせにもノルンエースの心境の変化にも全く気付いていない様子。
何だか鈍感な主人公とそれに振り回されるツンデレヒロインみたいな構図ですが…今後の二人の関わり方が気になるところです。
目標は東海ダービー
東海地区における最高格のSPⅠ重賞レース『東海ダービー』に出ることを明確な目標として定めているフジマサマーチ。
そのフジマサマーチに、何のために何を目指して走っているのかと問われたオグリキャップは、これまで考えたこともなかった「目標」や「頂上」について意識し始め、トレーナー北原の夢でもある東海ダービーを共に目指すことを決意します。
史実を知ってるとアレですけど実に胸アツな展開になってきました。
現在、漫画【ウマ娘シンデレラグレイ】は2巻まで発行されています。
ゲームアプリのリリースもあって人気が高まり、書籍版はかなり手に入りにくくなっているようなので気になる方は見かけたらお早めに!
私も早めに買っておいてよかった~。
悪質な転売には注意しましょう。
2巻のまとめにつづく!
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