©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
前回のつづき…
第九話「貴族の責務」のあらすじと感想③
ウンベールの行為を非難するユージオ
「……それで、我が友ユージオ修剣士におかれては、休息日の夕刻にいったいどのような御用かな?」
ティーゼとロニエに頼まれて、フレニーカに対する不当な行為を咎めるためにウンベールの下を訪れたユージオとキリト。
ユージオは慎重に言葉を選びながら、ウンベールの行いを非難しました。
「ふむ、逸脱?なんとも奇妙な言葉だなユージオ殿。もっと解りやすく、学院則違反と言ったらどうかね?」
ライオスの言うとおり、ウンベールの卑劣な行いは、禁忌目録や帝国基本法はもちろん、院内規則にさえ違反していませんでした。
そのことを理解しているユージオは、歯噛みしながら言い募ります。
「ですが……学院則で禁じられていなくとも、初等錬士を導くべき上級修剣士として、すべきではないこともあるでしょう!」
ライオスの挑発とウンベールの開き直り
ユージオが声を荒げると、ライオスは不敵な笑みを浮かべながら、ウンベールが行った行為の詳細を求めました。
ティーゼたちに詳しい説明をさせるのは気が引けたため、ユージオは《ウンベールの逸脱した命令》の具体的な内容を聞いていませんでした。そのため、即座に答えることができなかったのです。
ライオスは、ユージオの反応を楽しむように、ウンベールに身に覚えのある行為があるかどうかをわざとらしく尋ねました。
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「とぉんでもない!何を言われているのか、さっぱり思い当たりませんな!」
ウンベールは毒々しい笑みを浮かべながら、ユージオの指摘する逸脱行為を否定。
そして、自らが行った卑劣な行為を事細かに説明しました。しかし、それと同時に、自分の行為がどの規則にも違反していない正当なものであるとアピールしたのです。
アニメ版では、ユージオが最後にウンベールに対して一矢報いるような演出になっていますが、原作ではほぼ完敗。
やはり、舌戦でこの意地の悪いライオスとウンベールの二人組に勝つのは簡単ではありませんね。
アニメ版と原作でのユージオの行動の違い
ちなみに、アニメ版ではライオスたちの部屋を出た後、ユージオは壁に向かって思い切り拳を叩きつけていますが、原作では、ユージオはやむなく振り上げた腕を下ろしています。
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ユージオがそのような行動を取らなかった理由は、鍛え上げられた彼の筋力でそんなことをすれば、壁にダメージを与えてしまう、つまり、建物の天命を減少させてしまう可能性があるからでした。
学院の施設や備品を意図的に損壊する行為は、明白な「禁忌違反」になりますからね。
ティーゼの日課と掃除の報告
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「ユージオ上級修剣士殿、ご報告します!本日の掃除、完了しました!」
毎日決まった時刻である4時ちょうどにやってきて、丁寧にユージオの部屋を片付けし、掃除の完了を報告するティーゼ。
ユージオは、ウンベールにフレニーカの件について抗議したことをティーゼに話しました。
ティーゼはそのことを聞くと、ぱっと顔を輝かせ、ユージオに感謝の言葉を伝えました。
ティーゼの将来への不安や恐怖
しかし、その後、ティーゼは将来について不安を口にし始めます。
自分が夫を迎えることになった時、もし相手がウンベールのような誇りを持たない人間だったら…
将来の不安や恐怖を涙ながらに打ち明けるティーゼ。
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「ユージオ先輩、私……その……先輩にお願いがあるんです!ユージオ先輩、きっときっと学院代表になって、剣武大会にも勝って、四帝国統一大会に出て下さいね」
ティーゼの希望は、四帝国統一大会で上位に入り、一代貴族に叙任されたユージオの妻になることだったのです。
ユージオの葛藤と優しい嘘
ティーゼの希望を理解したユージオでしたが、彼の目標は昔も今も変わらず、”整合騎士になり、アリスともう一度会うこと” だけ。
しかし、ユージオには生まれて初めて自分の不確かな将来に怯えているであろう16歳の少女の懇願を無下にすることはできませんでした。
「うん……解った。大会が終わったら、きっと君に会いに行くよ」
ユージオは、嘘でもいいから、今震えている少女の心を穏やかにしたかったのでしょう。
原作では、”ぎこちなくティーゼの頭を撫でながら、ユージオは言った” となっているのに、アニメでは慣れた仕草でティーゼの頭を撫で、スムーズに指で涙を拭うユージオの姿が描かれていました。
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この表現の違いには少々疑問を抱きましたが、制作陣の気持ちが込められた良いシーンだったと思います。
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アニメ第九話からは、原作小説「ソードアート・オンライン11アリシゼーション・ターニング」の内容になります。
ここまでは世界の説明等に多くの時間を費やしてきましたが、ここから一気に物語が動き出します。
次回は第十話「禁忌目録」。
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