©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
前回のつづき…
第四話「旅立ち」のあらすじと感想④
ギガスシダー討伐後の村の反応と祭り
ギガスシダーが切り倒されたことを知った村長をはじめとする顔役たちは、村会議を開催し、ユージオとキリトの処遇について話し合いました。
案の中には、予定よりも900年も早く役目を果たしてしまったことを非として処罰するといったものもありましたが、最終的には村を挙げて祭りを催し、ユージオについても法の定めるところに従って遇するという結論に達しました。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
アンダーワールドに来てから、丸パンと教会で出る野菜中心の料理しか食べたことがなかったキリトにとって、「肉」と名のつくものを口にするのは初めての経験でした。
濃厚なソースのかかった柔らかい牛肉に似た肉が特にお気に入りのようで、原作では、この味のためだけでもギガスシダーとの苦闘は報われたと思えると書かれています。
さらに、林檎酒も気に入ったようで、アップルサイダーに似た味の発泡酒を何杯も飲んでいました。
ユージオの新たな天職「剣士」
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
その時、演台の方からよく通る声が聞こえました。
「みんな、ちょっと聞いてくれ!」
台の上に立っていたのはアリスとセルカの父であり、ルーリッド村の村長を務めているガスフトとユージオでした。
「ルーリッド村を拓いた父祖たちの大願は、ついに果たされた!悪魔の樹が倒されたのだ!」
そして、最大の功績者であるユージオが紹介されると、この日一番の歓声が彼に浴びせられ、キリトもその歓声に負けじと両手を打ち鳴らしました。
掟では、見事天職を果たした者は自ら次の天職を選ぶ権利が与えられるとのこと。
ユージオは左手で青薔薇の剣の柄をぐっと握ると、顔を上げ、大きな声ではっきりと言いました。
「僕はーー僕は剣士になります。腕を磨いて、いつか央都に上ります」
ガスフトは、ユージオの強い思いが宿った瞳を見て何かを察したようでしたが、何も言わずに村人の前で高らかに宣言しました。
「ルーリッドの長として、ユージオの新たなる天職を剣士と認める!」
セルカとの別れと旅立ちの日
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
翌日、ユージオはセルカに会い、必ずアリスを連れて帰ってくることを誓いました。
「――待ってる。だから、絶対に三人で帰ってきなさいよ」
セルカはそう言って、目に涙を浮かべながら微笑みました。
その後、キリトとユージオは村の入り口へ。
ほんの一週間前に出会ったというのに、どこか生来の親友であるかのような二人は、肩を並べて南へ、アンダーワールドの中心へと足早に歩き始めました…。
原作とアニメの相違点
ユージオとジンクの試合をカット
ラストについては、もはや改変の嵐で原型をあまり留めていませんね(笑)
まあ、これくらいカット&改変した方がスムーズに進むんだろうなという感じもしましたが、一点だけ気になる点があります。
それは、ユージオが剣士になることを村人の前で宣言したシーンです。
アニメではすぐに受け入れられて歓声が上がりますが、原作では村人たちはあまり好意的に受け止めていません。
さらに、ルーリッド村の衛士であるジンクに至っては、異議を申し立てます。
「ザッカリアの衛兵隊を目指すのは、まず第一にこの俺の権利だったはずだ!ユージオが村を出ることを許されるのは、俺の次じゃないとおかしいだろう!」
そして、二人は決着をつけるために剣の試合を行うことに。
この試合で、ユージオはキリトが想定していた以上の動きを見せ、ジンクに勝利します。
このシーンはばっさりとカットされていますが、ユージオに秘められた非凡な剣の才能を知ってもらうことと、この先の伏線としてもカットしない方が良かったのではないかと。
第二話の村の入り口での必要性の感じられないアニオリを入れるくらいなら、ここに時間を割いて欲しかったですね。
青薔薇の剣と一体となって舞うユージオの姿は、美しくすらあった。
彼がこの先も研鑽を積み、数多の技を会得し、実戦の修羅場をも経た時、いったいどれほどの剣士となるのだろうか?もし……もしもその彼と本気で剣を交える場面に至ったとしたら、果たして俺は彼の前に立てるのか――?小説「ソードアート・オンライン9アリシゼーションビギニング」
その他に関しては、特にどうということはありませんが、宴のシーンで村人に混じって踊りまくるキリトをアニメで見たかった(笑)
いつもクールなキリトですが、原作では林檎酒の影響もあって、楽しく踊りまくる描写があります。
何度も踊りの輪に飛び込んだあげく、最後はセルカに引きずられるようにして教会に戻る羽目になったと書かれています。
©2014 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAOⅡ Project
村の娘たちと踊っている時、キリトは妹である直葉(リーファ)とアルヴヘイムで踊ったことを思い出し、思いがけないホームシックに浸っています。
僕も思い出して何十回目かの第25話を見ましたが、相変わらず良かったですね。
キリトとセルカのキスシーンの改変
また、ばっさりとカットされているシーンといえば、キリトがセルカの額にキスをするシーンでしょうか。(ソードアート・オンライン9アリシゼーションビギニング395P)
原作では、キリトとセルカが会話をしてからキスをするシーンだったのが、アニメではユージオとセルカの会話だけに大幅に改変されていましたね。
原作では、”自分自身が人工フラクトライトかもしれない” という疑念を払拭するために、キリトは自分自身のモラルに反する行動をわざと取りました。
それが、このセルカの額へのキスだったのです。
原作を忠実に再現するのであれば、このシーンは必要だと思います。しかし、アニメはこのあたりの設定が適当なので、どちらでもいいかなという感じですね。
それと、非常に重要なギガスシダーの枝についても全く触れられていませんでしたが、ここは後々回想で紹介するかもしれません。そちらの方が分かりやすいかもしれませんね。
アニメ第四話の全体的な感想
良かった点:戦闘シーンの質の高さ
さて、第四話の全体的な感想ですが…
戦闘シーンについては、絵もよく動いていたし、動きひとつひとつに重厚さもあって、とても良かったと思いました。
残念な点:ストーリーの解釈やカット・改変の多さ
ストーリーについては、もう何とも言えないですね…。
カットするだけなら時間的に仕方ないと思える節もあるのですが、ことあるごとに改変したりオリジナルを入れてくるので、がっかりを通り越して絶望感すら感じます。
今回の新監督のもとでは今後もストーリーについては期待できないのだろうなと、強く思わされた第四話でした。
アニメ第四話までが、原作小説「ソードアート・オンライン(9) アリシゼーション・ビギニング」のお話となります。
ストーリーや設定を深く、忠実に知りたい人は、ぜひ原作小説を読むことをおすすめします。
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