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【マチネとソワレ】狂気の名言・名シーンまとめ

舞台。それは世界で唯一、「生きている」と実感できる場所。
「上がるんだ、対決の舞台へ!」
上を見上げる弟と、それを見下ろす兄との激突演劇サーガ!

ゲッサン少年サンデーコミックスで連載中の『マチネとソワレ』は、『魔王』『Waltz』などで知られる大須賀めぐみ先生が描く、演劇が舞台の物語です。

マチネとソワレ1巻誠

マチネとソワレ1巻 ©Megumi Osuga

既に他界している天才役者である兄・御幸と、何をしても兄と比べられてしまう弟・誠の「芝居」にかける狂気とも呼べる情熱がこの作品の肝です。

家族にさえ満足に自分を見てもらえなかった誠は、絶望の中、水玉模様のタクシーに運ばれ気付けばそこは何かがおかしい世界。

ビルに映る大きなモニターの中には、死んだはずの御幸の姿が…。

兄弟の生死が逆転した世界で、誠の本気の「勝負」が始まります。



マチネとソワレ1巻三ツ谷誠
マチネとソワレ1巻 ©Megumi Osuga

ちなみにフランス語で「マチネ(matinee)」は昼公演、「ソワレ(soiree)」は夜公演という意味で使われる演劇用語です。

昼と夜で見に来る客層が違ったり、役者の気分も変わったりで同じ演目でも結構印象が変わるみたいです。

よくある「キャラ名タイトル」風になっているってことは、多分御幸と誠のことを指しているんだと思います。

と、いうことで。ここからは『マチネとソワレ』の狂気たっぷり名シーン集を紹介していきます。

※ネタバレ注意です。

 

「世の中なんてそんなモンだ。いつだって、ほんのちょっとのタイミングなんだよ。運命なんて大それたもんを決めちまうのは。」

―世良丞

マチネとソワレ世良丞

マチネとソワレ1巻 ©Megumi Osuga

本来なら自分が住んでいたはずの部屋に住んでいた女性、世良葵に介抱された誠でしたが、兄の丞は極度のシスコンで「小学会系一ツ橋会」とかいうヤ○ザの若頭でした。

丞は幼少時代、一緒に登校していた初恋の女の子が交通事故で即死したのを見て以来、大体のことを「運命だから仕方ないね」と割り切るようにしたそう。

ヤ○ザの妹に手を出した男が山奥に埋められてしまうのも運命だから仕方ないんです。

その後も丞は映画監督を目指して頑張っていましたが、努力は実らずついに腐ってしまいました。

夢を捨ててしまった後の絶望が人をこれだけ変えてしまうんですね。

しかし山の中でヤ○ザにこんなセリフ言われたらもう詰みですよ、お疲れさまでした。



「はは 何だこれ。俺 今 すごくワクワクしてるよ、……兄貴。」

―三ツ谷誠

マチネとソワレ1巻三ツ谷誠と世良丞

マチネとソワレ1巻 ©Megumi Osuga

今まさに殺されそうになった誠ですが、「ヤ○ザに全力でボコにされる」という貴重な体験に高揚しちゃいます。

「胸ぐらをつかまれぶん殴られた人間」の筋肉の動きをインプット・アウトプットし、突然その動きを1人で再現し始める誠。一瞬ジョジョかと思ったわ。

死の間際やりたい事をやって満足した誠ですが、この世界で自分の本当の実力を試してみたいと思うようになり、必死に命乞いを始めます。

人間、本当に追い詰められた時ってこんな事になるんですかね?いや、誠がおかしいだけか。

 

過剰で異常な役作り

マチネとソワレ1巻三ツ谷御幸想像妊娠

マチネとソワレ1巻 ©Megumi Osuga

超人気天才役者の御幸は次の舞台の役作りに尽力していました。

そして「妊婦の殺人犯」を演じるために自分を追い込んだ結果、男性ながら想像妊娠してしまいます。

つわりが酷く、嘔吐していましたが、どんだけ自己暗示が強いのか…。

でも想像妊娠って、それを自覚しちゃうとその症状って治るらしいですね。

御幸はこのあとちゃんと治ったのかな…。っていうか舞台終わるまでは治っちゃダメじゃん。

検査の結果聞いて良かったのか御幸…。

 

「才能も自信も幻かもしれない。だけど、覚悟は本物です。」

―三ツ谷誠

マチネとソワレ2巻誠の覚悟

マチネとソワレ2巻 ©Megumi Osuga

「1時間まばたき禁止」の試練を耐え切った誠は、丞にマネージャーになってくれとお願いします。

既に役者として活躍するための構想を練っていた誠を丞は馬鹿にしますが、誠は揺らぎません。この状況をチャンスだなんて言っちゃいます。

才能なんて無くても、出来る自信が無くても、1人の人間として、必要な時にしっかり覚悟を決め、やりきる事。

会社の上司の受け売りですが、それが大事なのかなと思います。

実際は丞のように成功せず挫折してしまうのが大半です。でも、挑戦しなかったという後悔だけはしたくないもんですね。

 

