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LoVシリーズサイドストーリー【偉大なる魔女のサーガ】暗黒騎士と光の魔女

ロードオブヴァーミリオン」シリーズを通して人気が高かった使い魔キャラクター【ウィッチ】こと【マルグリッド】を中心としたサイドストーリー『偉大なる魔女のサーガ』。

前回までのお話はこちら↓

LoVシリーズサイドストーリー【偉大なる魔女のサーガ】呪われた王国
「ロードオブヴァーミリオン」シリーズを通して人気が高かった使い魔キャラクター【ウィッチ】こと【マルグリッド】を中心としたサイドストーリー『偉大なる魔女のサーガ』。 前回までのお話はこちら↓ (adsb



偉大なる魔女のサーガ『魔女と呪われた王国』

CHAPTER 4 暗黒騎士

「ロードオブヴァーミリオン」画集 黒-魔種・機甲・不死-編より No.149暗黒騎士

「ロードオブヴァーミリオン」画集 黒-魔種・機甲・不死-編より No.149暗黒騎士

スピードとパワーは【ワーウルフ】の方が勝るも、【暗黒騎士】は防御の技に長けていました。

鋭い斬撃を【ワーウルフ】は紙一重でいなしつつ、強烈な打撃を見舞うも【暗黒騎士】はそれを巧みに受け流す。その押収が繰り返されます。

「さあ!ショウタイムです!」

その拮抗を破ったのは、そう叫ぶ【暗黒騎士】。

長剣より放たれた稲妻が【ワーウルフ】の体を貫き、得体の知れないおぞましき感覚が人狼を包みました。

『深淵の眼差し』――。それは【暗黒騎士】の持つ技のひとつ。

それに見入られたものは『闇』の属性の力に極端に弱くなってしまう…。

一方的に弱点を付加され、【暗黒騎士】を滅する『光』の力を自分はおろか仲間の誰もが持ち得ていない。

勝ち目のない状況に、それでもなお怯まず唸り声を上げる【ワーウルフ】でしたが…。

「ク・ク・ク…そなたはついに待ち望んだ『死』を得るのだ…良かったなあ…」

耳元で囁く【死神】のその言葉に、爪牙を剝き出した戦士は我に返り、【アルラウネ】を拾うと居館目掛けて走り出しました。

【暗黒騎士】はすぐさま追いすがり、【ワーウルフ】の背に刃を走らせます。

しかしその時、脇から飛来した巨大な石の塊とともに緑色の肌をした巨人が現れ、【暗黒騎士】の行く手を阻んだのです。

それは、【ワーウルフ】と同じく「閉ざされた空間」から解放された仲間のひとり、【ギガス】でした。

昔の彼であれば、敵に背を向け戦闘を放棄するなど、これ以上ない恥だったのでしょう。

しかし、そんな下らない生き方を変えてくれた『偉大なる魔女』を助けるため、【ワーウルフ】は仲間に後を任せ、ただ走りました。

「くそっ!どうした【ワーウルフ】!もっと早く走れ!それでもお前は古代の神々の末裔か!もし間に合わなかったなら、俺は俺を決して許さん!さあ、あの魔女の小娘を救って見せろ!」

極限を越えて駆けた【ワーウルフ】は、最上階、王女の寝室へと飛び込みました。

ここの【ワーウルフ】、めちゃくちゃカッコ良くないですか?何だかんだ言いつつも【マルグリッド】の事を大切に想っているんですよね…。

 

そこにあったのは小さな水差しを持ってうなだれているジゼル王女と、巨大なベッドで横たわる【マルグリッド】の姿。

怒りに任せ、王女に飛びかかろうとした【ワーウルフ】を止めたのは小さな魔女の声でした。

【マルグリッド】はベッドから身を起こし、それを見て【ワーウルフ】はたたらを踏んで立ち止まります。

「私には出来ませんでした…この方を『不死種』に変えることなど…」

ジゼルはすんでのところで思いとどまり、結局何もできなかったのでした。

 

この先もずっと同じように、このまま「永劫の牢獄」の中で独り罰を受け続ける事を選んだ王女に、【マルグリッド】は言い放ちます。

「ジゼル!もしもあなたに王族のプライドがあるんなら!アケローン大陸の新たなる支配者『偉大なる魔女』の仲間になりなさい!そしてこの混沌の大陸に平和な世界をもたらす大冒険に加わりなさい!」

