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【SAOアリシゼーション】第十九話①整合騎士アリスの苦悩と決断|神々への独立宣言

会話の中で、キリトは思わず口を滑らせ、アリスのことを “セルカのお姉さん” と呼んでしまいます。

この言葉に引っかかりを感じたアリスに問い詰められ、キリトは重大な決断を下します。覚悟を決め、アリスに全ての真実を打ち明けることにしたのです。

【SAOアリシゼーション】第十八話②キリトの本音|初めての親友ユージオへの思い
アニメ【SAOアリシゼーション】第十八話のあらすじと感想②。キリトにとって初めての親友であるユージオへの思い、SAO以後の自己分析と成長、そしてアリスとの交流を通じた心境の変化を詳細に解説。原作で描かれたキリトの内面描写やユージオへの評価などにも言及。



第十九話「右目の封印」のあらすじと感想①

キリトが語る世界の真実とアリスの葛藤

sao 記憶を思い出せないアリス

©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project

「君の中には、君以外の人間に与えられた、しかしそうとは意識できない命令が存在する」

キリトは、自分が知るこの世界の真実を順序立ててアリスに説明します。

  • 整合騎士は天界から召喚された存在ではなく、元々は人間である。
  • 整合騎士は、アドミニストレータによって人の子として生まれ育ったという記憶を封じられている。
  • アリス・シンセシス・サーティの本当の名前は、アリス・ツーベルクである。

アニメでは非常に物分かりの良いアリスとして描かれていますが、原作では「馬鹿な」や「有り得ない」を連発し、なかなかキリトの言葉を信じようとしません。

しかし、エルドリエやデュソルバートの話を聞くうちに、少しずつキリトの言葉を受け入れ始めます。

アリス・ツーベルクの記憶と整合騎士の悲哀

sao セルカとアリス

©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project

「私の口が、喉が……心が、憶えている」

アドミニストレータに「記憶の欠片」を奪われているため、アリスはルーリッド村の記憶や家族との思い出を思い出すことはできませんでした。

しかし、血を分けた妹「セルカ」の名前を毎日、毎晩呼んだことを、“アリスの心” は確かに記憶していたのです。

このシーンは、アニメでは比較的簡潔に表現されていますが、原作ではアリス・シンセシス・サーティの悲哀がより深く描かれています。

例えば、嗚咽を漏らすアリスを見たキリトが伸ばした右手を強く払い、「見るな!」と叫ぶシーンもカットされています。この場面は誇り高いアリスの性格をよく表しており、省略されたのは惜しいと感じました。

家族への渇望と消滅を覚悟するアリス

キリトは、全ての計画が上手く運び、“村娘アリス・ツーベルク” を取り戻した時、ここにいる “整合騎士アリス・シンセシス・サーティ” は消滅するのがあるべき形だと自分に言い聞かせようとしました。

しかし、自分の横で泣きじゃくる整合騎士を見て、どうしようもなく不憫に思うのでした。

アリスがこれほどまでに家族の温かさを渇望していた理由は、原作を読めばより深く理解できます。残念ながら、アニメではこの部分がカットされてしまっています。

「いつかダークテリトリーの邪悪な者どもを打ち滅ぼし、騎士の責務を全うしたその時には、再び神の国に迎えられて……私の両親やきょうだいたちのことを、全て思い出せると……最高司祭様は……おっしゃって……」

SAOアリシゼーション・ディバイディングより

整合騎士アリスは、自身がアドミニストレータによって村娘アリスの「記憶の欠片」を奪われ、「敬神モジュール」を埋め込まれて創り出された存在だということを理解します。

彼女は、皆が必要としているのは村娘アリスであって自分ではないと悟り、誰からも必要とされていない自分は、皆の望むように体を村娘アリスに返すべきだと、気丈に微笑みながら語るのでした。

ただし、消滅する前に “たった一つの願い” を口にします。物陰からでいいので、ほんの一目だけセルカや家族たちの姿を見たいと。

キリトが「必ずルーリッドに連れて行く」と約束すると、アリスはしばらくの沈黙の後、凛とした表情で教会との決別を宣言しようとします。

右眼の封印と「SYSTEM ALERT」の謎

sao アリスの右眼の封印

©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project

「ああっ……右眼が、焼けるようです……!」

しかし、その毅然たる宣言は突如、鋭い悲鳴へと変わりました。

右眼に現れた「SYSTEM ALERT」という真っ赤な文字。キリトは反射的に、これがユージオが語った現象と同一のものだと理解しました。

【SAOアリシゼーション】第十話②ライオスたちの蛮行|ユージオの葛藤と覚醒
【SAOアリシゼーション】第10話の感想とあらすじ②。ライオスとウンベールによる非道な行為に、法と良心の間で葛藤するユージオ。右眼に刻まれた謎の封印とは?怒りに燃えるユージオがアインクラッド流の一撃を放つ。

右眼の封印は一種の心理的ブロックで、”魂に刻み込まれた規則に抗おうとすること” がその発現のトリガーとなります。

与えられた規則を積極的に破ろうとすると、まず右眼に痛みが現れ、続いて「SYSTEM ALERT」の赤文字が対象者の思考を乱し、改めて禁忌への畏怖心を刻み付けるのです。

キリトの推測:ラースの目的と矛盾する心理障壁

キリトは、元々遵法精神の強いアンダーワールド人にこの心理障壁が加われば、規則を破ろうと考える者など一人もいないのではないかと考えます。

しかし、もしこの心理障壁をラースのスタッフが施していたのなら、それは彼らの目的と大きく矛盾します。

ラースの目的は、“与えられた規則の正悪を自分で判断できる人工フラクトライト(真のボトムアップ型人工知能)を生み出すこと” だからです。

【SAOアリシゼーション】第五話③原作小説が描く人工知能の真実|ラースの目的とは
アニメ【SAOアリシゼーション】第五話のあらすじと感想③。原作小説ではユイによる人工知能講座が展開。トップダウン型とボトムアップ型の違いを解説。高適応性人工知能とラースの真の目的の関連性が明らかになる。

このシステムアラートを仕組んだ人間は、意図的にプロジェクト・アリシゼーションの成功を遅らせていることになるとキリトは推測します。

このあたりのキリトの推測・考察もアニメではカットされていますが、なかなか面白いところだと思います。

アリスの独立宣言:神々への反抗

右眼の封印を施した者が “神たちの一人” だとキリトに教えられたアリスは、家族や妹の思い出を奪い、服従を強要するためにこのような封印まで施した神々に対して、凛と響く声で叫びました。

「私は、人形ではない!」

「最高司祭アドミニストレータ……そして名を持たぬ神よ!!私は、私の成すべきことを成すために……あなたと、戦います!!」

アリスは右眼と引き換えに、アドミニストレータや神々からの独立を高らかに宣言したのでした。

sao アリスの独立宣言

©2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project


今回のエピソードも、原作の内容の半分以上がカットされた印象です。しかし、アリスとセルカが夜空を見上げるシーンや、アリス役の茅野愛衣さんの熱演は特筆すべき素晴らしさでした。

一方で、キリトとアリスの壁登りのシーンは、原作では非常に興味深い展開がありましたが、アニメでは作画や構成の問題により、その魅力が十分に伝わっていないのが残念です…。

原作小説はアニメの10倍以上の面白さがあると思うので、未読の方は原作小説を読んでみることをお勧めします。


山田孝太郎 (著), 川原 礫 (原著), abec (イラスト, デザイン)

次回に続く…

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