2021年の7月からAT-X、TOKYO MX、BS11、HTBで放送されdアニメストア、Amazon Prime Videoなどでも配信されているアニメ『かげきしょうじょ!!』
事前情報をなにも頭に入れずにふらっと視聴してみたところこれが予想以上に面白く、思わずコミックスを購入してしまうほどにすっかりはまってしまいました。
『かげきしょうじょ!!』は斉木久美子さん原作の漫画で現在白泉社のMELODYにて連載中。
大正時代より続く未婚女性のみで構成された劇団の育成機関『紅華歌劇団音楽学校』の100期生となった歌劇少女たちが未来のトップスターを目指して頑張る、という内容のお話です。
『かげきしょうじょ!!』のアニメを視聴して印象的だったシーンをまとめてみました。
以下ネタバレを含みます!
アニメ『かげきしょうじょ!!』印象的なシーン
第五幕 観劇の帰り道にロミオを演じてみせたさらさ
「あの星 一番高く大きく輝く星 あれは渡辺さらさ
あの人はあそこへ行くべき人だ 私もそこへ──…
同じ高さであの世界を── 見たい」
さらさが初めてロミオとジュリエットの公演を観劇し、その帰りに物語の一節を演じてみせたシーン。
さらさは大のオスカルファンでベルばら以外の歌劇の演目を見たことが無かったのに一度見ただけでロミオのセリフを覚えてしまうなんて凄すぎる。
突然声色が変わって完全にロミオになりきった姿にはビックリしました。
さらさ役の千本木彩花さんの声の切り替えも素晴らしい。
さらさはちゃんと努力もできる子なんですが何よりポテンシャルが相当高そうですね。
そんなさらさの才能に触れてちょっとときめいちゃってる奈良田愛ちゃん。
ここまでツンケンしてた愛ちゃんがさらさ推しというかさらさ沼にはまった瞬間なのでは。
うまく説明できないけど、これがトップスターと娘役のいわゆる「恋するような関係」の雰囲気なのかな~と妙に納得してしまいました。
第六幕 里美星のティボルトを完全コピーしたさらさ
演劇の授業で実技に取り組むことを許可され各班ごとに分かれて『ロミオとジュリエット』を演じることになったさらさたち。
じゃんけんで決まったさらさの配役はロミオではなく敵役のティボルトでした。
愛ちゃんの言うとおり、私もさらさにはロミオのほうが合うだろうな~と思っていたのですがこれがなかなか…
台本の読み合わせではもごもごしていたのにDVDで冬組公演の里美星のティボルトを見て以来、まるで別人のように変貌したさらさの演技。
「ロミオ あいつはただの 悪党だ」
ダークなさらさ、いいじゃない!
里美星の「暗くて病んだティボルト」を完全にコピーしたさらさ。
普段が天真爛漫でフワッとした子なのでギャップに萌える。
さらさは台本ではなく実際の演技を見てセリフや立ち回りを覚えちゃうんですね。
歌舞伎で培った能力と生まれ持った才能。これはこれで後々苦労しそうだけどこういう特殊能力的なのカッコ良くてステキです。
第九幕 委員長杉本紗和の紅華コレクション
「仕方ないわね…これでも見てじっくり予習して」
専科のベテラン団員たちと合同チームで参加することになった10年に一度の『紅華大運動会』を前に、紅華のことについての知識に乏しいさらさと愛に自らのコレクションを貸し出して予習を促す委員長の杉本紗和。
自他ともに認める紅華ヲタクの彼女のロッカーには紅華にまつわるお宝アイテムがズラリ。
このコレクション、よく見ると「ん!?」と思うような名前やタイトルがチラホラあります。
例えば上段一番左の『紅華永遠のトップスター』という本。これは実際に『宝塚永遠のトップスター』というタイトルの本があります。
著者の名前も実際と同じ下瀬直子氏になってますね。
その隣にあるVHSのタイトル『春日野美千代』というのは「白薔薇のプリンス」の異名で呼ばれた宝塚のレジェンド春日野八千代さんのことでしょう。
アニメではカットされていましたが実は漫画の方には春日野八千代さんをモデルにしてるであろうキャラクター、白薔薇のプリンスのエピソードが出てきます。
そしてその隣のVHSに書かれているのは「真屋みき」の名前と『NICE GUY’s』のタイトル。
これはどう見ても宝塚元花組トップスターの真矢みきさんですね。実際にも『Nice GUY!』というタイトルでディナーショーのVHSが発売されています。