自分の身に危険が迫っていた事など忘れ、【マルグリッド】はジゼルを外の世界に連れ出すことを一方的に決めたのです。

しかしその時、なんとか巨人を退けるも痛手を負った【暗黒騎士】が部屋に飛び込み、【マルグリッド】の言葉を遮りました。

彼も、【マルグリッド】と同じくジゼルを罰から解放したいと願っていました。

しかし、捕らえた魔女の軍団を捧げる計画が崩れたことに怒った【ベルゼバブ】は、【暗黒騎士】に命を下したのです。

【ウィッチ】の一行を直ちに殺せ。さもなくば、【カースドラゴン】に城を破壊させ、王女をその餌食にすると。

王女を守ろうと必死に声を荒げる【暗黒騎士】に、ジゼルはひとつの名をつぶやきました。

それはおそらく、彼が【暗黒騎士】となって王女を守るために生贄として捧げた、大切な者の名前。

ジゼルは、【暗黒騎士】となった彼をこれ以上縛り付けたくないと、城を襲撃し始めた【カースドラゴン】の前にその身を晒します。

【ワーウルフ】と【暗黒騎士】の決戦について
【ワーウルフ】はHP385・攻撃力65・防御力30・移動速度4の『撃』属性で、弱点は『炎』属性。
特殊技『フルムーンレイジ』は6秒間、攻撃力を40上げることができます。
対する【暗黒騎士】はHP450・攻撃力35・防御力75・移動速度3の『闇』属性で、弱点は『光』属性。
特殊技『深淵の眼差し』は効果対象に6秒間、『闇』属性弱点を付加させるもので、特殊技ゲージの溜まる速度は遅いです。
「スピードとパワーは【ワーウルフ】の方が勝り、【暗黒騎士】は防御の技に長けている」というのはちゃんとゲーム遵守なんですね。
【暗黒騎士】はゲーム内では、結構テンション高めなのでそこだけちょっとイメージが…。
特殊技を使うと「イッツショータイム!」と言うのはゲームそのままです。
物語の中ではうやむやになりましたが、この2体の使い魔がタイマンで戦うとどうなるか。
実は私、無印LoV未プレイなので当時のダメージ計算式が分からないんですが、LoV2時の計算式に当てはめると…。
【ワーウルフ】ATK65 →【暗黒騎士】 DEF75 = 20ダメージ
【暗黒騎士】 ATK35 →【ワーウルフ】DEF30 = 25ダメージ
特殊技使用時の6秒間は、
【ワーウルフ】ATK105 →【暗黒騎士】 DEF75 = 43ダメージ
【暗黒騎士】 ATK35   →【ワーウルフ】DEF30 = 49ダメージ(弱点)
という事で、HPの差もあるので【暗黒騎士】の圧勝です。
【ワーウルフ】が勝つには、移動速度と特殊技ゲージの溜まる速度の差を活かして、「弱点が付加されておらず、自分の攻撃力が上がっているとき」だけ攻撃し、それ以外は逃げ回る。それしかありません。
なので逃げて正解だったんですね。
…まぁ、【ギガス】なら【暗黒騎士】を倒せたはずなんですけどね…。



CHAPTER 5 光の魔女

「ロードオブヴァーミリオン」画集 白-超獣・亜人・神族・海種-編より No.159[魅惑]ウィッチ

「ロードオブヴァーミリオン」画集 白-超獣・亜人・神族・海種-編より No.159[魅惑]ウィッチ

四百年に及ぶ憎悪が巨大な顎を開け、ジゼルが【カースドラゴン】の餌食になろうとしていたその刹那、ホウキに跨った【マルグリッド】が彼女をかっさらいました。

「この『偉大なる魔女』の仲間が、こんなところでこんな死に方するなんて認めないわよ!」

しかしほっとしたのも束の間。【カースドラゴン】は空中に躍り上がり、魔女ごと喰らい尽くそうと牙を剝き出します。

紙一重で攻撃をかわし、屋根の上へと落ちた【マルグリッド】達を見て、【ワーウルフ】と【暗黒騎士】は肝を冷やし、それぞれの守るべき者の元へ駆け出します。

追い詰められた少女たちを救うためには、やはり【カースドラゴン】を倒すしか方法はありません。

しかし禁呪に覆われたドラゴンを倒す方法は、その呪いを浄化することだけ。

そのためには、この場のどこにも存在しない、『神族』たちが持つ『光』が必要なのでした。

【ユニコーン】は『神族』ですが、謎に『雷』属性なので役立たずです。

あの子はただの荷馬です。

それを自覚しているのか、一向に姿を現しませんね。

 

