ガンガンJOKERで2016年1月から連載中の『ヴァニタスの手記』は、『Pandora Hearts』などで知られる望月淳先生が描く「19世紀パリ×吸血鬼×スチームパンク」がテーマの漫画作品です。
“ヴァニタスの書”を探しにパリを訪れた吸血鬼の青年ノエと、「吸血鬼専門の医者」と名乗る青い瞳の青年ヴァニタス、二人の主人公が出会うところから始まる本作品。
私はひねくれ者なので、大体の作品で「主人公」とされるキャラクターはあまり好きではないんですが、ヴァニタスはとても魅力的で、めずらしく大好きなキャラクターです。
というのも、この子は往々にして主人公らしからぬ言動を取るので…。
そう。この主人公、サイテーなんです。
ヴァニタスは「コードギアス」のルルーシュとか、「黒執事」のシエルみたいな所謂ダークヒーロー的な存在で、利用できるものは全て利用し、ハッタリや挑発を駆使して狡猾な作戦を組んで戦う知略タイプのキャラクターです。
この記事では、そんなダークヒーロー(?)ヴァニタスと、彼を取り巻く世界から私個人の趣味100%でピックアップした名言やカッコいいオススメ名シーンを紹介していきたいと思います。
多少のネタバレ、かつだいぶ偏ったものになるかもですが何卒ご勘弁を。
ヴァニタスの手記 1巻
「護るものなど作るからそうやって弱くなるんだ」
―ヴァニタス
さて、早速雲行きが怪しいですね。
『処刑人』であるジャンヌが、主であるルキウス公を人質に取られ、「私はどうなっても良いから、彼に手を出さないでくれ」と縋ったシーンです。
感情の無い“道具”として生きる『処刑人』相手にこんな言葉を吐くヴァニタス。
ではヴァニタスは、どうなんでしょうか…?彼の悲しい過去が垣間見られる台詞です。
しかしほんとにサイテーだなこいつ。
ちなみにこの直後、彼はこの女の子に求愛します。
ヴァニタスの手記 2巻
「不服か?余計な世話か?知ったことかそんなもの!!貴様らが望もうと望むまいと俺は必ず吸血鬼を救う それこそが…それこそがオレの蒼月の吸血鬼に対する復讐だ!!!」
―ヴァニタス
自分主義全開のヴァニタス。
吸血鬼が集まる仮面舞踏会に潜入したヴァニタスは、自分が吸血鬼達の畏怖の象徴である『ヴァニタス』の名を継ぐ者だという事を大々的に証明し、これは復讐なのだと宣言します。
それは、自分にそう言い聞かせるかのように。
この騒動の結果かなりのピンチに陥りますが、ルスヴン卿との接触に成功したヴァニタス。
後先考えずに行動しているように見えますが、もしかしたら全てヴァニタスの計算通りの展開なのかも…?
『シャルラタン』と遭遇したノエは、昔、『呪持ち』になって死んでしまった幼馴染の事を思い出していました。
少しずつ様子がおかしくなっていく幼馴染のルイを放っておけなかったノエでしたが、やがてルイは吸血衝動に駆られてしまい暴走。ノエ達を傷付けてしまいました。
ノエの必死の呼びかけに意識を少しだけ取り戻したルイは、「どうせ死ぬなら君に殺されたい」と嘆願します。しかし、ノエはどうしても自分の手でルイを殺してあげることはできませんでした。
自分が『呪持ち』だと言うことを知っていたルイは、前々からノエへの『プレゼント』を作っていました。
ずっと完成する事が無かったその木彫りの『なにか』は、いつかそうなってしまった時に自分を殺してもらうための『杭』だったのでした。
これはあかん…。
これだけの数を作り直して、それでも完成させられなかったのは、やっぱり本当は生きていたかったからでしょうね…。
ヴァニタスの手記 3巻
「あんたと一緒にいることに決めました ヴァニタス」
―ノエ
仮面舞踏会で『呪持ち』となって暴れていた少女を「どうにかした」ヴァニタスを非難したノエ。
2人は険悪なムードになってしまいます。
その後ルスヴン卿とのやり取りの中で自分の過ちに気付いたノエは、謝罪しようとヴァニタスの元を訪れます。
そして、正直者過ぎるノエは「あんたの事は嫌いだけど、あんたという人間には興味があります」と伝え、再びバディを組む事を一方的に決めてしまいます。
結局、ちゃんと謝罪する事はできなかったようですが、朝焼けの陽光を背に、微笑ましいシーンになっています。
「オレは オレのことを好きになるような奴には全く興味が無い」
―ヴァニタス
突然ダンスに誘ってきたノエに「恋とは何ぞや」と問われたヴァニタス。
自分にもそれがどういうものなのか良く分からないヴァニタスは、全く参考にならないであろう言葉を返します。愛されるよりも愛したいマジでってことですね。
そういえば自分がジャンヌのことを好きだってことも「そういやそんなキャラ設定だったなオレ」みたいな感じで言うんですよねこいつ。
おそらく幼少の頃から歪んだ人生を送ってきたのでしょう。どんだけコンプレックス塗れなのか…。
この言葉は彼のことを良く知らないままでも、悲しい気持ちになります。
彼の過去が気になるには充分すぎる1コマでした。
「“付いて行く”つもりはありません “一緒に行く”つもりです」
―ノエ
「あんたとオレは対等だ」というノエのアピールタイム。
自分の過去と深く関係する事件が発生し、単身『狩人』の本拠地へと忍び込もうとしていたヴァニタスですが、ノエはそれを察知し、宿先で待ち伏せ。
“付いてくるな”という警告を無視し、“一緒に行く”ことを決めました。
まだパリの都に慣れていないノエですが、ヴァニタスの後ろではなく隣を歩くようになりました。
結局どこに行けばいいのか分かってなかったけど。
ノエが良い子過ぎてヴァニタスの色々が際立ちますね。
『狩人』達の本拠地である地下納骨堂(カタコンブ)、その秘密通路を通ってきたヴァニタスとノエはそこで聖騎士ローランと遭遇します。
戦闘能力がとても高いノエですが、吸血鬼特効の閃光弾の直撃を受け、思うように力を発揮できません。
一方ローランは薬によるドーピングで戦闘力を強化してきます。
予想外にローランめちゃくちゃ強い…。
ヴァニタスの機転によって2人は一旦撤退し、策を練ることに…。
「勝てますよ オレ達なら」
―ノエ
ヴァニタスの手記3巻 ©2016 Jun Mochizuki
ローランに勝てそうか、とノエに問うヴァニタス。
正直者のノエは「分からない」と答えますが、直後に「2人で力を合わせれば勝てる」と自信たっぷりに言い切りました。
あれ?ついさっきまで言い合ってたんだよなお前ら?
いつも真っ直ぐなノエのこの言葉にはヴァニタスも破顔し、2人の作戦が開始します。
呆れ顔のヴァニタスですが、心なしか嬉しそう…。
この台詞、後でもう一回言うシーンがありますが、気に入ったんですかね。
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