新作アニメは原作の枯渇やアニメーター待遇の改善、出版業界の低迷等の影響もあり、最近はやや減少していますが、それでも年間200本程度は放送されています。
いろいろなアニメが見られてうれしいという人も多いかもしれませんが、僕は今のアニメの流れをあまり好ましいとは思いません。
オリジナルならまだしも、原作のある作品は少ない話数に縛られて中身はスカスカ…。
アニメ単体で一つの作品として完成しておらず、原作を売る為の宣材や原作のイメージを膨らませる一種の参考資料、パチンコ・パチスロの演出用素材等に成り果てているのではないでしょうか。
Amazon、dアニメストア、ネトフリに新アニメが出たら一応目を通すようにはしているのですが、継続して見られるものは昔に比べて本当に減ってしまいましたね。
とても楽しみにしていた「7SEEDS」もPVを見て絶望しましたし(あんなクソ作画にされて田村先生本当に可哀想)、しばらくアニメ鑑賞はお休みしようと思いました。
そんな時、アマプラのおすすめ作品にあったのが「最後の忠臣蔵」。
池宮彰一郎の同名小説を原作とした、2010年公開の日本映画です。
軽い気持ちで見始めたのですが、役所広司さんや佐藤浩一さんの演技と素晴らしい脚本に夢中になってしまいました。
お話が終わった後、いろいろと考えさせられる余韻の残し方は古き良き時代のアニメやドラマに通じるものがありましたね。
そして、他にも面白い映画やドラマはないかとアマプラサーフィンをしていた僕の目に留まったのが韓国ドラマ『帝王の娘 スベクヒャン』だったのです。
帝王の娘スベクヒャン
僕は基本的に韓国ドラマは見ないようにしていたのですが、最近はブログ仲間がどっぷりと韓国ドラマにはまっていたので心の障壁がなくなりつつありました。
見てみようかと思った理由は「スベクヒャン」というタイトルの響きと、右側のイケメンがDeNAベイスターズの山崎康晃に似ていると思った事ですね(笑)
↓にAmazonに書かれていたスベクヒャンのあらすじを記載しますが、序盤のネタバレがいっぱいなので初見の方は見ない方がいいかと。ボタンを押したら開くトグルボックス内に書くようにしておくのでネタバレOKの方だけ見てください。
第一話のあらすじは以下のようになっています。
時は6世紀初めの百済(ペクチェ)、24代王・東城(トンソン)王の治世末期。加林(カリム)城の城主で貴族のペク・カの娘チェファは、王の従兄にあたるユンと密かに情を通じており、彼の子を身ごもっていた。そんなある日、チェファは、戦地から帰還したユンが、戦功を王に妬まれて殺されるという不吉な夢を見る。
Amazonプライムビデオ「帝王の娘スベクヒャン第1話」
画面に映ったのは姉妹と思わしき二人の女性が激しく口論している姿。一人の女性の手には血塗られた剣が握られ、床には血みどろの男性が転がっています。
「あなたを斬り――百済の輝きを取り戻すわ」
「お姉さんごときが百済の王女である――スベクヒャンを殺せるの?」
しばらく二人の会話が続いた後、舞台はベッドの上でお腹をさする一人の女性へと…
現在から過去へ…僕の好きな導入のひとつです。
帝王の娘スベクヒャン
このスベクヒャン、アマプラで話数を確認すると全108話となっていますが、1話あたりがだいたい30分なので、1時間ドラマに直すと54話になるんですかね。
結構な長編ですが、ブログ仲間に聞くと韓国ドラマはこれくらいの長さのものが結構あるらしいです。
日本のアニメやドラマも昔は長い作品がたくさんありましたよね。脚本が下手な作品は冗長に感じたものですが、しっかり練り込まれている作品は今でも鮮明に思い出せるほど心に残っています。
ではこの作品の素晴らしさについて少し書いてみましょう。
まず役者さんの演技が本当に上手い。セリフの言い回しだけでなく、表情や動き、全てにおいてレベルが高いなと感じました。
それから僕が日本の映画やドラマをあまり見ない理由の一つが、役者さんの人となりがテレビやネットで分かってしまい作品に没頭できないからなんですが、韓国ドラマは皆知らない人ばっかりなんで先入観がなくて作品に集中できます。
アニメも同じで、僕の希望としては声優さんたちはあくまで声のプロフェッショナルとして作品のキャラクターに先入観などを与えないように表舞台には立たないでほしいのですが、歌ったり踊ったりしないとなかなか収入を得る事ができない今の声優界のシステムでは難しいのでしょう…。
スベクヒャンは脚本・演出も素晴らしいです。時を経て紡がれていくストーリーについつい夢中になってしまいますね。
僕はドラクエ5を初めてプレーした時から、大河ドラマのように長い時を登場人物たちと一緒になって体感する作品が好きになってしまいました。
最近日本のアニメやドラマではそういう作品が少なくなってしまったので、そういう部分でもこの作品に大きな魅力を感じましたね。
脚本は最近のアニメに見られがちな甘く優しいものではなく、見ているこちらの胸が張り裂けそうなくらい辛く苦しい話もあります。けれども登場人物と一緒にガッツポーズをしてしまうくらい爽快で楽しいシーンもありました。
第15話と16話は深夜に見てしまったが為に朝までいろいろと考えてしまい眠れない時間を過ごしましたし、今でもそのシーンを思い出して胸が痛くなってしまいます…。
スベクヒャンは、こちらの喜怒哀楽を全て引き出してくれるある意味攻撃的な作品だと言えるでしょう。
帝王の娘スベクヒャン第1話
大長編なのでまだ全話見る事はできていませんが、僕が一番大好きなのはこの「クチョン」というキャラクター。
彼は耳と口が不自由な怪力の使用人で、誰よりも優しく情に厚い最高の男です。
今からスベクヒャンを見る人はこのクチョンの優しさや悲しさ、カッコよさに注目してくださいね。
これから見る人の為にストーリーには触れないように素晴らしい点だけを長々と書きましたが、僕が視聴した40話くらいまでは本当に面白いです。
最近の質の低い作品に呆れている”本物の”アニメファンや歴史好きで大長編が大好きな大河ドラマファンには特におすすめできる作品だと思います。
序盤はいろいろ分からないところも多いし、覚える事も多いですが、少しの間我慢してくれればすぐにスベクヒャンの苦しくも魅力的な世界に引き込まれるはず。
面白さは保証しますので是非興味がある人は見てみてください。
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