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圧巻のミュージカルシーン!『アイの歌声を聴かせて』を見た感想

10/29公開のアニメ映画『アイの歌声を聴かせて』を鑑賞してきたので、感想をまとめてみました。

『アイの歌声を聴かせて』は『イヴの時間』『サカサマのパテマ』の吉浦康裕監督が手掛ける青春SF作品。

周囲から孤立する少女サトミが通う高校に転校してきた人型AIロボットのシオンが一途な思いで周りの人間たちの心を動かしていく…というお話です。

以下ネタバレがありますのでまだ見てない方はご注意を↓



アイの歌声を聴かせて

主要キャラクターや声優について

アイの歌声を聴かせて

「サトミ! いま、幸せ?」

自己紹介も早々に、突然サトミのもとに駆け寄りおかしな質問をする転校生芦森詩音あしもりしおん

彼女は大企業星間エレクトロニクスに勤めるサトミの母が作ったAIロボットで、極秘の実地試験として景部高校2年3組にやってきました。

シオンの声を演じているのは土屋太鳳さん。

AIの役なんてかなり難しいと思うのに全然違和感なかったです。

元気いっぱいだけどちゃんと機械っぽさがあるのがすごい。

そういえば土屋さんはテレビアニメ『僕だけがいない街』の藤沼悟役だった時も回を追うごとにだんだんうまくなってた気がします。

声優は本業じゃないのに多才な方ですね。

そんな土屋さん演じるシオンはとてもまっすぐでひたむきなキャラクターでした。

AIだとばれちゃいけないのに水中に長時間潜りっぱなしになったりありえない速さで計算問題を解いてしまったりするのもかわいくてよかったです。

アイの歌声を聴かせて素早く計算問題を解くシオン

そしてシオンに振り回される女の子、サトミはまいんちゃんこと福原遥さんが声を担当されています。

ショートカットでボーイッシュな印象を受けるサトミですが、ディズニー映画風の劇場アニメ『ムーンプリンセス』が小さなころから大好きで高校生となった今でもこのコンテンツが心の拠り所になっていたりと実は意外と少女趣味。

そういう所に福原遥さんのちょっと高めな声がマッチしてるかも。

強がってるけど本当は寂しいっていうサトミの感情が声に現れてる感じがしました。

そのほか、メインで登場するのはサトミのクラスメイトのトウマ(工藤阿須加)、ゴッちゃん(興津和幸)、アヤ(小松未可子)、サンダー(日野聡)。

アイの歌声を聴かせてトウマ、ゴッちゃん、アヤ、サンダー

トウマ役の工藤阿須加さんはアニメに声をあてるのは初めてだったみたいですが全然そんな感じはなく、トウマにすごく合ったお芝居でした。

サトミに好意を寄せつつもうまくコミュニケーションが取れないトウマの不器用さやかわいさ、いざという時に頼れる感じなんかも工藤さんの声にばっちりはまってたと思います。

工藤さんのトウマの声は吉浦監督も大絶賛で「トウマというキャラクターにドンピシャ合ってる」と話されていました。

吉浦監督がキャスティングにおいてとにかく大事にしているのは「シンプルにそのキャラクターに合ってるかどうか」だそうですが、映画を見てなるほど納得。

どのキャラクターも声に全く違和感なし!(個人的な感想です)

アヤのような気の強い女の子は小松さんはお手の物だし、日野さんのコミカルなサンダーはさすがと言った感じ。

そしてNo.1イケメンのゴッちゃんの声はとてもイケボでした…。

イケメンで声もよくてその上ちゃんと人を思いやれる性格とか…なんてズルいキャラ!

初めにシオンが教室で歌いだしたとき、困ったサトミをフォローしようとするもどうしていいかわからず戸惑うトウマにゴッちゃんがサッと助け舟を出してくれるというシーンがあるんですが、私はそれを見た時にゴッちゃんファンになりました。トウマの次に好きです。



作品の見せ場「ミュージカルシーン」

アイの歌声を聴かせてゴッちゃんとアヤ

シオンはことあるごとにまるでミュージカルのように歌いだします。

それはサトミを直接勇気づけるためだったり、ゴッちゃんとアヤを仲直りさせるためだったり…。

歌唱シーンは映画館で鑑賞しているとかなり迫力があって素敵でした。

とにかくシオン役の土屋さんの歌が上手い!

土屋さんはAIっぽさを出すために「声を平たくする」意識で歌ったそうですが確かにAIらしい正確さとか機械的な伸びがありつつもちゃんとシオンの心情も乗っかってる感じで素晴らしかったです。

劇中でいくつか歌われるシオンの歌で一番好きなのはサンダーとの乱取りの時に流れた歌。

アイの歌声を聴かせてシオンとサンダーの乱取り

二人のステップや組手が軽やかに演出されるスイングジャズ?っぽい音楽でかっこよかった!

これもまた難しそうな歌なのに土屋さんさすが…。

サンダーは必死なんだけどとても楽しげな雰囲気でワクワク感がありました。

このシーンで流れた『Lead Your Partner』は【アイの歌声を聴かせてオリジナルサウンドトラック】に収録されています。

アイの歌声を聴かせてミュージカルシーン

物語の後半に流れる『You’ve Got Friends ~あなたには友達がいる~』は、前半で歌っていた『ユー・ニード・ア・フレンド ~あなたには友達が要る~』のアレンジバージョン。

前半と後半でタイトルが「友達が要る」から「友達がいる」になってるのがなんかグッときますね!

