それは力強いタンブリングにしなやかな徒手…男子新体操部!!
普段の自分と違いすぎる世界にためらいながらも、苦労性キャプテン、自由人、更生ヤンキー、陽キャなど凸凹すぎるメンバーに巻き込まれて入部することに──!?
6人の汗と夢の物語、スタート!!
【シックス】はLINEマンガで連載されている男子新体操を題材にした作品です。
男子新体操は技術や芸術性を競う日本発祥のスポーツで、女子新体操とは違ったアクロバティックな動きを含む内容の競技は主に日本でしか行われていません。
今のところメジャーとは言い難いスポーツですが、ダンスやチア、フィギュアスケートなど体を使って表現するものにやたらと惹かれてしまう性質の私にはばっちり刺さる題材でした。
作者の照井にとさんは自身もダンスや新体操の経験がある方で、以前から男子新体操の漫画を描きたかったらしく作品に対する熱意もひとしお。
国士舘大学の男子新体操部監督である山田小太郎さんが監修するなど、本格的なアドバイスのもとに描かれたこの作品は初心者にもわかりやすく男子新体操の世界が垣間見れる漫画なのではないかと期待しています。
表紙の色使いがとてもきれいでいかにも”青春”な爽やかさが漂ってるのもいい感じ。
そんな男子新体操漫画【シックス】の1巻を読んでみた感想と印象的だったシーンをまとめてみました。
【シックス】の感想と印象的なシーン
作品の舞台は徳島県
【シックス】の舞台は四国の徳島県。
徳島県内の高校に通っている主人公の吉野ヒロは酒屋を営む家の手伝いで登校前に配達の仕事をこなしたりしているすごいヤツです。
そこはかとなく漂う幕之内一歩感。藤原豆腐店でも○
前カゴ怖…!
上の画像、右がLINEマンガ版で左が書籍版なんですが登校前の配達シーンの背景が違っていました。
書籍になった時に描き直されたのか、すごくリアルな風景になっていたのでこれはもしやとGoogleマップで調べてみたところ…
ありました。徳島県徳島市に背景と同じお店『ぞうさんのめ』!
すぐに検索ヒットしたので結構有名なお店なんだと思います。
【シックス】がアニメ化したりするとここも聖地になるのかな。
地方を舞台にした漫画ならではの背景演出、地元の人はニヤリとできる場面かも。
作者の照井にとさんは徳島県の出身らしいのでこういった背景は今後もたくさん出てきそうですね。
徳島県の有名な工芸品『藍染』や県内を流れる一級河川の『吉野川』が高校や主人公の名前の由来になっていそうなところも興味深いです。
ちなみに…
書籍版で描き直されているコマがもう一つ。
右がLINEマンガ版で左が書籍。
格段に迫力があってかっこいいコマになってます。
こういった体の動きを見せる漫画は構図が特に大事ですね。
男子新体操部へのスカウト
「真剣におまえが欲しい!」
と、突然熱烈なスカウトを受ける内気な主人公ヒロ。
ほんとに突然でした。
この時、まだこれが男子新体操部へのスカウトだということも彼が監督だということもヒロは認識していません。
どんな勧誘やねん。
この勧誘、前年はセクハラを受けたとか報告されて各方面から怒られたそう。
監督懲りてない。
団体技の組運動を初体験
監督の富士山良太に連れられてヒロがやってきたのは男子新体操部の練習が行われている体育館。
ここでヒロは何だかなし崩し的に、団体技の組運動「団体の!みんなでピョーンってやつ(先輩談)」に参加させられることに。
上に乗った人を土台の人が投げ飛ばすという、息の合った動きが求められるアクロバティックな技ですが、何度か失敗を繰り返しながらも4人は技を成功させました。
その瞬間の宙を舞う先輩を見上げるヒロの表情が印象的です。
目の前で起こっている何かすごいことがとても眩しく映ったんでしょうね。
これは出会ってしまった顔ですわ。
人が何かに心動かされる時ってきっとこんな感じなんだと思います。
ヒロ本人も驚く表情の変化
帰宅後、自分でも意識しないうちにニコニコしてしまっているところを母親に激写されたヒロ。
写真撮られるほど珍しいってこの子は普段一体どんな顔で過ごしてたのか。
それがこんなにいい笑顔になってるくらいだからこの日の体験はヒロにとってかなり刺激的で楽しいことだったんでしょう。
ただ、本人はまだ自分の感情の動きに気づいていない様子。
撮られた写真に写った自分の笑顔にも驚いていました。
こうして見るとお母さんそっくりだな…。
吉野ヒロ、決意の断髪
男子新体操の持つ魅力ににワクワクする感情を覚えながらも、人と上手く関われない内向的な性格のせいで入部を諦めようとしていたところからのまさかの断髪イベント!