上段の真ん中あたりにある本『ユキ欲しい!?』と『笑顔の引力』は元月組トップスター天海祐希さんの著書がモデルだと思われます。
『笑顔の引力』はタイトルそのまんま。『ユキ欲しい!?』は実際は『ユウキ欲しい!?』というタイトルの本です。
中段左の『LOST ANGEL』は元月組トップスター涼風真世さんのバウホール公演プログラムかな?ビジュアルがそっくり。
その隣にある本『KANATO TAKASHIRO』は月組トップスター月城かなとさんの宝塚1stフォトブック『KANATO TSUKISHIRO』が元ネタでしょう。
遊び心満載のこのシーンは実は漫画には無いアニオリ。
ファンは思わずにんまりしてしまいそうな宝塚感満載の面白いワンシーンでした。
元ネタの全アイテムを持ってるわ!って方もいらっしゃるんだろうなぁ。
第九幕 イケボの各組トップ様
運動会の準備のために教室に入ったさらさたち。
そこには紅華歌劇団の各組トップスター4名の姿がありました。
画面がキラキラしてる…!さすがみんなイケメンですね。
うっ…夏組の椎名玲央さまと冬組の里美星さまが好み過ぎる。
さらにこの4人、声もホントにイケボなんですよ…。
キャストは
- 朝比奈 流…内海安希子
- 椎名 玲央…斎賀みつき
- 美月 圭人…岸本望
- 里美 星…七海ひろき
なんとなんと、斎賀みつきさん以外みんな元タカラジェンヌ!
内海亜希子さんは元月組娘役(旧芸名は美宙果恋)だし岸本望さんは元月組男役(旧芸名篁祐希)。
七海ひろきさんは元星組の男役スターで2014年の全国ツアーでオスカルを演じた方です。
そりゃあ皆さんかっこいいわけですよ。
第六幕でちらっと聞けた七海さん(里美星)のティボルトはさすがといった感じでしたね。
もちろん斎賀さんは説明不要で不動のイケボ声優。相変わらず何の違和感もなくイケメンでした。
実はアニメ『かげきしょうじょ!!』にはほかにもたくさんのタカラジェンヌさんが出演されています。
大木先生役の葛城七穂さんは元雪組男役。薫のおばあちゃま星野マリ役の前田真里さんは元星組。
専科の一条明羽役は元雪組男役の森なな子さん(旧芸名冴輝ちはや)です。
一条さんめちゃくちゃイケボでカッコ良かった…。
ちなみに、美月圭人役の岸本さんは声をあてる以外にタップダンスと日本舞踊の演技指導にも協力されています。
アニメ『かげきしょうじょ!!』には多くの宝塚関係者が関わっているんですね。
第十一幕 愛の演じたジュリエット
「ふり向いた時そこに見えたのは あなただけだった」
文化祭でロミオとジュリエットの寸劇を披露するため、さらさたちは劇に出演する4名を選ぶオーディションを受けることになりました。
そのオーディションで、いつも無表情な愛ちゃんがロミオへの恋心をさらさに向ける感情に置き換えて表現した情感たっぷりのジュリエット。
さらさとの宝物のような出会いの思い出と、いつかさらさと一緒に銀橋を渡るんだという気持ちが引き出した演技でした。
いきなり覚醒する愛ちゃんにビックリです。
さすがというか、なんというか…いよいよこじらせてきましたな(褒め言葉)
あとやっぱり愛ちゃんは髪が長い方がかわいい。
第十二幕 さらさと暁也の関係
衝撃的だったのはさらさと白川暁也の関係。
物語序盤にさらさが彼氏がいることを明かした時は驚きとともになんか変だな~と思っていたんです。
しかもなんか流すような感じでサラッと言ってたのですごく不思議な雰囲気。
最近の少女漫画ってこんな感じなの?彼氏いるのとか当たり前に進行していくのか?なんて思ったりしてたんですが…
第十二幕を見てなるほど納得…。
これまた複雑な関係じゃあないですか。
いろんな思惑が絡んでなんか政略結婚みたいな感じというか…。
水族館で「彼氏になってください」と言う直前のさらさの表情がまた哀愁に満ちていてかなりグッときました。
これをさらさに言わせるのかぁ~くぅっ…!
いつも明るいさらさの諦念の表情がすごく印象に残るワンシーンでした。
ギャップです。いつものギャップ萌え。
第十三幕 さらさ渾身のティボルト
「これが… オレの最期だと言うのか…!」
悩んだ末、一度演劇の授業でダメ出しを受けたティボルト役に再挑戦したさらさ。
誰かのコピーではないオリジナルのティボルトを生み出すことに苦心していたさらさがオーディションで見せたのは前回とは違う切なげなティボルトでした。
う~ん、いい!!