歌声の雰囲気も少し変わって、前半の『ユー・ニード・ア・フレンド ~あなたには友達が要る~』よりも『You’ve Got Friends ~あなたには友達がいる~』のほうがシオンの声に感情がこもっているように聞こえます。

サントラで是非聞き比べてみてください!

伏線回収のクライマックス

物語のクライマックスは怒涛の展開。

初対面だったはずのサトミのことをなぜシオンが知っていたのか、なぜトウマとサトミが気まずい関係になってしまったのか、なぜシオンは歌うのか、そしてなぜサトミのことを幸せにしようとしているのか。

これまでの謎が次々と明かされます。

ずっとサトミを見守っていたシオン。

AIであるが故のシオンのひたむきさと幼いころからのトウマの想いがとても温かくて感動的でした。

シオンのバックアップデータを見終わってサトミがすべてを理解した瞬間が一番泣ける。

ムーンプリンセスのクライマックスみたいに秘密は最後に明かされなければならないと思っていたシオンのいじらしさもたまりません。

なぜサトミを知っていたのかというトウマの質問に「それは命令ですか?」と意味深に答えていた意味もようやく分かってスッキリ。

ムーンプリンセスに影響を受けていたのはサトミだけじゃなかったんですね。

いや、AIの場合は「影響」というのとはちょっと違うかも。…サトミを幸せにするための「学習」ですかね。

かくして、ラボに回収されネットワークに接続できない状態で寝かされているシオンを助けるためにサトミたちクラスメイトとサトミのお母さんは奮闘するわけですが…

アイの歌声を聴かせて倒れ込むシオンとかけつけた警備員

犯罪スレスレ…というかそれはもう犯罪だろ!と突っ込みたくなるような場面もあったりなかったり。

かなり派手な救出作戦でしたね。演出的な面で。

それでも最後はやっぱりハッピーエンド。

シオンのおかげでみんながちょっとずつ成長して絆を深めることができました。

これはあとの始末を考えると頭が痛いだろうな~なんて思いながら見てしまった私は嫌な大人です。

まとめ

機械のことやAIについて全く詳しくない人間なので途中どういうことなのか理解に苦しむところもありましたが、全体を通してみたら非常にまとまり良くおもしろい作品でした。

作中で一番感動したのはサトミがシオンの秘密をすべて理解したシーン。

シオンのやろうとしていたこととこれまでの記憶が繋がった瞬間のサトミの気持ちを思うと泣ける。

そして一番背中がムズムズしたのはゴッちゃんとアヤの仲直りシーン。

ゴッちゃんちょっとめんどくせー!と思いつつも甘酸っぱさ満載の演出に思わずニヤニヤしてしまいます。

一番楽しい雰囲気だったのはサンダーとシオンの乱取りシーン。

アップテンポな音楽とクオリティの高い作画で軽やかな動きが表現されていて爽快でした。

一番面白かったのは2度目の強制停止でシオンのお腹から飛び出したコントロールボックスがトウマのミゾオチに直撃したシーン。

アイの歌声を聴かせてシオンの腹部から飛び出すコントロールボックス

緊急停止信号を受信してこう↑なってしまうとほかの生徒たちにシオンがロボットだとばれてしまうのでそれを阻止するためにトウマが体を張って隠したんですが…(画像は1度目の緊急停止)

そのシーンは何だかみんなに一体感が生まれていたようでもあり、ピンチなのにとてもコミカルで笑えるシーンでした。

もちろん作中には素敵なシーンがたくさんあって、挙げればきりがありません。

物語最後までずっと温かい空気が流れていた素敵な映画だったと思います。

欲を言えば、最後もう少しシオンに関する描写が欲しかったかな。

察しの悪い私は小説で補完して初めてなるほど…と納得できました。

みんなのその後もまだまだ気になる…そんな余韻が残るのもいい作品だったからこそですね。

AIが結んだ人と人とのつながりに少しばかりヒューマニズムへの皮肉を感じてしまうのは私がひねくれているからです。

『イヴの時間』も疎いなりに興味深く視聴していたので、考察などは抜きにしてただ視聴するというスタイルであれば自分には案外刺さるジャンルなのかもしれません。

【イヴの時間】アニメを補完する小説&漫画はともに名作!名シーンも紹介
アニメだけでは語られなかった「イヴの時間」の世界観や登場人物の心情を深く掘り下げた漫画版と小説版を紹介。リクオとサミィの関係性や人間とアンドロイドの共存を巡る物語が、より鮮明に浮かび上がります。

さて、『アイの歌声を聴かせて』は音楽をテーマにしていることもあり、見どころ、聴きどころのひとつはやっぱり歌。

ストーリーももちろん素晴らしいんですが映画館の音響で聴くシオンの歌声は圧巻(ボリューム的な意味でも)でした。

まだ見てない方はぜひ映画館での鑑賞をおすすめします。

映画『アイの歌声を聴かせて』公式サイト

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