絶望的な状況を前に、【マルグリッド】はジゼルを庇うように前に出て、【カースドラゴン】に語りかけます。

「お前とよく似た遠吠えを私は知っているわ…」

【マルグリッド】はかつて、ある『ロード』と出会っていました。それは廃墟王国グーラを統べる、今は【スカルドラゴン】として存在し、先日『紅蓮の瞳の戦士』によって絶対死を迎えた、ドラゴンの王様でした。

一族を守るために自らを『不死種』へと変えたその王は、ずっと独り苦しみ続けていました。

その時、それを知りながら何もしてあげられなかった小さな魔女は、誓いを立てました。

もしまた同じように助けたいと思うひとに出会ったら、今度は絶対にそのひとの傍を離れないって…!この可哀相なドラゴンも!ジゼルも!両方救ってみせる!」

強い意思でふたりと向き合った魔女から放たれたそれは、闇の力しか扱えなかった彼女が扱えるはずの無い、とてつもなく大きく眩しい『光』だったのです。

「集いしマナよ!闇を清める刃となれ!」

放たれた光は【カースドラゴン】の呪われた身体を貫き、施された魔道文字から炎が噴出します。

【カースドラゴン】は一声切なく吠えると地上に落下し、灰の塊となりました。

 

『偉大なる魔女』の軍団には『光』属性の使い魔は存在しませんでしたが、満を持して覚醒した【[魅惑]ウィッチ】は『光』属性なので【カースドラゴン】を倒す事ができた訳です。

そもそもを言えばバランスよく仲間を勧誘しなかったリーダーのミスなんですけどね。

 

自分でも何をしたのか分からない様子の【マルグリッド】は歓喜の笑顔で振り返りますが、そこにあったのは…。

「ジゼル!!」

『永劫』の呪いから解かれ、せき止められていた時間が一気に解放された彼女が、息を引き取っていたのです。

先ほどの眩しい笑顔は見る影も無く、【マルグリッド】は冷たくなった「仲間」の手を握り締め泣きじゃくります。

それでもジゼルは最後の瞬間に【マルグリッド】を見つめて微笑みました。それは傍から見ていた【ワーウルフ】が知る限り、この世で最も自由で、美しい笑顔でした…。

王女は、ドラゴンと同じように灰となって風の中へと散っていきました。

彼女を守るために【暗黒騎士】となった青年は、王女の灰の最後の一片が宙に消えるまで、王家への最後の忠誠を尽くしていました。

…こうして、四百年に渡りルクシア王家を縛り続けた呪いは終わりを迎えたのです。

翌朝、誰にも声をかけずに旅立とうとしていた【暗黒騎士】を、【ワーウルフ】は呼び止めました。

「あの日、俺が『閉ざされた世界』から帰ってこれたのは【アルラウネ】のおかげだ… あれをくくりつけていた荷物が、なぜ俺といっしょに『閉ざされた世界』に送り込まれていたのか、どうしても分からねえ…」

僕には関係の無い事です、とはぐらかす青年に、【ワーウルフ】は続けます。

「【死神】のジジイが言ってたぜ。【暗黒騎士】となる者は、自分が最も愛する者の命を『闇』に捧げなければならないんだってな… お前がもし王家の忠誠のためにそれを実行したんだとしたら… お前はジゼル王女への忠誠を抱きながら、同時に憎しみも抱えていたんじゃないか?」

王女を守るために全てを捧げ、忠誠を誓った【暗黒騎士】の青年が、その一方で全ての目論見を無駄にしてしまうような真似をする、理由があったのです。そしてそれは恐らく、ジゼル王女が寝室で呟いた、ひとつの名前が…。

【ワーウルフ】のその推測は当たっていたのか、外れていたのか。何も語らない【暗黒騎士】はそのまま背を向け、去っていきました。

 

冥府魔道に堕ち、騎士道の風上にもおけぬ者と言われる【暗黒騎士】ですが、愛する人を失う事になろうと王家のために尽くした彼は、誰よりも騎士の誓いに忠実でした。
護るものを失った彼はこの後、賞金稼ぎとして放浪し、やがて「亜人の子」と出逢います。