何度も言うようですがギャップなんです!表情たまらん。
普段へらっとしてるさらさだからこその意外性と萌え。
ジュリエットへの思慕と絶望が入り混じったさらさ渾身のティボルト、最高でした。
この感情を叶わない歌舞伎への思いと重ねてるところがまた切なくて良いですね。
『かげきしょうじょ!!』OP・ED 主題歌
オープニング曲
星のオーケストラ
アニメ『かげきしょうじょ!!』のオープニング曲はsajiさんの歌う「星のオーケストラ」
爽やかで気分の上がる曲調と前向きな歌詞は『かげきしょうじょ!!』の世界観にぴったりです。
エンディング曲
エンディング曲はなんと主要キャラクターたちが歌う4種類!
それぞれに違う画が用意されていてなかなか凝ってます。
星の旅人
1曲目は渡辺さらさ(千本木彩花)と奈良田愛(花守ゆみり)が歌う「星の旅人」
ここはもう主役二人の安定のカップリングといった感じ。
マッチするはずのないツインテールなのにかなりサマになってます。
この曲が流れるのは第二幕、第三幕、第六幕、第七幕、第十一幕のエンディングです。
シナヤカナミライ
2曲目は杉本紗和(上坂すみれ)と山田彩子(佐々木李子)が歌う「シナヤカナミライ」
このエンディングの紗和が好みにドンピシャすぎてつらい…。
黒髪ロングが好きなんですすいません。黒い衣装も最高。
エンディングを見た瞬間紗和推しになりました。
入団して男役になっても彼女には黒髪ロングで演技してほしいッ…!
この曲は第四幕、第十幕、第十二幕で流れます。
薔薇と私(星野薫)
3曲目は星野薫(大地葉)が歌う「薔薇と私」
エンディングの曲調自体歌劇チックな雰囲気なんだけど、薫の歌う「薔薇と私」はとくにそれっぽく聞こえますね。大地さんの歌唱テクニックすごい。
ほかの子たちがデュエットしてるところ薫のパートだけはソロっていうのもとても彼女らしくていいと思います。
あとやっぱり薫もイケメン。
髪が長い時は美人さんだったけどショートヘアでこの衣装着ると王子様感がやばい。めちゃくちゃ似合ってますね。
薫の「薔薇と私」は第八幕のエンディングで流れます。
薔薇と私(沢田千夏・千秋)
4曲目は沢田千夏(松田利冴)と沢田千秋(松田颯水)が歌う「薔薇と私」
こちらは中の人たちも双子ということでデュエットのハーモニーがなんかすごい。あとどっちがどこを歌ってるのかわからない(笑)
歌もそうですが作中の演技も、やっぱり双子役を双子が演じるっていうのは安定感がありますね。
ジュリエット風のおそろいの衣装を着た双子ちゃんかわいいです。
この曲は第九幕のエンディングで流れます。
最後に大階段を見上げるみんなの後ろ姿もそれぞれ個性的でいい感じ。
娘役はちゃんと女性らしく、男役は男性らしく見えますね。
後ろ姿でもやっぱり紗和かっこいい。
みんなの公演デビューがとても待ち遠しくなるようなエンディング映像でした。
音楽担当 斉藤恒芳
アニメ『かげきしょうじょ!!』の音楽を担当しているのは斉藤恒芳さん。
エンディング曲の作詞作曲も斉藤さんです。
斉藤さんはこれまで宝塚歌劇団の舞台音楽をいくつも手掛けてきた方で、1999年の宙組公演「激情」では第54回文化庁芸術祭演劇部門優秀賞を受賞されています。
エンディング曲を聞いた瞬間すごく宝塚っぽいな~と思ったんですがなるほど納得。
作中の音楽でもそこかしこに歌劇チックな雰囲気を感じます。
音楽担当・斉藤恒芳さんのコメント
劇伴と言われる音楽の中で、映像につける音楽と、舞台演劇につける音楽がかなり違うことにずっと逡巡(しゅんじゅん)してきましたが、今回「かげきしょうじょ!!」で、思いきって演劇風の音楽をたくさん作りました。ミュージカルアニメというわけではありませんが、毎日が芝居漬けの演劇人を目指す少女たちの情熱のリアルライフが、非日常の世界でつづられる雰囲気がお伝えできればと思っています。
元タカラジェンヌの声優陣もそうですが、ホントにいろいろなところに宝塚をよく知る方々が関わっているんですね。
『かげきしょうじょ!!』原作漫画
アニメではカットされているシーン
原作漫画を読んでみると、アニメ版では描き切れずにカットされてしまった場面がたくさんありました。
まあさすがに無理だろうなという感じではありますが、原作はとにかく他作品のパロディが多い!
