© 藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
“誘拐組”が操る人形グリモルディに捕らえられ、トラックに乗せられてしまった勝。
翌朝気がつくと、そこは大きな屋敷の一室でした。
第3幕 奈落
にっこりと笑いかけてくる叔父の善治に、勝は戸惑いを隠せません。
どこからどう見ても悪い人にしか見えない善治おじさん…。
遺産を狙うものから身を守るために養子になれと迫られますが、鳴海としろがねを悪者扱いするなど、善治の言動に違和感と恐怖を感じた勝は屋敷からの逃走を試みます。
才賀貞義の別荘
からくり人形の研究
勝が目を覚ましたのは、「サイガ」前社長である才賀貞義(勝の父)の別荘。
アニメでは深く語られませんでしたが、ここは勝の父がからくり人形の研究をしていた屋敷でした。
昔から才賀家の人間はからくり仕掛けが好きで、一族の男たちはたいていそういう仕掛けを研究する自分の部屋を持っていたらしく、一族の中でも特にからくりに情熱を傾けていた勝の父、貞義の別荘であるこの屋敷は至るところに妙な仕掛けが施されています。
原作では、善治おじさんが養子の話を持ちかける前に貞義の研究室を案内してくれていました。
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研究室には父貞義がその機巧に夢中になっていた操り人形「懸糸傀儡」がズラリ。
いくつか台座から人形がなくなっているのは、勝の腹違いの兄や姉が扉を壊して盗んでいったからだそう。
勝の父についてのこの辺りの話はもしかしたらまたあとで説明されるのかも…。
待ち受ける敵
一方、勝を助けに訪れた鳴海としろがねの前には大勢のならず者たちが立ちふさがっていました。
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交戦する鳴海たちの脇をスススッ…と普通に歩いていくしろがね…(笑)
フリーパスすぎてちょっと笑ってしまいました。
だけどこの先のあるるかんの戦闘シーンはとてもかっこよかったですね。
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人形繰り12年の自称ベテラン?高見とユニークなデザインのテオゴーチェも、しろがねとあるるかんにかかればあっという間にひと捻り。
人形繰りの経歴を誇らしげに語る高見に向けられたしろがねの嘲笑も最高でした。
「その12年間は、私と同じだったのだろうか。」
「もう、あなたは休みなさい。その12年も爆弾も――私が、返してあげるから。」
原作ではこんな洒落た決め台詞でテオゴーチェに止めを刺します。
藤田先生の言葉の選び方に感嘆のため息が漏れますね。
林原さんの声で聞いてみたかったんですが、アニメでは台詞が変わっていました…。
ちなみに、ここでのあるるかん登場のシーンは原作で見ると息を呑む迫力。
とてもお気に入りの一コマです。
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鳴海としろがね
鳴海としろがねのフラグ
屋敷の大掛かりな仕掛けによって奈落へと落とされた鳴海としろがね。
ここで、二人の”フラグ”とも言える名シーンがやってきます。
しろがねを庇って怪我を負い、ゾナハ病の発作に苦しむ鳴海がなんとか笑おうとするしろがねを諦めさせようと搾り出した渾身のジョーク。
「おまえはおれの女になる。」
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「ああ…それは…笑えないな。」
んん…!
思ってたのとちょっと違う…!
背景が暗いせいかな?
物足りないというか…もう少しキラキラしてるのかと思ってました。
しろがね、かわいいですけどね…
ドキッとしてしまった鳴海をニヤニヤ見守るためにも、このワンシーンにはもっとインパクトが欲しかったです。
しろがねというキャラクター
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“人形を操る人形”として物心ついたときから厳しい指導を受け、人形を操ることを強いられてきたしろがねは、エレオノールという本名とともに全ての感情を捨ててきました。
「私は…人形だから…」
林原さん、某作品では「私は人形じゃない」と言っていましたが…(笑)
しろがねが自分を人形だと言うたびにそちらのキャラクターが頭の中にちらつきます。
それにしても、林原さん演じるしろがねは画の表情よりも幼い印象を受けますね。
1話目から気にはなっていたけど、想像よりも声が高い…。
高い声で感情を抑えたキャラクターって難しいんですね…。
というか、人形だと言いつつしろがねは結構感情を表に出すので、その辺に違和感を感じる要因があるのかもしれません。
戦闘シーンでの低めの声はすごくピッタリだと思うので、普段の会話もこれくらいの高さでやってくれたらいいのに…。
この回の戦闘シーンで聞いた「聖ジョージの剣」なんて最高でしたけどね。
未だに、自分の中のしろがねというキャラクターと、声(というか、画も含めたアニメでのしろがね)とのマッチングに苦戦しています…。
勝の成長
才賀貞義のファイル
善治に追われて逃げ込んだ先で見つけた父貞義のファイル。
その内容は勝にとってショックの大きなものでした。
見せ方の演出も不気味です。
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以下はアニメでは読み上げられなかった、しろがねの名前が記載された項目。
十六、しろがね
しろがねは全ての自動人形の破壊者である。そして才賀は、そのしろがねの道具である「人形」を作り続けてきた。
だがもう才賀の使命も終わりに近づいた。忌まわしき人形達は全てしろがねが壊したようだ。才賀の当主が「黒賀」の者に与え、実験を重ねて磨き上げた「懸糸傀儡」を使って…
残るはここにある人形と黒賀の者たちだ。これらを消して我ら才賀の使命は完遂する…
そのため私は、ひとつの方法を思いついた。愛人との間に子を作った。名を勝という。からくりサーカス2巻
父の目的は、勝という存在が引き起こす争いによって全ての人形が破壊され、黒賀の人形使いが滅びること。
そのために自分が生まれたのだと知った勝は落胆しますが、絶望の中で鳴海の言葉を思い出し、善治の養子になることを拒否する意思をより強くします。
悲鳴から察するに善治からかなりの暴行を受けたであろう勝ですが、散々殴られてもその意思は変わらず…。
ここから、これまで泣いてばかりだった勝が根性を見せ始めます。
ちなみに、アニメで善治が手に持っていたのは杖でしたが、原作のほうではバールのようなものを持って襲い掛かってきます。
物騒すぎる…。
勝の誕生
鳴海としろがねが生きていたことを喜びつつも、自分を助けるために怪我をした二人を見て自分の成長の必要性を感じ、大胆な行動に出る勝…。
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この顔つきはこれまでの彼とは全然違いますね。
序盤の勝の最高の見せ場です。
ところどころセリフが変わっていたけど、勝役の植田さんの演技もとてもかっこよかった!
植田さんの声も低めのほうが好きだなぁ。
「もし生きのびたら――いつでも笑える、ぼくになる!!」
もうこのセリフだけでウルッときてしまう私…。
劇伴音楽も相まって、泣かせるシーンになっています。
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「これは生きる意志に満ちた獣の目だ!!」
阿紫花にそう言わしめるほどの成長を遂げた勝。
原作エピソードタイトルは『勝の誕生』
まさにその通りに、変わりたいと願い、生まれ変わって別人のようになった新しい勝です。
めちゃくちゃかっこいいですね。
欲を言えば、勝の成長にはもう少し時間を使ってより感動的に見せてほしかったなという気もするけど、いろんな所をカットしながら上手くまとめられてるなと感じた第3話でした。
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