「ロードオブヴァーミリオン」画集 黒-魔種・機甲・不死-編より PRワーウルフ

「ロードオブヴァーミリオン」画集 黒-魔種・機甲・不死-編より PRワーウルフ

ルクシア城を後にして5日が過ぎ、『偉大なる魔女』の軍団は、改めて【ベルゼバブ】の持つ『アルカナ』を求めてシヴィラダの都を目指し、旅を再開していました。

今回の出逢いで心境の変化があったのか、【ワーウルフ】は何年かぶりに獣人化を解いて人間の姿へと戻り、【アルラウネ】を膝の上に乗せホウキで彼の周りを飛び回る【マルグリッド】にからかわれています。

【ギガス】と【ユニコーン】はその様子を見て呆れ顔をし、姿を現さない【死神】も、恐らく小馬鹿にしているのでしょう。

当分オモチャにされそうな彼は、お返しとばかりに少女に意地悪く詰め寄ります。

「お前の方こそどうなんだよ。あの力、ちゃんと使いこなせるんだろうな?」

あの後、【マルグリッド】はどれだけ頑張っても『光』を放つ事ができずにいたのです。

「闇だけでなく光すらも統べる、偉大な魔女におなりなさい」。祖母が言ったその言葉を胸に、いつか使いこなしてみせると悔しそうに答える小さな魔女のもとへ、来客が訪れます。

「あなたには無理ですわね」

頭上から聞こえたその声の主は、燃えるような赤毛をロールでまとめ、つば広のとんがり帽子を被った少女でした。

「【バーバ・ヤーガ】!どうしてあなたがここに…」

赤毛の魔女が所属する『魔道師ギルド』は以前よりルクシア城を監視しており、水晶球を通して全て視ていたというのです。

そして今頃になって彼女がここにやってきた理由は…。

「あなたたち、ここから先にお進みになっても無駄足ですわよ?なにしろ、ルクサリアの魔界公妃【ベルゼバブ】は、昨夜、例の第七の『ロード』に討たれてしまいましたもの」

怜悧な光を宿した隻眼に嘲弄の色を灯した【バーバ・ヤーガ】のその言葉に、【マルグリッド】は絶句しました。

【マルグリッド】達がルクシア城を破壊したため、【ベルゼバブ】へのマナ供給が絶たれてその力は大きく削がれ、図らずもライバルである『紅蓮の瞳の戦士』を手助けしてしまったのです。

赤毛の魔女は、ただ【マルグリッド】を馬鹿にすると高笑いを響かせながら最新式のホウキで再び高度を上げていき、格好良く飛び去ろうとした、その時。

「分かったわ!【バーバ・ヤーガ】! あなたも私の仲間になりたいのね!?」

乱気流に巻き込まれたかのように【バーバ・ヤーガ】はバランスを崩し、危うくホウキから落ちそうになりました。

「気にするな」と慰めようとしていた【ワーウルフ】も目を丸くして呆れます。

「じょ、冗談じゃありませんわ! あなたのような凡人といっしょにしないで! ああもう、調子が狂うったらありゃしない! ふんっ!」

…わざわざこれだけ伝えに来てる時点でただのいい奴。まごうことなきツンデレですね。

気を取り直して今度こそ飛び去っていった旧友に手を振る【マルグリッド】を見て、【ワーウルフ】は深い息をつきました。

人間も、そう捨てたものじゃない。

大自然の精霊たる彼にそう思わせ、獣人化を解かせた小さな人間の少女は、神魔霊獣様々な仲間たちのいる方に振り返ると無邪気に笑いました。

「さあ、みんな行くわよ! 倒さなきゃならない『ロード』なんかまだまだいるわ! ひとり先を越されたくらいでめげてられないのよ! この大陸は必ずやこの『偉大なる魔女』さまが征服してやるんだからね!」

―――To Be Continued in LORD of VERMILION Ⅱ ―続・偉大なる魔女のサーガ―


さて、ロードオブヴァーミリオンの超美麗な使い魔カードイラストや、今回記事にしました「偉大なる魔女のサーガ『魔女と呪われた王国』」の物語などが収録されている「『ロードオブヴァーミリオン』画集 白-超獣・亜人・神族・海種-編」&「『ロードオブヴァーミリオン』画集 黒-魔種・機甲・不死-編」も、ファン必見の作品となっております。

イラストレーターさんのコメントとか見るのも面白いですよ。

興味がある方は是非!

LoVシリーズのストーリー解説記事まとめ
(C)2007 SQUARE ENIX プロローグ 古に創世の神あり 己が心臓を暴きて七つに分かち 紅蓮の核石を成し 七界を創世せり 七界の核石 悉く手にせし者あらば 創生の力を我が物とし 七界を統べ

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