銀魂やらジョジョやらその他諸々。
斉木先生もヲタクなのかな。
さらさの寮の部屋にはドラゴンボールらしきポスターも貼られていました。
もともとジャンプ改で連載されていたからか集英社の作品のパロが多いですね。
あと驚いたのが自衛隊の穴井一尉。
アニメでホントにアナゴボイスだった…。
アニメ化の前から斉木先生のイメージでは穴井一尉の声は若本規夫さんだったんですね~。
それが実現しちゃったわけだ。
アニメで穴井一尉が登場した時、なんかどう見てもそんなに出番の多そうな役柄じゃないのにこのキャラに若本さん??って疑問に思ってたんですが漫画を読んで腑に落ちました。
アニメでは「アナゴボイス」とか一言も出てこないのにしれっと実現させてるのがニクイですね。
とにかく原作は他作品にも広くアンテナを広げている斉木先生の遊び心が満載。
ほかにも、運動会前に専科・本科の人たちと一緒に意気込みのポーズを撮影しているシーンでさらさ一人だけ心臓をささげるポーズをとったりしてます。
当然アニメでは普通のガッツポーズだったけどいろいろと仕込んできますね~。
調査兵団さらさをぜひコミックス3巻で探してみてください(笑)
いろいろ細かいところを探していくととても面白いですよ。
別の意味で面白いこんな作画ミスのシーンも見つけてしまいましたが…
キャッチャーどこにおるん(笑)
左打者のフォロースルーはこんな感じにならないですからね…。
右打者の左側にキャッチャーが座ってるのはさすがにおかしい。
これはどうにかできるなら増刷分からでも修正したほうがいいかもですね。
漫画を読む順番はシーズンゼロから
コミックスを集める際に一つ注意しなければいけないのは、連載途中で集英社のジャンプ改から白泉社のMELODYに連載が移行したため、「コミックス1巻」が”物語の頭”ではないということ。
白泉社の花とゆめCOMICSで発刊されている「1巻」はさらさたちが安藤先生に実技をやりたいと申し出るところ、アニメで言うと第六幕あたりの話から始まっています。
アニメを見てる方はそこからでも十分理解できると思いますが、アニメ未視聴で漫画から入った方はちょっと「???」って感じかも。
なのでこれからコミックスを集める場合は『かげきしょうじょ!!シーズンゼロ』から読み始めるのがおすすめです。
『かげきしょうじょ!!シーズンゼロ』はジャンプ改で連載されていた集英社版を白泉社発行で再編集したもので、完全に物語の冒頭となる紅華入学前のエピソードから収録されています。
2012年よりジャンプ改にて「かげきしょうじょ!」連載開始→ジャンプ改休刊、2014年メロデイへ「かげきしょうじょ‼︎」として移籍連載開始→2021年7月アニメ放映開始🤩漫画も連載中です😊✨
♪☆ヽε(*´◒`*)3人(廿_廿)ノ☆♪ #かげきしょうじょ #かげじょ #歌劇少女 https://t.co/02l3cayZyM pic.twitter.com/XLcGvzSd1r— 斉木久美子@かげきしょうじょ‼︎ (@Psy93) July 9, 2021
特別収録の番外編や元宝塚トップスター凰稀かなめさんのインタビューなども載っていてかなり読み応えもある(実際めちゃくちゃ分厚い)1冊なのでぜひぜひシーズンゼロから読んでみてください。
まとめ
アニメ『かげきしょうじょ!!』は分かりやすくまとまりながらも各キャラクターに存在する色々な背景もきちんと紹介されていて思った以上に楽しめた作品でした。
漫画では少々冗長に感じる部分もスッキリ編集されていたと思います。
背景のモブの書き込みが少なかったり運動会の回に静止画が多かったのは残念でしたが、やっぱりこういう女の子のスポ根はいいですね!
紅華歌劇団のモチーフになっているのは言わずもがな宝塚歌劇団。
一般人にはなんとなく未知で神秘のヴェールに包まれた存在の宝塚の世界をこういったエンタメ作品で、フィクションとはいえ少しでも垣間見えるのはとても面白かったです。
まさかこんなところでアニメ終わらないですよね…?
2期、3期と続いてくれることを願いつつ、それまでは漫画のほうでストーリーを追いかけたいと思います。
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