ヤンキー上がりの矢筈先輩に前髪うっとーしいって言われてましたもんね。
この「男子新体操部 入部します!」には、「僕、変わります!」って気持ちも込められてる気がします。
自分を変えようと動き出したヒロの決意表明はなかなか派手なものになりました。
個人的には漫画(特に少女漫画)によくある断髪イベントにはそこまでの思い入れはないんですが、ヒロの断髪はなんかハァハァ言いながらものすごい思いつめた顔でみんなの前に現れたりしててちょっと斬新。
ハサミ握りしめてる手がぶるぶる震えてて怖いです(笑)
そういえば表紙の真ん中の男の子は髪を切ったヒロだったんですね!
途中まで割と本気で誰かな?と思ってた。
それぐらい変われるってことなんですね。すごい。
矢筈先輩とヒロ
青藍高校男子新体操部には人懐っこい同期や優しい先輩、明るい先輩など個性豊かなメンバーが揃っているんですが、中でも私が注目しているのは目つきの鋭い矢筈先輩です。
内気なヒロとヤンキー上がりの矢筈先輩…正反対な二人のやり取りがなんとも凸凹で面白い。
変なところで頑固なヒロに手を焼かされているのも笑えます。
彼からはツンデレの波動を感じる…。
こんな怖そうな雰囲気なのに女児にモテてますからね…。
あと単純に矢筈先輩は顔が好みです。
監督たちの団体演技
監督たちの演技を目の前で見せてもらったことで一層団体への憧れを強くする部員たち。
一応インターハイで団体に参加するという話は出ていましたが、より明確に目標が見えてモチベーションが上がったようです。
「僕もあんな風になれますか?」なんて言葉が思わず出てしまうほどヒロの心をも掴んだ監督たちの一体感のある団体演技。
やっぱり団体は男子新体操の華ですね!
男子新体操の団体は2分45秒〜3分の間に4~6名で4つの規定動作を含む演技を行い点数を競います。
・タンブリング(転回系)4回
・バランス
・倒立
・柔軟性を示す動作
2018年にルール改正が行われ、頭から着地に入る技は禁止になったようですがそれでも転回技は迫力があってかっこいいし、ビシッと揃った動きは美しい!
ヒロたちがこんな一体感のある団体演技をできるようになる想像がまだ全然できないんだけど、いずれはこうなっていくわけですよね。
実に楽しみだ。
バク転成功
僕もあんな風に──
監督たちの演技に感化されたヒロはついに補助なしのバク転に成功。
実際は練習の初回から一人で跳べてたみたいだけど…気持ちって大事ですね。
特にヒロの場合は身体能力は申し分ないわけだから性格的にそこがかなり重要になってきそうです。
これでメンタル面を克服出来たらものすごい選手になるんじゃないだろーか…。
天神飛鳥を部活に勧誘
部員が初心者を合わせて5人しかいない男子新体操部は目下絶賛部員募集中。
そこに登場したのがこれまた個性の強そうな新キャラ『理数科の王子様』こと天神飛鳥です。
青藍高校の理数科コースは偏差値県内イチらしいので相当勉強はできるみたいですね。
彼はどうやら新体操経験者。しかも全日本ジュニア優勝の実績があるかなりの手練れの様子。
なるほど、タイトルの【シックス】には一人足りないな~と思っていたら彼が最後の(?)一人なんですね。
天神本人は激しく入部を拒否していましたが…まあ、入ってくれるよね?
ヒロがドライブ(バク宙一回半ひねり)を成功させたら入る、なんて無茶な条件を出してきてたけど、どんな結果になっても天神は入部してくれると信じてる。表紙にいるし。
『理数科の王子様』が次巻で仲間になってくれるのを楽しみにしています。
ちなみに、実際に徳島県で偏差値の高い理数科を有する高校を調べると徳島市立高校が出てくるので、青藍高校のモデルはこの高校なのかもしれません。
地図を見た感じヒロの通学路の背景にあった『ぞうさんのめ』も高校からそんなに遠くはなさそうです。
これからもう少し背景描写が増えてくると色々探索ポイントが増えて面白いかもしれませんね。
男子新体操はなかなか競技の普及が進んでおらずまだ認知度の低いスポーツでありますが、動画や漫画などいろいろなメディアによってじわじわとその面白さが広まってきています。
2021年4月からはなんと男子新体操のアニメもスタートするそうでさらに注目度が高まってきました。
四ッ木えんぴつさん原作でZEXCSが制作を手掛けるオリジナルアニメ【バクテン!!】
こちらの舞台は宮城県岩沼市。
監修には男子新体操競技の強豪校青森山田高校がついており、声優陣の顔ぶれもかなり豪華です。
漫画やアニメはたくさんの人に競技を知ってもらうにはとてもいいきっかけになると思うので【シックス】や【バクテン!!】を機に男子新体操がもっと盛り上がるといいですね。
【シックス】第2巻は2021年春ごろ発売予定です。
追記…【シックス】は2021年8月に2、3巻同時発売され、全3巻をもって完結となりました。
だんだん盛り上がっていくところだったのにもう終わってしまうなんて残念です。
個人的には、アニメで一定の支持を得ていたバクテン!!よりも面白いと感じていたのでもっと続けてほしかった!
どこか別のところで続いてくれないかな~…。
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