御幸の“幸運”

マチネとソワレ2巻非情な御幸

マチネとソワレ2巻 ©Megumi Osuga

「妊婦の殺人犯」の役作りの最終段階で、「流産してしまった母親の気持ち」を理解しようとした御幸は、実の母親に話を聞きに来ました。

誠が事故で死んでしまったときのことを事細かに言葉にし、母としての最悪の記憶を呼び起こそうとする御幸。

止めに入ろうとする誠と丞など構いなしに傷跡をえぐり続ける御幸はやがて満足し、泣き崩れる母を放置し稽古場へと戻っていきます。サイコパス…。



時を越えて伝わる愛

マチネとソワレ2巻誠と母親

マチネとソワレ2巻 ©Megumi Osuga

丞がヤ○ザの力で無理矢理配役変更をさせた天戸輝義監督の舞台『ハムレット』で、レアティーズ役として出演する事になった誠。

しかしそのレアティーズは「自分が愛されている自信」がないと演じる事が出来ないような解釈をされていました。

兄の陰で愛されている自信が全く無かった誠は、こっちの世界の母親に会いに行くわけですが、そこで御幸と遭遇し、先ほどのシーンになります。

親の愛情はなかなか子供には伝わらないものですよね。子供のころからずっと怖くて聞けなかったその言葉を、自分が死んでしまっている世界で聞くことになろうとは。

誠を救ってくれた、感動的なシーンです。

でもお母さん、元の世界じゃ御幸の死がショックすぎて「死んだのは誠」って思い込んじゃってたからなぁ…。兄弟を平等には愛してなかったんだろうなって思っちゃうんですよね…。

 

「俺はさ、本物がいいんだよ。ドロドロでぐちゃぐちゃで、こっ恥ずかしくて隠したくて汚ったねーもんがさ。」

―万仁

マチネとソワレ3巻万仁

マチネとソワレ3巻 ©Megumi Osuga

この漫画は考えが歪んだキャラクターばっかり出てきますね。

記者の万仁(フルネーム不明)は、規制が強い最近の風潮がつまらないらしく、綺麗事ではなく人間の醜い部分をさらけ出すようなネタが欲しいらしいです。

そんな万仁さんは、誠という異質な存在に目をつけ、興味を持ち始めます。

まぁ確かに流行の歌とかでも、愛だの希望だの似たような事ばっかりで飽きているのは私も同じですが、この漫画の世界だったら割と狂った奴ばっかりなんで、万仁さんすぐ満足できそうですけどね。

 

決壊

マチネとソワレ3巻誠の顔面爆発イメージ

マチネとソワレ3巻 ©Megumi Osuga

注・イメージ映像です。

母の愛を受け取り、何とか役を自分に落とし込めた誠は無事に本番を迎えることができました。

しかし、自分の実力を発揮できない苛立ちに苦しみながらも迎えた千秋楽で、誠は観客席で欠伸をしている御幸の姿を見つけてしまいます。

これは本当の俺じゃないんだと、兄に見せつけたかった誠は暴走し、「レアティーズを演じている山下孝雄」ではなく、「自分のレアティーズ」を演じて舞台を台無しにしてしまいます。

御幸の欠伸→驚愕の誠→顔面爆発と、見開きが3連続で続くんですが初見のインパクト凄すぎでした。何が起こったのかと思った。



“運命”の分岐点

マチネとソワレ3巻4巻誠の不始末のカタをつける丞

マチネとソワレ3、4巻 ©Megumi Osuga

誠の事をまだ信用しきっていなかった丞でしたが、誠の全力のレアティーズを見てついにマネージャーとして人生を捧げる決意を固めます。

お客さんからはとても評判がよかった誠の芝居ですが、自分の承認欲求のために主役を食い、舞台を台無しにしてしまった誠に対し、舞台監督の天戸は「指切り」か「役者としての死」の究極の選択を迫ります。

追い詰められた誠は差し出された包丁に手を延ばそうとしますが、そこに颯爽と現れた丞。

「ここ、楽屋ですよ」と突っ込む間もなく、誠の不始末のカタを「トン…!!」と、代わりに自分の指でつけてしまいます。

さすがはヤ○ザの2代目。潔く、漢気に溢れてますね。

丞が、なかなか認めたくなかった誠を素直に褒め、本格的に力を貸す事を決めた名シーンです。

 

