©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
前回の続き…
キリトはフィゼルとリネルを毒で麻痺させた後、二人の命を奪うことはしませんでした。
代わりに少女たちに対して、自分と整合騎士たちとの戦いをよく観察するよう指示しました。
第十五話「烈日の騎士」のあらすじと感想②
キリトvs四旋剣、集団戦術を突破する機転
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「――待たせたな、騎士ファナティオ!剣士キリト、参る!!」
名乗ると同時に一気に突進するキリトを、まずは「四旋剣」が迎え撃ちます。
アニメではキリトがすぐに四旋剣の包囲を突破してファナティオと一騎打ちになりますが、原作では四旋剣との戦いも詳細に描かれています。
四旋剣の戦法は “集団による連続技”。
四人全てが “左から右への水平斬り” を行い相手の行動を限定しつつ、大技を放ち続けるという戦術です。
キリトは上下の回避動作と一体化した反撃によって四旋剣の連携を崩し、最終的にファナティオとの一騎打ちに持ち込むことに成功しました。
ファナティオとの一騎打ち、神器 “天穿剣” の脅威
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原作では、キリトが四旋剣と戦っている最中にファナティオが武装完全支配術の詠唱を始めていました(アニメではキリトとの一騎打ち中に詠唱を開始)。
キリトはファナティオが完全支配術を使う前に一気に距離を詰め、一撃を与えるためにアインクラッド流秘奥義「ソニック・リープ」を繰り出します。
この技は第4話でゴブリンのウガチにとどめを刺した際にも使用されています。
ソニック・リープは「バーチカル」と同じく単発の縦切りですが、突進力に優れた秘奥義で瞬時に相手との距離を縮めることができます。
キリトの跳躍が頂点に達し斬撃の体勢に入ったその瞬間、ファナティオの細剣の切っ先が青白く輝きました。
その光は一瞬でキリトの脇腹を貫通しますが、キリトはひるむことなく渾身の一撃を放ちました。
しかし、脇腹の痛みがキリトの秘奥義の軌道をわずかにずらし、結果としてファナティオの兜の翼飾りを破壊するにとどまりました。
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この瞬間を境に、ファナティオの怒涛の攻撃が始まります。
彼女の放つ攻撃はまるでレーザービーム。
その速さと間合いの正確さもさることながら、”不朽の壁” と呼ばれる最高級の大理石さえバターのように溶かす圧倒的な威力は、まさに脅威そのものでした。
さらに恐ろしいのは光の発射に際して溜めや突きといった予備動作が一切ない点。これにより、攻撃の予測がほぼ不可能となっています。
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ファナティオの神器 “天穿剣(てんせんけん)” は、アドミニストレータが1000枚もの大鏡を束ねて鍛え上げた一本の剣です。
天穿剣による光攻撃の正体は、この千の鏡で束ねられたソルスの光だったのです。
キリトの反射技で明らかになるファナティオの素顔
ファナティオの攻撃に翻弄されるキリトは、次第に追い詰められていきます。
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「ディスチャージ!」
ファナティオがとどめの一撃を放った瞬間、キリトの叫び声と共に、彼の掌の先に一枚の鏡が出現。これは鋼素と晶素を板状に変形させて作ったものでした。
素因から生成した道具類の天命は短く、天穿剣の光を完全に弾き返すほどの耐久力はありません。しかし、キリトは光の一部を反射させることに成功しました。
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「見たな……貴様ッ!!」
反射した光がファナティオの兜を直撃し、彼女は後方へ弾き飛ばされました。
兜が外れ、ファナティオの姿が明らかになります。優美で張りのある声、緩く波打つ長髪、金に近い茶褐色の瞳。
キリトとユージオは、ファナティオの美しさに思わず目を奪われてしまいました。
超高速の剣戟、連続技vs連続技の壮絶な戦い
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「きっ……貴様ァッ!!」
女性だと知られた途端、ファナティオは自分を蔑む男たちへの怒りをキリトにぶつけます。
キリトはファナティオの攻撃を受け止め鍔迫り合いに持ち込みます。さらに彼女を押し込みながら挑発の言葉を投げかけます。
これによりファナティオの怒りは頂点に達するのでした。
「うっうるさいっ!殺す……貴様だけはっ……!」
「こっちだってそのつもりだ。あんたが女だからって手を抜くつもりはさらさらないぜ。これまで何度も女剣士に負けてるからな!」
©2014 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAOⅡ Project
確かに、ユージオの知る範囲でも、キリトは傍付きをしていたソルティリーナ先輩に何度も一本を取られている。しかし彼の言葉は、稽古や練習試合を指しているのではないように思えた。そうではなく、これまで実際に女剣士と真剣勝負をして敗れたことがある、とでもいうかのような……。
ソードアート・オンライン12アリシゼーション・ライジング
ここから、ほぼ密着した間合いで超高速の剣戟が始まります。
遠距離では不利と判断したキリトは近距離で息もつかせぬ連続技を仕掛けます。しかし、ファナティオはキリトの二連、三連の攻撃を細剣で巧みに返し、隙を見つけては自らの連続技で応戦しました。
古参のデュソルバートでさえ知らなかった連続技を使うファナティオ。
彼女は近接戦闘で自身の性別に気づかれないよう、懸命に独自の連続技を編み出していたのでした。
雨霰のように飛び交う無数の斬撃と刺突を、二人は体捌きと打ち払いだけで防ぎ続けます。
キリトもファナティオも鍛え上げた剣技を思う存分ぶつける喜びに浸り、自然と笑みを浮かべていました。
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ユージオが脳裏に描いていた究極の戦い
――すごい……。
ユージオは呆然と見つめていました。
キリトからアインクラッド流を学び始めて以来、ずっと脳裏に描いていた「究極の戦い」が、今まさに目の前で繰り広げられていたのです。
©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
「――なるほどな。咎人よ、貴様はこれまで私が戦ってきた輩とは少し違うようだ。この忌むべき面相を見て、こうも本気で斬ろうとした男はこれまでいなかった」
一進一退の激しい攻防が続く中、ファナティオの表情に変化が現れました。当初の殺気立った怒りは次第に薄れ、代わりに何か強い「覚悟」のようなものが浮かんでいました。
「天穿剣に秘められた光よ、今こそ枷から放たれよ!!――リリース・リコレクション!!」
キリトの「――これまで何度も女剣士に負けてるからな!」という台詞で、多くの視聴者がユウキのことを思い出したのではないでしょうか。
戦いの最中に見せたキリトとファナティオの笑みは非常に印象的でした。二人の剣士としての喜びが伝わってくる素晴らしい演出だったと思います。
戦闘シーンの作画は序盤こそ良好でしたが、途中から体の動きが乏しくなり、キンキンと剣戟の音だけが響くようになってしまったのは残念でした。
ユージオが「究極の戦い」と評したシーンだけに、もう少し動きのある描写が欲しかったところです。
このような戦闘シーンを見ていると、第1期の迫力ある作画が懐かしく感じられてしまいます…。
次回に続く…
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