「誰に何と言われたってどう思われたってどうでもいいんだよ。だって…一心不乱に演じる。それだけでもう、最っ高に楽しいじゃん。」

―三ツ谷御幸

マチネとソワレ4巻御幸の信念

マチネとソワレ4巻 ©Megumi Osuga

例の「妊婦の殺人犯」役をやり遂げた御幸ですが、劇中、リアリティ追求のためだけに本物の刃物を使用していました。

それに気付いた相手役の大根役者は恐怖のあまり失神。傍目には気持ちの入ったとても良い「演技」に見えました。

そんな事をしていたら警察沙汰になり、追放されてしまうぞと心配する周囲をよそに、「自分のしたいようにやる」姿勢を崩さない御幸。

やってる事は狂っていますが、それだけ1つの事に夢中になれるのはすごいと思います。

ちなみに「大根役者」の語源って、大根は白いから「素人」とかけているとか、「どんな食べ方してもあたらない」→「役者として当たらない」とか諸説あるそうです。

昔の人は随分捻った考え方しますね…。

 

「俺はもう、そういうのやらねえって決めたんだよ!最後まで死ぬ気で足掻くって決めたんだ!!」

―世良丞

マチネとソワレ4巻丞

マチネとソワレ4巻 ©Megumi Osuga

丞が次に取ってきた仕事は、小さな劇団のハレルヤ・カンパニーによる「どしゃぶり天国」のリバイバル公演。

しかし、痴情のもつれによる突然の爆発事故によって、残った劇団員は日下部一星ただ1人。

ちょい役として出演する事になっていた誠ですが、当初の予定を変更して日下部が書いた脚本を2人でやることに。

ところが満を持して書かれた脚本は奇跡レベルでつまらないものでした。

ポンコツの日下部は舞台のセットをめちゃくちゃにして逃げ出しますが、丞のヤ〇ザパワーですぐに捕まります。

捻くれ荒んでいた丞でしたが、誠に感化されこんな熱いことを言うようになりました。

元々こういう性分だったんでしょうけど、誠を埋めようとしていた奴と同一人物だとは思えないですね。



「できるとか、できないじゃない!やるんです!!!」

―三ツ谷誠

マチネとソワレ4巻誠

マチネとソワレ4巻 ©Megumi Osuga

舞台に立てる役者が誠一人しかおらず、部隊のセットもめちゃくちゃという最悪の状況になったところで、ついに開演の時間が来てしまいました。

今更中止にするわけにもいかず、慌てふためく一同ですが、腹をくくった誠は「一人芝居」をすることを決意します。

しかし今の脚本のままでは死亡確定。見かねた小鳥遊が15分で作った即興のシナリオを、誠は即興で演じることになります。

同じような台詞は色んな漫画やアニメで聞きますが、このシーンの誠のこの台詞は鬼気迫るものがあって説得力がすごい。必死感が伝わってやるしかないって気持ちになります。

 

「すっごい充実感!芝居って最高だなあ!!」

―三ツ谷誠

マチネとソワレ4巻誠

マチネとソワレ4巻 ©Megumi Osuga

ひたすらに足を引っ張るポンコツ役者の日下部が芝居の最中も余計な事をしてくれましたが、咄嗟のアドリブで日下部を巻き込み、即興劇は大成功に終わりました。

全力も全力を尽くした誠は、周りがドン引くほどのものすごい充実感に浸りますが、極度の疲労から突然気を失ってしまいます。

追い詰められ、気を失うほどの大変な思いをしつつも、こんな台詞を吐ける誠はよっぽど芝居が好きなんでしょうね。

 

召喚士の資格

マチネとソワレ5巻泉那由他

マチネとソワレ5巻 ©Megumi Osuga

もうこれ、この2コマだけ見ても全くの意味不明ですよね。

2.5次元の舞台のオーディション会場で出会った超ネガティブ猫耳帽子の泉那由他は、緊張と実力不足で台詞もダンスも散々な結果。

しかしこのオーディションで採用されたのは、なんと那由他1人だけでした。

ちなみに「リリリリリコリコ…」言ってるのはホントは「離婚なんてさせるかよ!!ババアの幸せは俺が守ってやるんだ!!」っていう台詞らしいです。

2.5次元の舞台は原作ファンの理想や夢を3次元に召喚する場で、美しくない者は舞台に立つ資格すらないとのこと。

そして、役者がその役になりきろうと極限まで努力し、青臭いピュアな切実さがスパークした時に初めて2次元と3次元は繋がるらしいです。なんのこっちゃ。

でも最近の2.5次元舞台ってめちゃくちゃ凝ってて凄いらしいですね。1回見てみたいです。


以上が『マチネとソワレ』1巻~5巻の個人的名言名シーン紹介です。

普段あまり読まないジャンルの漫画だったんですが、役者として頑張っている友人がいるので、何となく手にとってみたらガッツリ読んじゃいました。

内容が黒めでドロドロしてるので、読みやす…くは無いかもしれませんが、予備知識が無くても楽しめると思います。

今回ほぼ紹介していませんが、演劇中もカッコいいシーンがたくさんありますので、気になった方は是非読んでみて下さい。

ゲッサン少年サンデーコミックス

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